TIのミリ波テクノロジーを用いた車内用センシング


以前の記事では、幼児置き去り検知、乗員検出、侵入者検出などの車内用センシング・アプリケーションにおける、TIの77GHzミリ波(mmWave)センサの使用についてご紹介しました。

幼児置き去り検知の必要性はEURO NCAPのロードマップ上に規定されており、各車両メーカーにこの機能の提供を促しています。幼児置き去り検知機能が加われば、車内に残された子供を検出してドライバーに警告するという問題の解決に役立ち、車両の全体的な安全性評価が高まります。車両メーカーは、TIのミリ波テクノロジーを使用することで、幼児置き去り検知システムに加え、乗員のバイタル・サイン検出によるドライバーの健康状態監視、車両衝突時のエアバッグの展開、乗員へのシートベルト着用警告などの付加機能を設計できます。これらは存在の検出をカメラに頼らないため、乗員のプライバシーを保護できます。

TIの各種ミリ波デバイスは、高性能を提供しつつ、低コスト、低価格でこのようなアプリケーションに対応するために有効です。乗員やドライバーの姿勢検出など、より高い分解能を必要とするアプリケーションに対しては、ミリ波センサを用いたイメージング・レーダーで高分解能の乗員検出を行います。

以下のテスト・シナリオは、ミリ波センサを使って車内用センシングがどのように機能するかを示しています。

TIミリ波センサを使用した心拍数モニタリング

最初の構成では、図1に示すように、AWR1642シングルチップ・センサを車のダッシュボードに取り付けました。このセンサは、車両の走行中にドライバーと乗員両方の心拍数と呼吸数を同時に推定します。センサの測定範囲により、この機能は車内の乗員全員にまで拡張できます。

1:走行車両内でTIAWR1642センサを使用したドライバーと乗員のバイタル・サインの検出(出典:AV Design Systems

2番目の例では、同じくAWR1642センサを使用し、図2に示すように、乗員検出と乗員それぞれのバイタル・サイン検出をテストしました。センサはバックミラーの上に取り付けられ、このセンサには2つのトランスミッタと4つのレシーバがあります。AWR1843デバイスには、3つのトランスミッタと4つのレシーバがあり、メモリ容量も大きいので、乗員の大人/子供の基本的な分類など、乗員検出以外の機能も追加できます。

2:バックミラーの上に取り付けられたAWR1642シングルチップ・センサによる乗員検出と車内の乗員4人のバイタル・サイン監視(出典:AV Design Systems

レーダーを使用した乗員の分類

AWR1843シングルチップ・センサは、車のルーフ部に取り付けられ、正確に乗員を検出して、大人か子供かを判断します。この分類ソフトウェアは、シートごとに最も可能性の高い乗員を高精度で出力します。この分類を図3と4に示します。

 

3:天井に取り付けられたAWR1843センサによる大人と子供の検出と分類(出典:Azcom Technology

 

4AWR1843シングルチップ・センサによる大人/子供分類の出力。確率パーセンテージは初期のテストから精度98%を超える(出典:AV Design Systems

イメージング・レーダーを使用したキャビン内センシング

イメージング・レーダーを使用したキャビン内センシングをテストするため、TIパートナー製の評価モジュールを用いて乗員の姿勢を推定しました。イメージング・レーダー・モジュールは、カスケード接続された4つのミリ波センサと、処理すべてを制御する1つのTDAxプロセッサから構成されます。外部コンピュータにより結果を表示します。このテストを図5に示します。

5:イメージング・レーダーのテスト構成。イメージング・レーダー・モジュールの前に人が立っている状態(a)、その人の点群による表現、高さを示すためにさまざまな色を使用(b(出典:Smart Radar Systems)

図6および7は、シートが7席あるSUVを模した構成での乗員検出のテストです。イメージング・レーダー評価モジュールは、天井位置と同様に下を向いています。レーダー・センサは車両内の乗員6人全員を正確に検出しています。イメージング・レーダーは、後部列の2座席の間の空席も明確に識別しています。

  

6:ラボでのテスト。TIイメージング・レーダーを用いて車両を模した配置内の乗員全員を検出(出典:Smart Radar Systems)


7:ラボでのテスト結果。赤い四角は乗員のいる座席、黒い四角は空席を示す(出典:Smart Radar Systems)

TIミリ波センサを用いた車内センシング・ソリューションのメリット

TIのミリ波センサを使えば、信頼性が高く、堅牢な車内キャビン・センシングが可能です。

センサが車内に設置された場合、暑い日にはセンサの温度が急上昇します。車載用規格では、そのように接合部温度が高くなっても、センサが動作できる必要があります。TIのミリ波センサは広い温度範囲にわたって動作します。

また、乗員検出ではセンサの信頼性が極めて重要です。TIのミリ波センサはAutomotive Electronics Council(AEC)のQ100認定を取得しており、オートモーティブ設計者が車内用センシング・システムに対してAutomotive Safety Integrity Level(ASIL:自動車安全性要求レベル)の基準Bを実現するのに役立ちます。

TIのミリ波センサ設計プロセスの最後の重要な側面は、設計をスケーラブルかつ容易にするTIのソフトウェアです。mmWave SDKには、TIのシングルチップ・センサとイメージング・レーダーすべてに使用される同一のドライバとAPIが含まれています。設計を始めるのに役立ついくつかのリファレンス・デザインと例も提供しています。

その他のリソース

 

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※上記の記事はこちらの技術記事(2019年7月25日)より翻訳転載されました。
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