EV(電気自動車)は、膨大な種類の製品で構成されています。EVは駆動システムに電気モータを使う輸送手段であり(ハイブリッド車は電気と内部燃焼システムを使います)、より広い定義では、電気推進システムと非電気推進システムにおいて、油圧やエンジンからのベルト駆動のシステムを電気モータに置き換えた、「電化」という言葉に拡張できます。この電化は、しばしば、バッテリ管理、バッテリ充電(車内または、車外の充電ステーション)、再生/回復充電、DC/DCコンバータやDC/ACインバータなどの、電力変換サブシステムの需要を生み出します。

このブログ記事では、モータ制御サブシステムに注目します。EVに対する最初のイメージは、大型車、バスや自動車隊向けの、数kWのAC(非同期誘導、または永久磁石同期モータ)による驚異的な駆動(牽引)モータが、内部燃焼の代替えまたは補助となる動力の源でした。これらの牽引モータは、小さな電気カートに使われる小型の製品も含めて、クルマを移動させるために必要なトルクを発生します。

大多数の推進システムには、停止状態から、低速度での動作などでの非常にスムースな制御が必要で、このような制御は製品の総合的な動作に不可欠です。この理由から、ほとんど常に、ロータ(モータの回転子)のセンサが使用されます。小型の個人用輸送手段には低価格の磁気ホール・センサが使われ、大型の高速道路を走行するアプリケーションでは、レゾルバが使用されます。レゾルバは堅牢でコンパクトという特長を持つアナログの絶対位置検出センサです。レゾルバ・センサは正弦波のキャリア入力を使ってシミュレーションを行い、ロータの絶対位置は、振幅変調された2本の正弦波出力にエンコードされます。これらの出力をキャプチャし、デコードして、デジタル・モータ・コントローラで使うためのロータ絶対角度のデジタル信号を発生します。レゾルバ・インターフェイスのポピュラーな実装手法の一つに、スタンドアロンのレゾルバとTIのPGA 411-Q1のようなデジタル・コンバータを使う方法があります。他の手法には、ソフトウェアとプログラマブルのペリフェラルを使って実装する方法があります。モータ・コントローラにインターフェイスのための簡単な外部回路とともに、重要な励磁とアナログからデジタルへのデコードを組み込む方法です。これらのユニークな機能は、TIのDelfino™ F2837xPiccolo™ F2807xマイコン製品が独自に提供しています。

これらの駆動用モータは優れたものですが、EVでも主役になります。このブログ記事の残りの部分は、駆動系以外の制御が必要とされる電気モータの制御に集中して説明します。 

これらのモータの大多数は低電圧動作で、低レベルから中レベルの消費電流であり、TIのモータ制御と駆動テクノロジが最適です。 

補助モータは、ベルトで伝達される内部燃焼エンジンからのエネルギーや油圧システムの代わりに、補助機能を駆動する電気モータです。エアコンのコンプレッサ、水、オイル、冷却水のポンプ、ファン、ブロア、ターボ、ドアの開閉のほか、農機具やフォークリフトその他のリフト、グリップなどの様々なツールも、電気モータでの駆動が必要です。これらのアプリケーションの多くは、12V、24V、48Vなどの低電圧バスで、5A未満~50Aの低レベルから中レベルの電流範囲という共通点を持っています。モータは変動する負荷に対して、可変速度やトルクを制御するために使います。それらのいくつかは、歴史的な理由で回転センサとしてホール・センサを使用していますが、ほとんどの、より高速の使用例のアプリケーションでは、開発各社が正しいハードウェアやソフトウェアの専門知識を持っている場合には、センサなしでの実装が可能です。

これらのモータ制御市場には、ここで取り上げるべき二つの関連トレンドがあります。その一つとして、多くの伝統的なメーカー各社は、この種のサブシステムについてベルト駆動や油圧駆動のほかに、モータの専門知識も持っていましたが、必ずしも、電気モータの制御は必要ではありませんでした。もう一つ、補助システム向けにモータとモータ・コントローラを購入するEVの顧客各社の多くは、特に駆動システムに注目している場合、これらの補助制御サブシステムを社内設計で実現可能で採算が取れるならば投資するでしょう。市場の変化を促進するのは、次の各要素です。EVの顧客各社は、自社設計が可能かどうかの評価を行います。既存のメーカー各社は自社のモータと制御のビジネスを継続するために、最新の制御テクノロジを求めます。そして家電や産業用など、隣接する業界のモータ制御メーカー各社は、この業界に新規参入するか、または設計の専門知識を供給することで、顧客基盤を拡大しようとします。これら三者の目標は同一であり、様々なEVアプリケーションに採用される、今後も変化し続けるであろう多様なモータ製品向けに、迅速な評価を行い、低電圧、高性能、高効率のセンサレス・モータ制御システムを開発することです。

次のブログ記事では、補助用モータ製品の制御の詳細について説明します。

EVやモータ制御の詳細については、以下のリンクのページをご覧ください。

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

https://e2e.ti.com/blogs_/b/behind_the_wheel/archive/2016/10/05/the-other-motors-in-electric-vehicle-systems-part-1

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