イーサネットを使って産業市場に電力を供給する方法


産業用イーサネット・デバイスに電力を供給するためには、産業用イーサネットと産業アプリケーションの特定の部分に対応する必要があります。標準のイーサネットと産業用イーサネットの最大の違いはトポロジです。詳しくは、図1をご覧ください。標準のイーサネットのトポロジはスター型ですが、産業用イーサネットの場合は、ライン型、ツリー型、リング型のいずれかとなります。


 図1:2種類のイーサネット・トポロジ

トポロジ以外にも、ファクトリ・オートメーション・デバイスは24Vで動作するのに対し、通信デバイスに供給される電力は48Vという違いもあります。このようなバージョンの違いは以前からありますが、産業界向けイーサネット用の初の電力ソリューションであるEtherCAT Pがちょうどリリースされました。今回のブログ記事では、まずEtherCAT Pの内容について説明してから、1000BASE-Tやリングトポロジまたはシングル・ツイスト・ペア用の代替策を取り上げます。

EtherCAT Pの紹介:電力およびEtherCAT用の1本のケーブル
世界中でイーサネット接続を利用する工場が増えていることから、プロセスのエッジまでの電力配分を最適化するニーズが高まっています。PoE(Power over Ethernet)技術を再利用してイーサネット接続デバイスに電力を供給するのが、自然な選択肢だと言えるでしょう。PoE技術の利点は、電源とデータ転送に同じワイヤーを使用することで、図2に示すファクトリ・オートメーション・システムの例に示すように、設置コストと全体の配線コストの両方を節約できるという点にあります。この点に関し、PoEの電力は、あるペアのイーサネット変圧器の中心タップに48Vを接続し、同様にもう一方のペアには戻り経路を接続することで、データ線に結合されます。電力はその後、同様のトポロジによりスレーブ・デバイスで切り離されます。

 2EtherCAT Pを利用すると、ケーブル数を削減し可動ロボット・ヘッドにハイエンドの検出が可能

ただし、ライン型トポロジの産業用イーサネットの場合は、イーサネット通信の25MHzが電源の出力で利用可能となるため、送信側で結合することもできます。この場合、送信機は、受信機チャネル通信規格からのノイズを受けることになります。

このため、EtherCAT P(EtherCATの拡張機能)では、100BASE-Tからの25MHzが電源ツリーに入る前に確実にブロックされるよう、シンプルなインダクタ - コンデンサ(LC)フィルタを導入しています。

PoEとEtherCAT Pのもう1つの違いは、PoEは1つの48V電源電圧しか提供しないのに対し、EtherCAT Pは表1に示すように2つの独立した24Vレールを提供するという点です。電源に関して言えば、PoEは71W(803.2btタイプ4)、EtherCAT Pは電源レールあたり24V x 3A≧72Wを供給できます。

2つの技術の大きな違いは、PoEの場合、電力供給機器(PSE)と受電機器(PD)の識別に2つの半導体が必要であるという点です。PD内のチップでは、最大電力制限の設定も行われます。しかし、これには2つの利点があります。1つは、有効な接続の確立時にのみ全パワーが利用可能となるという点、もう1つは、PoE対応デバイスを、PoE非対応デバイスに悪影響を与えず、これらのデバイスに接続できるという点です。

EtherCAT Pの場合、標準のパッシブな機器のみで電源に接続できるということになります。追加の半導体は必要ありません。つまり、24Vの電源供給が、常にデータ・ライン上に存在するということになります。ただし、最大電力は、PSEの内部で制限する必要があります。

 表1:両方のイーサネット技術の主要パラメーター

EtherCAT Pの電力とEtherCAT用の1本のケーブルのリファレンス・デザインには、EtherCAT P PSEの電源イン/アウト接続回路の実装が示されています。リファレンス・デザインは、正式な「EtherCATおよびEtherCAT Pスレーブ導入ガイド」のすべての要件を満たしています。これらの要件には、逆極性保護、突入電流制限、連続電流制限などの機能が含まれます。これらはすべて、TIの半導体をベースとしたものです。

EtherCAT通信の場合、リファレンス・デザインは『AMI C110』産業用通信エンジン(ICE)など、1つのEtherCAT対応通信プラットフォームを1本のイーサネット・ケーブルに接続することができます。電力転送機能を示すために、2つのデザイン・ボードをEtherCAT Pケーブルに接続できます。また、EtherCATマスターを1つ目のリファレンス・デザインに接続し、EtherCATスレーブを2つ目のリファレンス・デザインに接続して、EtherCAT Pのデモ用システムを完成させることもできます。さらに評価しやすいように、オプションで5V/12Vのバック・モジュールをボードに取り付けることもできます。

米国電気電子学会(IEEE)802.3へ準拠する必要がある設計は、新たなIEEE 802.3bt PoE標準を紹介するこちらの動画をご覧ください。

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※上記の記事はこちらのBlog記事(2018年3月8日)より翻訳転載されました。
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