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モータ制御を必要とするアプリケーションには、通常、何らかの電流検出回路があります。モータを流れる電流を検出すれば、必要に応じて速度などの調整をモータに加えることができます。

例えば、ドローンでは、プロペラを制御する各モータが、ドローンの操縦、安定、離陸にローサイド電流検出回路を使用するのが一般的です。ドリルやレシプロソ(往復式のこぎり)などの電動工具では、ユーザがレバーを引く強さに応じて、ローサイド電流検出回路が工具の速度を制御します。このような製品は一般消費者向けに販売されているため、通常、コストを重視した設計を必要とします。今回は、コスト重視型のアプリケーションにおけるローサイド電流検出回路の設計について紹介します。

ローサイド電流検出回路の設計においてをオペアンプ非反転構成で使用するのは、コスト効果の高い選択肢です。図1は、オペアンプを使用した一般的なローサイド電流検出回路の回路図です。


 図1:ローサイド電流検出回路図

式1は、図1の回路の伝達関数です。 このとき、

図1のローサイド電流検出回路の設計プロセスは、大きく3段階に分けられます。

1. 最大シャント抵抗の計算:抵抗(ILOAD)からの電流がシャント抵抗(RSHUNT)を流れると、電位(VSHUNT)がRSHUNTで増加します。VSHUNTはシステム負荷の「対地電圧」と考えることができます。したがって、対地電圧が真に0Vの他のシステムと接続する場合は、最大負荷電流でVSHUNTを100mVに抑えることを推奨します。式2では、最大RSHUNT値を計算します。

2. アンプのゲインの計算:オペアンプはVSHUNTを増幅し、VOUT_MINからVOUT_MAXの電圧スイングを生成します。VOUT_MINは出力スイングの最小値、VOUT_MAXは出力スイングの最大値です。式3は、必要な出力スイングを生成するアンプのゲインを計算します。 式4は、アンプのフィードバック・ネットワークにおける抵抗RFとRGの大きさを計算し、式3で計算したゲインを設定します。 3. アンプの選択.:ローサイド電流検出アプリケーションでは、電流が双方向の場合、同相電圧が対地電圧以下になる場合があります。したがって、アンプの入力同相電圧範囲は対地電圧以下に指定する必要があります。入力同相電圧範囲が対地電圧を下回るデバイスには、コスト重視型のアプリケーション用に設計された高性能汎用アンプの『TLV 9062』があります。

『TLV906x』高性能汎用アンプ製品群は、ゲイン帯域幅(10MHz)、スルー・レート(6.5V/µs)、オフセット電圧(0.3mV)を持ち、入力同相電圧範囲は負の供給電圧の100mV下に指定されるなど、コスト重視のローサイド電流検出アプリケーション向けに設計されています。表1は、TLV906xファミリーの標準的な仕様を示しています。

パラメータ 仕様
供給電圧範囲 ((V+)-(V-)) 1.8V to 5.5V
自己消費電流 538µA
ゲイン帯域幅積 (GBP) 10MHz
入力電圧ノイズ 10nV/√Hz
スルー・レート 6.5V/µs
オフセット電圧 0.3mV
入力バイアス電流 0.5pA
入力同相電圧 (V-)-100mV to (V+)+100mV

図2の設計は、0Aから0.5Aのローサイド電流検出回路の最終的な成分値を示しています。成分値は、以下の手順1~3で計算されました。

 図2:0Aから0.5Aのローサイド電流検出回路図

ドローンや電動工具などの一般的なアプリケーションには、モータを制御するコスト重視型のローサイド電流検出ソリューションが必要です。

参考情報:
・リファレンス・デザイン:0 ~ 1A、単電源、ローサイド、電流検知ソリューション
・ビデオ(英語):"TI Precision Labs – Op Amps: Input and Output Limitations”

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※上記の記事はこちらのBlog記事(2018年1月22日)より翻訳転載されました。
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