集中型インフォテインメント・システムでデジタル・コックピットを実現


自動車の技術は、絶え間ない顧客ニーズの高まりに対応することで形成されてきました。自動車メーカーは、長年にわたり、新しい設計方法を導入し、搭載する機能を次々と追加していくことで、顧客ニーズに応えようとしてきました。今日の自動車メーカーは、消費者の要求を満たすために、インフォテインメントとクラスタの先進的な表示機能に多大な投資を行っています。ここでは、デジタル・コックピットが実現するインフォテインメントについて解説します。

表示対象の増加に対応する一方で、ドライバーの安全を守る必要があるため、自動車メーカーはデジタル・コックピットの導入を進めています。デジタル・コックピットは、デジタル化、車内での多様な表示、カスタマイズ性、対話型操作を促進することによって、ドライバーが運転に集中できるようにする効果があります。

表示のデジタル化

その名が示すように、デジタル・コックピットは、コネクテッド・カーのコックピット(運転席)全体のデジタル化を目指しています。デジタル・コックピットでは、ドライバーへの通知ゲージ、サイド・ミラー、バック・ミラー、オーディオ用音量つまみなど、これまでにはなかった形のデジタル表示が導入されます。また、デジタル・コックピットでは、従来のインストルメント・クラスタのようにアナログ表示されていたものがデジタルで表示されます。

デジタル化されたビジュアルが増えれば、情報を読み取りやすくなるため、ドライバーの視認エラーが大幅に減少することが期待されます。図1は、ハイブリッド・インストルメント・クラスタの例です。デジタル文字は読み取りやすいことがわかります。一般に、情報に基づいた判断をドライバーが行う場合、デジタル化によって従来よりも迅速な判断ができるようになります。

 

1:ハイブリッド・インストルメント・クラスタ

表示媒体の多様化

デジタル・コックピットでは、多数の新しいチャネルを通じてインフォテインメントを実現します。アナログ画面と光学ミラーのみに頼っていた従来の自動車の表示システムとは異なり、デジタル・コックピットではプロジェクション・レンズやカメラ・ミラーを使用してドライバーに情報を提供します。図2では、プロジェクション・レンズを利用した拡張現実ヘッドアップ・ディスプレイ(AR HUD)によって運転支援データが表示されています。ドライバーは視線を動かすことなく、すばやくデータを視認して運転に役立てることができます。図3は、光学ミラーをカメラ・ミラーに置き換えた「ミラー置換ビジョン・システム」によって、周辺の視認範囲が大きく広がることを示しています。上記のような革新的な技術によって、運転に必要な重要度の高い情報をドライバーの視線上に直接配置できるとともに、視認範囲を広げることが可能になります。

2:拡張現実ヘッドアップ・ディスプレイ(AR HUD

 

3:ミラー置換ビジョン・システム(カメラ・ミラー)

表示のカスタマイズ

OEMメーカーは、デジタル・ハードウェアの柔軟性を利用して、パーソナライズされた操作環境でドライバーが運転できるようにすることを目指しています。デジタル・コックピットでは、各ディスプレイに表示される情報をドライバー個人の好みに応じてカスタマイズできます。

これにより、デジタル・コックピットでは、さまざまなタイプのインフォテインメントを重要度や有用性に応じてドライバーが自由に配置できるようなります。 

強化された対話型ディスプレイ操作

自動車に多様な表示機能が追加されていく中で、デジタル・コックピットは人と車との対話型操作への対応を強化する必要があります。家電分野でタッチスクリーン・ディスプレイの使用が普及していることを考えれば、次世代の車載ディスプレイもタッチスクリーンに移行していくのが自然な流れと思われます。さらに、人工知能の出現によって、デジタル・コックピットには、ジェスチャや音声による制御などの高度なインフォテインメント・ディスプレイ機能のサポートが期待されています。これらのディスプレイ機能によって、ドライバーと車とのシームレスな対話型操作が可能になり、車のリソースを操作する際に必要だった視線の集中や手動操作による労力が軽減されます。

図4の概略ブロック図に示されているように、入力されたデータをディスプレイ技術で利用するためには、その前に転送と処理が必要です。デジタル・コックピットを構成するさまざまな機能の出力チャネルをサポートするためには、オンボードでのデータ処理量やデータ・フローの増加はかなりの量になります。それに対応するためには、理論上、プロセッサとデータ転送リンクを多数増設する必要があり、高価で複雑な、しかも故障リスクの多いシステム・アーキテクチャになる可能性があります。

4:デジタル・コックピットの概略ブロック図

こうした問題を回避するため、OEMメーカーは、ハードウェア・インフラを改良することによって、集中型の車載インフォテインメント・プラットフォームに有利となる環境を整えようとしています。これによって、システム設計に伴うコスト、複雑さ、リスクを最小化しようとしているのです。一般に、プラットフォームを集中化すると、さまざまな入力ソースをそれぞれの出力チャネルに接続するために必要な中間コンポーネントが最小限の数で済みます。そのためには、個々のリンクとプロセッサのデータ処理能力を強化する必要があり、これが実現すれば、新しい車載インフォテインメント・ネットワーク・アーキテクチャとトポロジの構築が可能になります。こうしたニーズを満たすため、TIではJacintoTMプロセッサおよびFPD-Link製品を用意しています。

デジタル・コックピットは、自動車の接続環境を大きく変える挑戦的な試みです。OEMメーカーにとっては、現代の最新技術を組み込んで消費者のニーズに応える絶好の機会です。幸いにして、最新の半導体チップを利用すれば集中型インフォテインメント・プラットフォームを構築することができます。これによって自動車メーカーは、デジタル・コックピットを導入する際の技術的・費用的な問題を克服することができます。

参考情報

+FDP-Linkソリューションの詳細(英語)はこちら

+技術記事(英語)

    +”Moving the needle on automotive clusters.

 +“Jacinto DRA automotive processors drive digital cockpit solutions.

 

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※上記の記事はこちらの技術記事(2019年8月22日)より翻訳転載されました。
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