次世代ADAS用カメラ・モジュールの電源回路構築法


最近、新世代の自動運転車の開発やテストへの取り組みに関するニュースが大きく取り上げられています。先進運転支援システム(ADAS)の開発は、運転の安全性を高め、自動運転の可能性を切り拓く上で、自動車業界の重要なトレンドになっています。運転支援と自動化の進展のカギを握るのは、未来のクルマに設計段階で組み込まれるカメラ、レーダー、ライダー(LIDAR)などのさまざまなセンサです。

特にカメラ・モジュールは道路標識の読み取りなどの自律的な意思決定に重要なデータを提供することから、車載ビジョン・システムに対する要件が急速に進化し、収集するデータ量は増加の一途をたどっています。例えば、カメラで使用されるCMOSイメージ・センサのピクセル数の増加は、データ処理量と消費電力の増大をもたらします。さらに、車体からカメラが突き出たデザインのクルマを求める人はいないことから、カメラ・モジュールは小型、高効率、ディスクリート型でなければなりません。本稿では、データ収集能力の向上と小型化に対応した次世代ADAS用カメラ・モジュールの電源回路構築法を解説します。

まず、DC/DCスイッチング・レギュレータ、あるいは低ドロップアウト・レギュレータ(LDO)のどちらをシステムのそれぞれの電源レールに使用するかを検討する必要があります。電流要件が低い場合や、ノイズに対するレールの感度が非常に高い場合(CMOSイメージ・センサのアナログ入力レールなど)は、LDOが優れた選択肢となります。しかし、ピクセル数と消費電力の増加傾向が続く中で、電力損失と温度上昇を最小限に抑えるために、多くの場合でDC/DCスイッチング・レギュレータがより優れた選択肢となります。

次に、電源ツリーを決定する必要があります。オプションは以下の3つです。

完全集積型:カメラ・モジュールの全電源レールに給電するために、専用のパワーマネジメントIC(PMIC)を使用します。このオプションではソリューションがシンプルになりますが、柔軟性に欠けます。

完全ディスクリート型:それぞれの電源レールを生成するために、ディスクリート電源を使用します。このオプションでは柔軟性は最大限に確保できますが、各種ICをすべて選択するために設計時間が長くかかり、場合によっては高集積ソリューションに比べて総ソリューション・サイズが大きくなります。

部分集積型:設計を簡素化するためにシングルチャネル電源とマルチチャネル電源を組み合わせて使用します。PMICのみを使用する場合よりも柔軟性が向上します。

図1~3に示すように、TIは上記のオプションすべてに対するソリューションを提供しています。

1同軸ケーブル経由の電力伝送(PoC)フィルタ搭載車載カメラPMIC電源のリファレンス・デザインを使用した高集積型アプローチの例

2最大100MHzPCLK12ビットのロー・ビデオを出力する車載1.3MPカメラ・モジュールのリファレンス・デザインを使用するディスクリート型アプローチの例

3:電源レール向けに高精度診断機能を追加した部分集積型アプローチの例

部分集積型アプローチにデュアル降圧DC/DCコンバータを使用すると、ディスクリート型DC/DCスイッチング・レギュレータに比べBOMがシンプルに、さらに、フル機能搭載のPMICに比べてもレイアウトの柔軟性が高まります。これにより、設計の簡素化とレイア���トの柔軟性確保の最適バランスを実現でき、カメラ・モジュールのサイズの制約に対してベストな対処が可能になります。

TIは車載カメラ・モジュールの設計に最適な選択肢となる、デュアルチャネル降圧コンバータ、TPS 62423-Q1TPS 62424-Q1を提供しています。両製品は3mm角の小型パッケージに封止されており、外付け抵抗分割器は不要です。

表1に示したように、この2製品の固定出力電圧は最新のCMOSイメージ・センサの電源要件を満たすように選択されています。

イメージ・センサ

レール1

レール2

電源

OX01B40

1.8V

1.1V

TPS 62424-Q1

OV2311、OX03A10,、OV7916、AR0231AT

1.8V

1.2V

TPS 62423-Q1

OV2775

1.8V

1.3V

TPS 62424-Q1

OV10640、OX02A10、OV10642、OV10650、OV7261

1.8V

1.5V

TPS 62423-Q1

1:イメージ・センサと対応電源のマトリックス

TIは使用される電源アーキテクチャを問わず、カメラ・モジュール電源の設計に必要な製品の提供とエンジニアへのサポートに注力しています。

関連情報

Ÿ   TIのADASポータル・サイト

Ÿ   ADASカメラ・モジュール向け製品やリファレンス・デザインの検索に便利な、システム別ブロック図

Ÿ   ノイズに敏感なダイナミック・レールのリップル低減のヒントを解説したブログ:Ripple reduction techniques for sensitive and dynamic rails in automotive camera modules

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※上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。
https://e2e.ti.com/blogs_/b/behind_the_wheel/archive/2018/09/11/how-to-power-next-generation-adas-camera-modules

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