超音波センサはどこに使われているのか?


超音波センサは、乗用車の超音波パークアシストのようなアプリケーションに長年利用されてきました。これは、車両の駐車の際に低速における物体検出を支援するものです。現在は、その他にもキック・ツー・オープン・リフトゲートと侵入検知アラームという2つの新たな超音波センサ・アプリケーションが登場しています(図1を参照)。この記事では、これら3つのアプリケーションで超音波センサが使われる理由とその仕組みについて説明します。

図1:乗用車に搭載されている超音波センサ

超音波パークアシスト
超音波パークアシストは、駐車アシストシステム、駐車案内システム、縦列駐車アシストとも呼ばれています。これらのシステムは、単に物体の存在を検出して運転者に音で警告するだけのものから、運転者による操作をほとんどあるいは全く必要とせず自律的に車両を駐車させるものまで、さまざまです。これらのシステムでは、一般に4~16個のセンサが車両の周囲に適切に配置され、必要な検出範囲をカバーしています(図2を参照)。

図2:『PGA460-Q1』を使用した超音波パークアシストのスター型構成

この種のアプリケーションを設計しているエンジニアは、超音波トランスデューサ(トランスミッタ)を駆動すると同時に、車両から物体までの距離を測定する超音波エコーの受信、コンディショニング、処理も行う集積回路(IC)を見つけなければなりません。たとえば、『PGA460-Q1』は、ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)ポール(超音波パークアシストにおいて性能標準として使用されるポリ塩化ビニル[PVC]製のパイプ)を最大5mの距離から高い信頼性で検出できます。また、このデバイスは、超音波パークアシストシステムの開発において一般的に行われるテストである、厳格な静電放電(ESD)およびバルク電流注入(BCI)テストにも合格しています。

OEMが車両にさらに多くの超音波センサを追加する必要性に直面することから、超音波駐車支援のコスト低減への圧力は今後数年間にわたって引き続き増大するでしょう。『PGA460-Q1』は、大量生産のティア1サプライヤに適した競争力のあるコスト構造に対応しています。

超音波パークアシストモジュールの一般的要件には以下のようなものがあります。

  • 30cm~5mの範囲での物体検出。
  • タイム・コマンド・インターフェイス(TCI)やローカル・インターコネクト・ネットワーク(LIN)による、モジュールからローカル電子制御ユニットへの通信(スター型構成)、または車体制御モジュール(BCM)への直接通信(バス型構成)。

自律走行車のニーズを満たすため、短距離および長距離での物体検出標準はより厳格化していくことになるでしょう。2025年頃から、超音波モジュールには10cm~7mの距離から物体を検出できる性能が求められるようになります。これらの距離の要件を満たすには、半導体サプライヤによる、アナログ・フロント・エンド(AFE)の感度と駆動手法の改善が極めて重要になります。

TCIとLINは、現在の超音波パークアシストシステムにおいて最も一般的な2つの通信インターフェースです。ただし、車両の先進運転支援システム(ADAS)の視覚処理能力が発達するにつれ、ペリフェラル・センサ・インターフェース(PSI)5、分散システム・インターフェース(DSI)3、コントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)などの高速のプロトコルを使用した、より大量の超音波エコー・データの通信が求められるようになります。

キック・ツー・オープン・リフトゲート
キック・ツー・オープン・リフトゲートは、スマート・トランク・オープナーとも呼ばれています。この機能により、車両の所有者がキック動作で自分の足を後部バンパーの下に入れると、手を使わずにトランクを開けることができます(図3を参照)。

 図3:キック・ツー・オープン・リフトゲート

従来のキック・ツー・オープン・リフトゲート・システムには、バンパー底部に沿って配置された静電容量式センシング・ストリップが使用されていました。しかし、自動車業界の多くのティア1サプライヤがこのアプリケーションへの超音波センシングの導入を検討しており、一部のシステムは既に量産が開始されています。静電容量式センシングに対する超音波センシングの強みは、信頼性と汚れや水分などの環境要因に対する堅牢性であり、その点、静電容量式センシングは環境要因の影響を非常に受けやすく、車が汚れていると機能しないこともあります。

キック・ツー・オープン・システム向け超音波ソリューションの一般的要件には以下のようなものがあります。

  • 15cm~1mの距離から物体を検出できる。
  • 低静止電流。
  • 12V車載バッテリ電源で動作できる。

では、各要件を詳しく見ていきましょう。

15cm1mの距離からの物体検出
キック・ツー・オープン・リフトゲート・アプリケーションで超音波センシングを利用する際の課題の1つが、距離の短い検出範囲です。近距離場の物体を正確に検出する超音波センサの能力は、トランスデューサの品質と仕様、ドライバの手法と設計、受信パス(AFEとデジタル処理)の性能によって決まります。

MurataのMA58MF14-7Nなどの高品質トランスデューサは、励起時の減衰や「リンギング」がより安定し、信頼性に優れています。高品質トランスデューサを採用��ることにより、減衰の時間を短縮でき、減衰の安定性をより正確に予測することもできます。

トランスデューサ・ドライバの手法と設計も、超音波の減衰期間とプロファイルに大きく影響します。高い近距離場性能が要求されるキック・ツー・オープン・アプリケーションには、トランス・ドライブ・トポロジの使用をお勧めします。図4は、『PGA460-Q1』を使用したトランス・ドライブの回路図の例です。

図4:PGA460-Q1変圧器駆動の回路図

トランスを使用してトランスデューサを励起する電源電圧を大きくすると、減衰プロファイルの予測可能性が高まり「不安定」が少なくなり、近距離での物体検出性能が向上します。

最後に、AFEのパフォーマンスとデジタル処理は近距離および遠距離での物体検出に影響します。たとえば、『PGA460-Q1』には、ローノイズ・アンプがあり、12ビットの逐次比較型アナログ/デジタル・コンバータに時間可変のプログラマブル・ゲイン段が接続されています。低雑音増幅器は受診信号からの雑音を低減し、プログラマブル利得増幅器の時間可変ゲイン特性は、近接物体検出に小さなゲインを与え、遠距離物体検出には大きなゲインを与えることを可能にします。電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)に格納するために、トランジスタ内のゲイン・プロファイルを設定することができます。

低静止電流
キック・ツー・オープン超音波センサは車両の電源をオフにした状態で動作しなければならないため、システムの静止電流は重要な仕様であり、OEMによって積極的に規定されています。『PGA460-Q1』には約500µAのスリープ・モードがあり、それを間欠的に使用してシステム全体の消費電流を必要なレベルに調整することができます。

12V車載バッテリ電源での動作
PGA460-Q1』デバイスは、6V~28Vの入力電源電圧範囲で動作するよう設計されています。キック・ツー・オープン・リフトゲート・アプリケーションでは、『PGA460-Q1』デバイスが車両のバッテリに直接接続されます。過渡電圧抑制(TVS)ダイオードなどの適切な外付け部品による保護は、バッテリ過渡電圧や逆バッテリ電流からデバイスを保護するのに役立ちます。

侵入検知アラーム
ヨーロッパでは、侵入検知アラームは消費者が購入時に選択するかアフター・マーケットの段階で搭載することができるオプション装備です。このようなアラームには、電源オフの状態で駐車しているときに車内の動きを検出するために超音波センサが使用されています。このアラームはプライマリー・アラーム・システムのバックアップとして機能するほか、子供やペットが車内で移動している場合にアラーム音を鳴らします。所有する車両にこの機能を搭載することで盗難防止や安全保護の効果が得られるため、居住する地域によっては保険料の割引を受けることができます。

ほとんどのシステムには1~2個の超音波トランスミッタと1~2個のレシーバが使用されています。『PGA460-Q1』のような超音波センサは1つのトランスミッタと1つのレシーバに対して駆動と受信ができるので、場合によって1~2個の『PGA460-Q1』デバイスが必要です。

まとめ
ここで紹介した3つのアプリケーションは超音波センサのごく一般的な用途であり、ティア1サプライヤやOEMは、その他のガルウイング・ドア、死角検出、前方衝突回避などのアプリケーションへの導入を検討しています。

参考情報

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※上記の記事はこちらのBlog記事(2017年6月29日)より翻訳転載されました。
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