CTO(最高技術責任者)のアハマド・バハイが、人と機械の融合に必要な絶縁機能について語る


人と機械が継続して関わり合うとき、絶縁が重要な問題になります。電気自動車内のスイッチ、センサや高電圧モータなどをつなぐ配線の総延長は数マイルに達します。産業用コントローラは工場内に設置されたセンサとの間で、データやコマンドのやり取り、及び、電源を供給します。医療用の高電圧デバイスは病室や長期療養施設内の患者を監視します。USBインターフェイスは産業用機器とマイコンを接続します。スマート・コントローラはコマンドを受けて高電圧リレーを制御します。

産業用の機械システムが、電気モータ、センサやアクチュエータに置き換えられて行くに従って、上の例のような、機器同士や人と機器との関わり合いは、ますます拡大して行きます。無骨な機械式スイッチは、敏感で繊細なタッチ制御に置き換えられています。数多くの高電圧動作の電気モータが、急速に増加しています。高電圧で動作する半導体スイッチも頻繁に使われています。そして、これらのすべてが、スマート・コントローラやドライバと通信し、対話することが必要です。産業用、車載用、医療用において、保護、ノイズ耐性、信頼性に対し高い性能を有する絶縁デバイスを必要とするアプリケーションが増加しています。

高い信頼性と安全な動作のためには、アイソレータ製品を正しく使うことが重要です。例えば、アイソレータは、高電圧や、強力な産業用モータを駆動するTIのC2000™ マイコン製品をはじめとした低電圧プロセッサと、人体の触れる回路を絶縁することで、感電災害の防止に役立ちます。

TIの絶縁ソリューション

 堅牢で信頼性の高いシステム動作を実現するための高電圧絶縁

数多くの産業用アプリケーションにおいては、複数の絶縁バリア越しで数百Mbit/s以上の高いデータレートを有する高効率の通信機能や、高電圧サージに耐える堅牢性へのトレンドが一般的になっています。また、ゲート・ドライバや産業用センサのアプリケーションでは、いくつかの絶縁バリア越しにデータと電源を伝送することもあります。小型ソリューションでは、チャネル数の増加と、チャネル間の絶縁への要求が増加しています。

主要な特長

まずは絶縁機能について説明します。絶縁バリアとは、不要な電流の流れを遮断しつつ、2つのシステムの間でデータや電源を高い信頼性で伝送するための物理的な媒体です。統合絶縁テクノロジの主要な特性を次に示します。

  • アイソレータが短期間に許容できる最高電圧(サージ電圧)や、通常動作時に許容できる最高電圧(動作電圧)
  • アイソレータが通信エラーを発生せず、正常動作が可能なグラウンド電位差の変化率の最大値
  • 絶縁バリアによって発生する遅延時間、電源ピン間の距離(絶縁間隔)や沿面距離
  • 電磁干渉(EMI)の強度 

様々な実現手法

現在、多くのデバイスは、ディスクリートのコンデンサや絶縁トランスを置き換えるICパッケージに集積されており、次のような実現手法があります。

コンデンサ型絶縁: ディスクリートのコンデンサの代わりに、複数層のシリコン酸化膜(SiO2)で構成されたコンデンサを集積することで、データを静電界によって伝送しながら、高レベルの絶縁機能を提供。TIのコンデンサ型絶縁テクノロジでは、同一モジュール内に並べて配置した2枚のダイ上に構成した2個のコンデンサを直列に使用。この手法によって、高データレートで高い競争力を持つ強化絶縁ソリューションを提供。コンデンサ型絶縁バリア越しの通信データレートは、数百Mbit/s以上が可能。数種類の革新的な回路トポロジによって、産業用Ethernetなどのアプリケーションでさらに高速のデータレートを実現。TIのアイソレータ製品はカスタマイズされたCMOSテクノロジの利点を活用して、高性能の強化絶縁バリアを提供。

コイル型絶縁:誘導結合した1組のインダクタを使い、2つの回路間の絶縁を実現しながら、磁束による電磁誘導でデータ伝送を実現。2個のインダクタは、ラミネートプリント基板内に埋め込むか、1枚のダイ上にモノリシックで集積することが可能。コイル型絶縁に特有の利点は、絶縁バリア越しに数百mW以上の電力を伝送できることで、二次側の追加電源が不要。絶縁バリア越しにデータを伝送しながら、電力を高効率で伝送する機能は、数多くの産業用アプリケーションで低い入力電流と、非常に高い最高動作周囲温度を実現にするために重要。TIの 電源内蔵デジタル・アイソレータ テクノロジは、革新的な材料とインダクタの設計によって、業界最高の電力伝送効率を提供。

コンデンサとコイルによる絶縁機能は、しばしば、データや電力のコンディショニング機能と組み合わせて使用されます。データのコンディショニング機能は、過渡スパイク波形がデータとして出現する危険を最小化し、絶縁機能による伝送信号の保護と機器の円滑な動作に役立ちます。電源のコンディショニング機能は、電力伝送効率の最適化に役立ちます。また、2系統のシステムを物理的に引き離し、光や電磁波によって通信することでも絶縁が可能です。

もちろん、1つの絶縁ソリューションが、すべての要件に適合するとは限りません。産業用システムでは、多くの場合、絶縁アンプや、RS-485信号のような絶縁された高速データリンク、絶縁ゲート・ドライバその他を含む統合ソリューションが必要になります。人と機械の関わり合いと協働が進みつつある中で、高電圧絶縁ソリューションは堅牢、かつ高い信頼性で動作するシステムの実現に役立ちます。

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※上記の記事はこちらのBlog記事(2018年10月2日)より翻訳転載されました。
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