Other Parts Discussed in Post: UCC27712-Q1

この記事では、お客様からよく寄せられる質問とそれに対する回答をまとめています。

質問:BLDCモーターのインバータ段のIGBTに、現在は3相ブリッジ・ドライバを使用しています。

なぜ、既存ソリューションの3相ブリッジ・ドライバをゲート・ドライバに置き換えることを考えた方がいいのでしょうか。現在のソリューションよりも、ハーフブリッジ・ゲート・ドライバのどこが性能上優れているのでしょうか。 

回答:

高電圧3相BLDCモーターは、高電圧HEV/EVのACコンプレッサの駆動に使われます。10kWもの電力が必要になることがあるHVACコンプレッサは、消費電力がトラクション・モーターに次いで2番目の高さです。

図1は、3相BLDCモーターを駆動するインバータ段としてIGBTを用いる、標準的なACコンプレッサ・モジュールの���ロック図です。インバータ段には、ハーフブリッジ・トポロジを構成する3対のハイサイドIGBTとローサイドIGBTが含まれます。

1:車載用高電圧HVACコンプレッサ・モジュールのブロック図

設計者には、図2のように、インバータ段のIGBTの駆動に3相ブリッジ・ドライバICを使用するという選択肢があります。しかし、このドライバの駆動能力は500mAに満たないため、一般に3相ブリッジ・ドライバ・ソリューションには、電流ブースターとして働くバッファが余分に必要です。つまりこれは、部品の追加、つまりコストの上昇、システムのPCBサイズの増加、そして理想的とは言えないPCBレイアウトによる寄生容量の結果としてシステム全体の性能低下(EMIリスクと伝搬遅延の増加)を意味します。

23相ゲート・ドライバによるインバータ段の駆動

IGBTによるスイッチング損失を最小限に抑え、EMIを低減してシステム効率を高めるために、ハーフブリッジ・ゲート・ドライバを使って、インバータ段の各相を駆動する方法を取ることもできます。つまり、図2の3相ブリッジ・ドライバは、図3のようにUCC27712-Q1のようなハーフ・ブリッジ・ドライバに置き替えられることが増えています。

3:ハーフ・ブリッジ・ゲート・ドライバ3個によるインバータ段の駆動

IGBTの駆動にTIのハーフ・ブリッジ・ドライバを使用する理由を、以下に説明します。

  • ゲート・ドライバの観点から、EMIはゲートのオーバーシュートに関係することがよくあります。図2の構成だと、3相ブリッジ・ドライバのスイッチ・ノード・ピンからIGBTまでの配線が長くなるなどしてPCBレイアウトが複雑になり、EMIがより問題になるかもしれません。図3に示したUCC27712-Q1を用いる方法では、余分な部品が不要になり、ドライバICをIGBTのすぐ近くに配置できる一方で、最小限のエリアにスイッチ・ノードを閉じ込めることにもなるので、PCBレイアウトが複雑になり過ぎるのを防ぎます。これはすべて、EMI問題の軽減につながります。
  • ICが1.8A/2.8Aのソース電流とシンク電流を供給できるので、ゲート駆動電流を増幅するブースター段を余分に用意する必要がありません。
  • インターロックおよびデッドタイムの機能により、両方の出力が同時にオンになることを防止することで、ハーフブリッジを貫通電流から保護します。
  • 22Vの広範囲VDDにより十分なマージンが得られるため、IGBTを効率よく駆動できます。
  • IC面積が大きくなることが多い(場合によっては17.9mm×10.3mmにもなる)3相ブリッジ・ドライバに対して、このICのパッケージ・サイズは6.0mm×4.9mmなので、PCB面積が大幅に削減されます。小型であることと、ICとそれに関連するパッシブ部品が少ないことで、IGBTを駆動する回路に必要なPCB面積が減少します。

次の表1に、ハーフブリッジ・ゲート・ドライバであるUCC27712-Q1について、一般的な3相ブリッジ・ドライバよりも優れている主な点をまとめました。

 

1UCC27712-Q1の性能上の利点

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参考資料:

 

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※上記の記事はこちらの技術フォーラム(2020年4月1日)より翻訳転載されました。
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