スマート・シティ、スマート・ファクトリ、スマート・ビルディングを目指して、世界が急速に進歩する中、エントランス・システムも後れを取るわけにはいきません。自動ドアや回転バー式ゲート、ゲート式駐車場のパーキング・バーなどの未来のエントランス・システムは、センサ主導のソリューションを活用し、インテリジェントなシステムを便利で効率よく運用できるようになるでしょう。TIのミリ波センサは、図1に示すような自動ドア、パーキング・バー、工場や倉庫の入り口などのエントランス・システムを設計する際に直面する重要な課題の解決に役立ちます。

 

1.いろいろな自動エントランス・システム。a)車両の高さを基準にして開く倉庫入り口、b)誤検知を防止する自動スライド・ドア、c)車両以外がゲートに近づいても通さないインテリジェント・バーキング・バー

 

ミリ波センサの特長と機能

TIのミリ波センサは、3Dポイント・クラウド情報とオンチップ・デジタル信号プロセッサを活用し、ある場所に侵入する複数の物体の距離や、速度、角度などの重要情報を供給します。その情報を使って、さまざまなエントランス・システムがスマートな意思決定を行うことが可能になります。ミリ波センサは4GHzと広い帯域幅で機能するため、物体同士の距離が4cmの近さでも物体を見分けることができます。

エントランス・システムの場合、特に一人一人ゲートを通過するときに人数がカウントされる回転バー式ゲートでは、センサが物体や人を正確にカウントして識別するために、この高分解能が必要です。工場や倉庫の場合は、3Dポイント・クラウド情報を活用することで接近する人や車両の高さも判定できるので、効率的に入り口を操作することが可能になります。光学センサやカメラを利用しないシステムなので、その場にいる人に関する個人情報が収集されることはありません。

ミリ波センシングは、直射日光、暗闇、霧、煙、雨などの屋外条件に耐え、またプラスチックや石膏ボードを透過しての検知が可能です。そのため設備内に隠すことができ、すっきりとした産業用設計が実現できます。図2に示すのは、複数のレーンがあるドアの方向に人が歩いているときに、目的の方向を単体のミリ波センサでインテリジェントに感知する様子です。(デモビデオはこちら

2.複数のレーンがあるドアの方向に歩いてくる人を追跡するTIのミリ波センサ


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TIのミリ波センサで現在のエントランス・システムの課題を解決するには

自動スライド・ドアや、パーキング・バー、工場や倉庫の入り口に関連する課題の解決に、TIのミリ波センサでどう対応できるかを見てみましょう。

 

誤検知

誤検知は、エントランスを通るつもりがない人または車両に対して、自動エントランスが開いてしまうといったことです。例えば、エントランスを通るのではなく単にその横を通過する買物客に対して自動エントランスが開いたとします。エントランスの開閉は無駄だったため、この動作はエントランス・システムの電力消費に影響しますが、それだけでなく、該当のエリアから暖気や冷気が逃げることでエネルギー効率にも影響します。

TIのミリ波センサは、位置および速度の情報と共に、豊富な3Dポイント・クラウドを活用し、動いている物体の目的の方向を判断することで、誤検知を防ぎます。

 

静止物体の検出

エントランス・システムの設計では、ドアの経路上に台車、荷物、または子どもなどの特定の物体がとり残されているといった場合に、被害を防ぐための最善の方法は何かを考える必要があります。TIのミリ波センサにはオンチップ・プロセッサが搭載され、センサの視野内にある動かない物体の位置を検出するアルゴリズムを実行します。これを受けたシステムが、ドアを開けたままにしておくなどの判断をできるため、自動エントランスの信頼性の高い動作が保証されます。

 

システムの複雑性

オンチップにプロセッサを統合することで、出入りの多い複数のレーンやゲートをセンサ1つで精密かつ正確に監視することも可能になり、システム全体の複雑さやコストを抑えることができます。複数のレーンやゲートをカバーしなければならないエントランス・システムのアプリケーションでは、システムが複雑になるため設計期間が長くなり、コストも上昇します。既存のほとんどのセンシング・テクノロジでは、ある場所内の特定のゾーンや複数の物体または人を監視するのに複数のセンサが必要となるため、システムが複雑で高コストになります。

 

利便性とユーザー体験

日々利用するユーザーにとって便利なエントランス・システムが動作することも、また別の課題です。例えば、自動ドアに向かって人が走ってきたとして、ドアが開くのが間に合わなかったら、走る速度を落とさなくてはなりません。TIのミリ波センサにより得た、接近するユーザーの距離、速度、および角度の情報を活用することで、ユーザーとの相互作用に基づいてシステムが直観的に動作できるようになります。

 

まとめ

TIのミリ波センサを自動エントランス・システムに使用すると、誤検知が減少し、静止物体を検出でき、システムの複雑性を抑え、利便性の高いユーザー体験を実現できます。さまざまな環境条件での運用が可能で、人間や動きを追跡しながら身元識別可能な情報は取得しないというミリ波センサの機能のおかげで、屋内と屋外のどちらの環境でも柔軟に利用できます。

 

参考情報

+自動ドア関連のソフトウェアはこちら 

+デモビデオ Intelligent Automated Doors with TI mmWave Sensors”

+技術記事 「スマート人体センシング・テクノロジによる未来のエレベータの設計」

+ホワイト・ペーパー「TIのミリ波センサ採用による、微細動��検出と人数計測向けのインテリジェント自律機能の導入」

 

※上記の記事はこちらの技術記事(2019年5月22日)より翻訳転載されました。

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