“I’ll be back.”(「必ず戻る」)

これは映画『ターミネーター』の中でターミネーターが口にした言葉ですが、おそらく、ロボットが発した言葉の中で最も有名な言葉と言えるでしょう。しかし、第1作でのターミネーターの行動は、友好的な人間の行動からはほど遠いものでした。このため、この言葉はおそらく、ロボット技術をプロモーションする上では最適な言葉とは言えないかもしれません。幸いなことに『ターミネーター』は単なるSF映画で、第2作ではアーノルド・シュワルツェネッガー(アーニー)は人類を救うことになります。ここでエンターテインメントの世界からビジネスの世界に話題を切り替え、ファクトリ・オートメーション(FA)にかかわるさまざまな種類のロボットと人間のインタラクションから人間が得ることのできるメリットと、ロボットとともに働く際の安全性の確保法について見てみたいと思います。International Federation of Roboticsによれば、2018年までに約130万台の産業用ロボットが世界の工場に導入されることになります。中でも最も多く導入されるのが欧州です。

ロボット業界が注目しているのは、インダストリアル、ロジスティクス、協働、サービス、ドローンの5つの分野での産業用ロボットです。

産業用ロボットのカテゴリー

ロボット・ヒューマン・インタラクションの事例を見る前に、現在FAで使用されている最初の3つのカテゴリーのロボットについて検討してみます。

Ÿインダストリアル・ロボットは溶接、パレット運搬、荷揚げなどの仕事を処理します。こうしたロボットは床、天井または壁に固定されています。制御キャビネット内の制御ユニットがロボットを制御します。インダストリアル・ロボットと人間のインタラクションの一例では、ロボットがある製品に対して作業ステップを終了すると、人間がその製品をピックアップすることになるため、人間がロボットの作業エリアに入る必要があります。

Ÿロジスティクス・ロボットは倉庫で使用されており、ロボットが商品をピックアップし、梱包スペースに運びます。商品を会社の敷地内のある建物から別の建物に運搬する際にロボットが使用される場合もあります。こうしたロボットは特定の環境内を移動し、位置の特定やマッピングのために多くのセンサを必要とするほか、衝突防止のためのセンサも必要になります。

Ÿ協働ロボットは人間と直接インタラクションを行うためのロボットです。インダストリアル・ロボットとの違いは、協働ロボットと人間が同一の対象物に対して同時に作業を行う点です。例えば、協働ロボットはオペレーターの作業台の上で対象物を保持し、オペレーターが任意で対象物を移動、回転させて、目視や必要なファイン・チューニング作業を行えるようにします。協働ロボットは最も多くの場合、テーブルに固定されており、インダストリアル・ロボットのように制御ユニットによって制御されています。

ヒューマン・ロボット・インタラクションの技術的課題

ロボットの周囲には常に人間が存在していることから、ロボット・ヒューマン・インタラクションで重要な課題となっているのが人間の安全性の確保です。そばでともに働く人間とロボットの衝突や、ロボット事故を防止する方法の確立が求められています。その解決法はロボットのタイプによって異なります。

インダストリアル・ロボットは迅速かつ正確に任務を実行するように設計されています。ロボット・アーム内のモーターが信号を受信し、実行します。一般的に、ロボット・アームは環境検知機能を備えていません。途中での障害物の存在にかかわらず、コマンドを実行し、プログラムされた位置に動くだけです。こうした理由で、事故防止のために、インダストリアル・ロボットは通常、保護された環境で動作します。一般的な設定の1つが、ロボット・アームの周囲への光バリアの設置です。光バリアの出力は制御キャビネットに接続しており、制御キャビネットは光バリアへの横断を検知し、ロボット・アームをシャットダウンします。別の設定では、ロボット・アーム周囲にフェンスを設置し、フェンスのドア・ロックを監視します。

ロジスティクス・ロボットは多くの場合、人間が周囲にいる環境で動作します。そのため、ロボットは位置の特定やマッピングのためだけでなく、人間の検知のためのセンサを必要とします。こうした用途には超音波、赤外線、LIDARなどのセンシング技術が使用できます。衝突防止のためのセンサに加え、バックアップ・センサも利用されています。ロボットがある物体に接触すると内部のスイッチが機械的に始動し、オペレーターがロボットを再び動作モードに設定できるようになるまで、ロボットは停止します。これは内部の電子センサの故障時にロボットを確実に停止させるために必要な機能です。

最も複雑なインタラクションが必要になるのは人間と協働ロボットの間です。ロボット・アームと人間、またはいかなる物体でも、その間で衝突が起きた場合、ロボット・アームの内蔵センサがロボットを確実に即時停止させる必要があります。センサまたはセンサに続く電子回路が故障した際も、ロボットは停止します。そのため、ロボット・メーカーは発生の可能性があるあらゆる衝突を迅速に検知し、防止するために、冗長機能をロボット・システムに実装する必要があります。

このブログがロボット・ヒューマン・インタラクションに関する皆さんの懸念の解消に貢献し、皆さんがロボットの普及に前向きに対応できるようになることを願っています。FAにおけるロボティクスに関する詳細な情報をご希望の場合はお待ちください。“I’ll be back.”(「必ず戻ります」)

electronicaFRANKAのデモを実施

TIはelectronicaでFRANKA EMIKAインダストリアル・ロボット・アームのデモを実施し、人間が産業環境の中で行う極めて単純な作業をロボットが代替するようになる未来の姿を紹介しました。TIのICを使用したロボットのビデオと、Greg Peakeがelectronicaでロボット・アームを紹介したビデオ(英語)をYouTubeでご覧いただけます。

その他のリソース

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