1982年、Burr-Brownが発表した16ビット、モノリシックD/Aコンバータ(DAC)は、これまでの音楽の聴き方や届け方をすっかり変えてしまいました。音楽を持ち歩けるようになっただけでなく、わずかなコストで録音スタジオと同じように忠実な音を再現できるようになったのです。それ以来、Burr-Brownテクノロジーは、高品質オーディオの代名詞となっています。

2000年にBurr-Brownを買収してからは、TIがプロフェッショナル・レベルのオーディオ・アプリケーション、スマートホームや車載アプリケーション向けに、Burr-BrownTMオーディオ・デバイスの開発を引き継いでいます。

Burr-Brownの歴史

Burr-Brownのルーツは、ハイファイ・オーディオの始まりまでさかのぼります。エンジニアのロバート・ページ・バー(Robert Page Burr)とトーマス・R・ブラウンJr.(Thomas R. Brown Jr.)が1956年にBurr-Brown社を立ち上げ、画期的な新技術の利用先の可能性を探りました。その新技術がトランジスタです。

アリゾナ州トゥーソンにBrownが所有していた広さ400平方フィートのガレージで、トランジスタをベースとする高品質機器を開発し、木製の筐体で販売しました。同社のオーディオにおける最初の重大な出来事は1957年に起こりました。『Model 130』は世界初のソリッド・ステート・オペアンプとなり、その技術は今も最新の高品質オーディオ・システムの中心に息づいています。現在、TIのBurr-Brown製品には、幅広い種類のオペアンプが含まれています。

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オーディオ革新 自動車、スマートホームと プロオーディオ・ アプリケーションの動向

Burr-Brownの設立時はアナログの時代だったのにもかかわらず、彼らは1970年代半ばには、近いうちにデジタル技術が音楽業界に革命をもたらすだろうと気付いていました。まもなく、CDプレーヤーにより、デジタル・オーディオの世界に同社の技術とイノベーションが広く知られる機会が生まれることになります。1975年に発表した『ADC80』と『DAC80』は、12ビット・データ・コンバータの業界標準となりました。

1982年初期に、Burr-Brownは16ビット・モノリシックDACを披露しました。このデバイスは、CDプレーヤーの低価格化に貢献し、アナログ・レコードからデジタルCDやデジタル・オーディオ・メディアへの移行を推進しました。1989年にBurr-Brownが発表した『OPA627』は、オーディオ・アプリケーションに必要な低ノイズと低歪の特性を持つ、業界初の接合型電界効果トランジスタ入力オペアンプとして、今ではオーディオ技術の名作と考えられています。

TIとの新時代

1990年代後期までに、Burr-Brownは1,500を超える超小型電子部品を生み出し、その販売先は世界中で25,000以上にもなりました。TIがBurr-Brownを買収したことで、Burr-Brownの精密シグナルチェーン・テクノロジーの専門技術と、TIが持つ先進的半導体プロセス・テクノロジーおよび製造の専門技術が1つになりました。

現在、オーディオ・システム・メーカーは、モバイル機器から車載インフォテインメント・システム、ホーム・シアターやバーチャル・アシスタントまで、幅広い分野でイノベーションを求めてTIのBurr-Brownテクノロジーを頼りにしています。Burr-Brownオーディオ・テクノロジーの商用アプリケーションに含まれる多数の製品は、シアター、ビデオ製品、録音スタジオなどで使用されるオーディオ・システムの開発に際して、さまざまな技術的課題の解決に役立つよう設計されています。

次世代のオーディオ愛好家

つい最近まで、個人で大型音響システムを構築するのは、大掛かりな作業で費用もかかりました。ハイエンド・システムを構築するのに必要なお金や、時間、場所を確保する以前に、高品質オーディオ・テクノロジーの仕組みを理解している人はほとんどいませんでした。

今日では、主としてBurr-Brownテクノロジーが可能にした技術的ブレイクスルーのおかげで、オーディオ愛好家は、ライト層からプロまで、望むとおりの特別なサウンド体験を驚くほど手頃な費用で手に入れられます。歪みのないアンプにより、革新的なアレイ・スピーカーや、サウンドバー、ヘッドフォン、イヤホンを駆動し、高品質なサウンドが実質的にどこででも得られるようになっています。

未来への展望

現在TIは、高性能クラスDアンプやデータ・コンバータ、もちろんオペアンプといった高忠実Burr-Brownオーディオ・デバイスを提供し、業界を牽引し続けています。

デジタルからアナログ/アナログからデジタルへの変換とオーディオ処理におけるブレイクスルー以降も、Burr-Brown・オーディオ・スマート・アンプテクノロジーは、先進的なデジタル・モデリングとスマート・アンプを使って、高いオーディオ品質を保ちながら、自動車内やスマートフォンに搭載されるような小型スピーカーからもリッチで深いサウンドを響かせます。

TIは、デバイスのアーキテクチャならびに設計と、これらのデバイスの製造技術の両面で、革新を続けています。プロセス技術の新たな進歩によりコンポーネントの線形性が改善し、これによりさらに歪みの少ない高忠実度の信号処理が実現します。また、これらの進歩により、高性能、高電圧のアナログ・オーディオとデジタル技術が一体化することで、デバイスがサウンドをシンプルにも複雑にも奏でられるようになります。

クラス最高の音響品質と業界初の製品をいくつも生み出した歴史あるBurr-Brownを礎として、TIはこれからもさらなる発展に力を注ぎます。

参考情報

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※2019年11月28日マイナビニュース掲載のテキサス・インスツルメンツ寄稿記事を転載

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