ハードウェアを設計するエンジニアは、設計上の課題に対処するための新しいソリューションを常に求めています。しかし同時に、信頼性が高く、優れた技術とよく試験された基板を備え、より小型で、高機能、低コストを常に追求するといった、新プロジェクトの難問をすべて解決するための時間は限られています。

中央処理装置、入出力、通信モジュールやヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)パネルなどを装備した産業用プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)システムでは、電源供給に必要な電源レールがますます増えており、基板のスペースをすぐに使いきってしまいます。

SOT(Small-Outline Transistor)23は、このようなアプリケーションのDC/DCコンバータに一般的なパッケージ・タイプですが、基板上のかなりの面積を占めます。8mm2超のパッケージと4mm角以上のインダクタを搭載すると、産業システムの基板で利用可能な面積から、実装できる電源レールの数が制限されます。超小ピッチのボール・グリッド・アレイまたはチップ・スケール・パッケージに移行すると、大量生産では非常に高コストとなることが多く、半田付けやベンチ・テストの課題も伴います。

SOT563は、リード付きパッケージの利点を持ちながら、サイズが非常にコンパクトです(図1)。半導体ではこのパッケージは目新しいものではなく、MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)やダイオード、温度センサのようなディスクリート部品では数年にわたり利用されていますが、DC/DCコンバータにも使われるようになりました。SOT563パッケージは、広く普及しているSOT23に比べて65%も小型であるにもかかわらず、プローブ(テスタ)に接続できるリード(ピン)が同じように備わっています。加えて、これらのリードのおかげで、半田付けを複雑なX線検査で調べる代わりに、目視検査を用いた低コストの大量生産施設を利用できます。

 図1:SOT563 DC/DCコンバータ・パッケージに搭載されるTIの3A出力TLV62585DRL

SOT563パッケージはソリューション・サイズが小さいため、HMIやPLCシステムでのマルチレール電源に適しています。最高の性能と最大限の柔軟性を得るために、負荷の近傍で、基板上の必要なところに電圧レールを配置できます。大型のパワー・マネージメント集積回路を1つ用いる代わりに、マルチレールを使用すると基板レイアウトを大幅に簡素化でき、システムの電磁干渉性能の最適化に有効です。

AM3358 Arm® Cortex®マイクロコントローラを搭載したアプリケーション・プロセッサ向け12mm角5レール電源シーケンシングのリファレンス・デザインは、このような実装の一例です(図2)。この5レールのリファレンス・デザインの電源ソリューション・サイズは、タイトルにも示されるとおり、インダクタやコンデンサ、抵抗などの必要な外部部品すべてを含めて全体でわずか12mm × 12mmです。

 図2:SOT563降圧コンバータを使用した12mm角5レール電源シーケンシングのリファレンス・デザイン

PLCモジュールの消費電力は比較的低く、通常ではモジュールあたりで2Wを超えません。そのため、ほとんどの電源レールは最大でも1A、2A、あるいは3Aしか消費しません。しかし、熱の面での制約によりリニア・レギュレータを利用できないことが多く、そのためポイント・オブ・ロードに高性能DC/DCコンバータが必要です。例えば、新しいピン互換のTLV62568/TLV62569/TLV62585ファミリなどです(表1)。

 表1:SOT563パッケージで供給されるTIのDC/DCコンバータ

DC/DCコンバータのSOT563パッケージには、ソリューション・サイズと使いやすさの面で多くの利点があります。HMIやPLCの場合を含め、幅広い産業アプリケーションで急速に新たな標準パッケージとなりつつあります。

その他のリソース

上記の記事は下記URLより翻訳転載されました。
https://e2e.ti.com/blogs_/b/powerhouse/archive/2019/01/21/how-a-small-sot563-dc-dc-converter-supplies-multirail-power-in-industrial-applications
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