ご存じのように、絶縁デバイスは幅広いアプリケーションに搭載されています。これらのデバイスは、高電圧から人体や低電圧回路を保護するため、またノイズに対する耐性を高めるため、さらには通信サブシステム間のグラウンド電位差に対応するためなどに使われます。デジタル・アイソレータ、絶縁型CAN(コントローラ・エリア・ネットワーク)やRS-485トランシーバ、絶縁アンプやモジュレータ、絶縁型ゲート・ドライバや絶縁型電源をはじめ、市場には膨大な数の絶縁型デバイスが流通しています。この記事では、数多くの高性能絶縁製品に追加される、新しい絶縁型LVDS(低電圧差動シグナリング)デバイスについて説明します。

この記事では、以下のQ&Aで、絶縁型LVDSデバイスがお客様のアプリケーションにどのように役立つかも説明します。

Q: 絶縁型LVDSとは?

A: 絶縁型LVDSは、通常の差動低電圧信号の送受信が可能ですが、その心臓部には、図1に示すようなデジタル・アイソレータが組み込まれています。

 図1:絶縁型LVDSバッファの心臓部に組み込まれているデジタル・アイソレータ

Q: 絶縁型LVDSを使う理由は?

A: 場合によっては使う必要が出てきます。2個のサブシステムの間で絶縁を保ちながら高速のデータ伝送を行う必要があり、2枚の基板の間を長いプリント配線、コネクタやケーブルなどで接続しなければならない場合には、通常のデジタル・アイソレータ製品は使えません。これらの製品は消費電力が大きく、電磁放射が大きい上、受信側のアイパターンはあまり良好ではありません。CMOS(相補型金属酸化膜半導体)もそれほどの性能は提供しないため、絶縁型LVDSだけが適合します。

Q: どのようなアプリケーションで絶縁型LVDSの利点を活用できますか?

A: 良い例が、モーター・ドライブです。図2に示すように、より多くのモーター・ドライブ製品で、電源基板上にローカル処理のためのコントローラを搭載するようになりました。制御信号やフィードバック信号など、多くの信号を集約したことで、しばしば、これらの信号を別の基板に搭載された低電圧側のマスタ・コントローラに伝送する必要が出てきます。1個の絶縁型LVDSデバイスで、この膨大なデータを管理することが可能です。

他のアプリケーションには、テスト・計測向け製品や高電力ソーラー・インバータ製品があります。

 図2:モーター・ドライブ・アプリケーション内の絶縁型LVDSデバイス

Q: 絶縁型LVDS製品の評価に役立つ仕様は?

A: 最初に見るべき仕様は、もちろん絶縁性能です。アプリケーションによって、強化絶縁、基本絶縁や機能絶縁が必要になります。モーター・ドライブ・アプリケーションでは、絶縁型LVDSは保護のための絶縁に重要であり、ドライブで使うAC電源電圧に比例した、非常に高い絶縁要件を求められることがあります。その他の重要な仕様には、消費電力、電磁放射特性、ノイズ耐性、データレートや伝搬遅延時間、スキュー特性などがあります。これらの利点はLVDSシグナリング・デバイスに固有のものですが、心臓部のデジタル・アイソレータも優秀な特性に寄与しています。

絶縁型LVDSデバイスを搭載した設計を行う際には、ISO 7821LLSISO 7821LLISO 7820LLの各LVDSバッファ製品をご検討ください。これらのバッファ製品は、最大2kVRMSの動作電圧、12.8kVのサージ耐圧や、特に幅広いパッケージ・オプションを提供することから、非常に高い電圧のアプリケーションに最適です。また、これらのデバイスは最大150Mbpsのデータレート、非常に低い電磁放射、最高データレート時に10mA/チャネルと低消費電力であることから、最大限のLVDS動作の利点を提供します。

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。
https://e2e.ti.com/blogs_/b/industrial_strength/archive/2017/01/11/how-to-design-with-isolated-lvds-in-your-industrial-system

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