SNR(信号-雑音比)とスペクトル分解能は、あらゆる分光計の設計において、最も重要な性能指標であることはエンジニアに理解されています。

SNR は、信号電力のノイズ電力に対する比であり、測定しようとするスペクトラムの一貫性を左右する重要な要素です。分解能は、隣接したスペクトラムのピークを分光計が正確に区別できる最小のピーク間距離をnm(ナノメートル)単位で表したもので、これも重要です。正確で役に立つ測定結果を得るためには、サンプルの材料によって、異なるSNRと分解能が必要になります。

高い柔軟性を備えたTI DLPの DLP® NIRscan™ と DLP NIRscan Nano EVM(評価モジュール)は、農業、製薬、ファクトリ制御やその他の主要産業向けの分光計製品を、特定の使用目的に対して最適化するためのソリューションを開発者に提供します。

DLPテクノロジを搭載した分光計の性能を特定目的に対して最適化する場合、分解能、SNRとスキャン速度の3種類を調整可能です。これらのいずれか1つを調整することは、他の性能設定に相応の影響を与えます。

例えば、速いスキャンが必要な場合、しばしば、低めのSNRと分解能で妥協しなければなりません。しかし、開発者にとって幸いなことに、DLPテクノロジのDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)は、その原理上、スペクトラムの測定方法を制御するためのプログラミングが可能であることから、卓越した柔軟性を提供します。つまり、従来のカメラと同様の動作をする他のソリューションと異なり、DMDでは設定パターンを簡単に変更できるということです。

パターン幅が変更可能であるという柔軟性を控え目に説明するのは困難ですが、下の図から、分光計の最適化に、いかに大きな余裕を提供するかが理解できるでしょう。この図では、分光計のスリット幅、パターン幅、FWHM(半値幅)の分解能や相対的なSNRの相互関係が明瞭にわかります。

最大限のSNRと分解能を得るためのトレード・オフについて説明した、最新の アプリケーション・レポート はこちらの「技術資料」からダウンロードできます。レポートでは、詳細な実例を豊富に紹介しており、分光計を設計中の開発者がDLP NIRscan EVMのすべての機能を活用するために役立ちます。

開発の初期段階で、DLPテクノロジを分光計や化学用分析機器に、どのように活用するかを理解したい場合には、分光計向けのDLPテクノロジの設計上の注意点について説明した TI DLPの包括的なレポート をご覧ください。

分光計アプリケーションにおけるTI DLP技術の活用方法の参考情報(ブログ記事)

※DLPはTexas Instrumentsの登録商標です。その他、すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。
※上記の記事はこちらのブログ記事(2016年8月25日)より翻訳転載されました。

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