振動解析によるモーター故障予知、第2部


モーターやポンプは、工場や建物の重要なインフラストラクチャ・コンポーネントであり、その役割を果たすには適切な動作状態が保たれる必要があります。モーターやポンプの役割は、オートメーション・ライン上の物を動かしたり、暖房、換気、空調(HVAC)システム用に冷却液や冷却空気を流したりなどさまざまです。

どんなときであっても、性能低下はメンテナンス費用がかさむことになりかねません。あるいは故障により製造能力が停止状態になるかもしれません。十分な性能を維持するには、これらの機械の潜在的故障の徴候を監視することが不可欠です。その徴候には人間には感知できないものもありますが、製造インフラストラクチャの一部として配備されている低消費電力のスマート・センサ・ソリューションであれば可能です。

モーターの振動解析
システムがもうすぐ故障しそうなとき、動いている部品の状態を知ろうと人間が聞き耳を立てることがあります。しかし、その部品から耳でとらえられるような音が出ないか、工場フロアやモーター筐体の騒音などの周囲の状況のために音が聞き取りにくいかもしれません。下図はモーター・ベアリングの構造を示しています。

1:モーター・ベアリングの内部図

モーター・ベアリングは次の部品から構成されています。

  • インナー・レース:可動部品の内側、これは通常シャフトに取り付けられる。
  • アウター・レース:可動部品の外側。これは静的コンポーネントである。
  • ケージ:ボール・ベアリングを固定する。
  • 回転部品「ボール」:インナー・レースとアウター・レースにある間にある可動部品。

モーター筐体の外側のモーター部品は、シャフト、ギア、取り付けポストなどから構成されます。

故障の始まりに、わずかな機械的変形が起こります。モーターの可動部品がこのような変形に接触すると、双方の表面が繰り返し何度も衝突する結果として、障害がショック・パルスとして現れます。

ありがたいことに、それぞれのショック・パルスは、RPM(回転数/分)で表されるモーターの回転速度と関連があります。つまり、機械的故障の発生を数式として表現できるということです。例えば、インナー・レースにある故障しそうなボール・ベアリングは、インナー・レースのボールパス周波数(BPFI)と呼ばれる欠陥周波数を発生します。この周波数は、アウター・レースにある故障しそうなボール・ベアリングから発生するアウター・レースのボールパス周波数(BPFO)と呼ばれる欠陥周波数とは異なります。

式1と式2からそれぞれBPFIとBFPOが算出されます。

BPFI = (NB × S) × (1 + (BD x cos θ) ÷ PD) ÷ 2                               (1)

BPFO = (NB × S) × (1 - (BD x cos θ) ÷ PD) ÷ 2                              (2)

ここでNBはボール数、Sは回転数/秒(RPM÷60)、BDはボール直径、PDはピッチ直径、θはボールとレースの接触角度です。

NTN Bearing Corporationが出しているベアリング番号16001の深溝ボール・ベアリングのパラメータから、S値に対してBPFIが4.93、BPFOが3.07になります。そのため、3,600 RPMのモーターつまりS = 60Hzでは、BPFIは295.8Hz、BPFOは184.2Hzです。

これらの周波数の値が求まるのは素晴らしいですが、モーターの潜在的故障をどのように検知すればいいのでしょうか。その答えはショック・パルス自体にあります。多軸マイクロマシン・システム(MEMS)加速度計を使用することで、ショック・パルスを検知し、振動を電気信号に変換してから、信号の情報を処理します。

多軸振動機能を使用するモーター / ポンプ向けワイヤレス・コンディション・モニタのリファレンス・デザインは、このような振動センサの一例です(図2参照)。SimpleLink™ MSP 432P4ホスト・マイクロコントローラ(MCU)の高精度A/Dコンバータ(ADC)により測定されるアナログ3軸加速度計を使用しています。センサ・ノードは、測定データの高速フーリエ変換(FFT)を生成して、測定データを処理します。

 2:ワイヤレス状況監視のリファレンス・デザイン図

得られた周波数ドメイン・データの解析は、これらの周波数の値を検出でき、低消費電力Bluetooth®を介してゲートウェイや���マートフォン、タブレットにワイヤレスで伝送できます。現場のオペレータは、診断やトラブルシューティングのためにセンサのデータを直接利用できます。クラウドにデータを保管して、以前に取得した履歴データを元にさらに解析することもできます。システム要件によっては、Zigbee、6LoWPAN、ワイヤレス・メッシュのような他のワイヤレス・プロトコルを使ってもデータを伝送できます。

同様に、モーターの構成部品はすべて、それぞれ異なった不具合の周波数やパターンを発生させます。内部に侵入することなくモーターを監視し、モーターのRPMに関連するどの周波数を探知すればよいかを知ることで、オペレータは故障を事前に検知することができます。

まとめ
工場から家庭まで、オートメーション環境でモーターやポンプの周波数パターンを分離して特定する機能は、モーターやポンプの故障の徴候を早期に発見するのに有効です。結果として、オペレータやユーザーにとってはコストや時間の節約になります。エッジのノードにおけるインテリジェンスとワイヤレス接続、さらにはクラウドでの学習アルゴリズムを利用することにより、ますます接続の進む世界でオートメーション・インフラストラクチャを統合することが可能になります。

その他のリソース
MSP 432P4ホストMCUに内蔵される高精度ADCについての最新情報は、次のアプリケーション・レポートとブログ記事をお読みください。
ワイヤレス接続ソリューションの開発と予知保全についての理解を深めるには、次のリソースをダウンロードしてください。
以下のリンク先の例は、MSP432P4ホストMCUでのワイヤレス接続ソリューションの開発に役立ちます。

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https://e2e.ti.com/blogs_/b/industrial_strength/archive/2018/05/17/predicting-motor-failures-with-vibration-analysis-part-2
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