「利口な人は問題を解決する、賢い人は問題を回避する」アルバート・アインシュタイン

アルバート・アインシュタインは恐らくアナログ設計が好きだったのではないかと思います。アナログ設計には、常に相対的な要素が含まれています。例えば、データ・アクイジション・システムの精度は、データ・コンバータのリファレンス電圧を基準とした、相対的なものです。

設計者の知恵と洞察力次第で、必要なトレードオフを評価し、基板レベルの設計で最適な性能を実現できます。設計者は、電圧リファレンス回路の設計に隠れた落とし穴を常に考慮しなければなりません。さもなければ、16 ビットのデータ・アクイジション・システムが、しばしば、12 ビット精度で動作することがあります。

データ・アクイジション・システムの A/D コンバータにリファレンスが内蔵されていない場合、外部の電圧リファレンスが必要になります。基板レベルやシステム・レベルの設計者にとって残念なことに、これがしばしば、高精度データ・アクイジション・システムの性能低下の原因になります。これらの回路は、A/D コンバータの精度を決定する、高精度の電圧を供給します。

良いニュースは、A/D コンバータ用の外部リファレンスの性能の最適化に役立つ、電圧リファレンス、リファレンス駆動アンプ、外部コンデンサという、3 つの重要な構成要素があることです。これらのデバイスを選択する場合、次の注意を忘れないでください。

1)    電圧リファレンス:A/D コンバータのノイズフロアよりも低い 1/f(フリッカ)ノイズ特性で、設計の総合的な電源要件に適合するリファレンスを探してください。A/D コンバータ以外に何か大きなノイズ源がある場合、それが設計全体の精度を直接悪化させます。

2)リファレンス駆動アンプ:SAR(逐次比較)型 A/D コンバータのリファレンス入力(REF_in)にはコンデンサのスイッチ回路が内蔵されており、電圧リファレンスに対して電流の動的な増加を要求します。このことから、A/D コンバータの変換動作に対する安定度やセトリングの問題に対応するために、外付けの駆動アンプが必要になることがあります。

アプリケーションに適合するアンプを選択する際には、容量性負荷の駆動、ノイズ、ドリフトや消費電力などに関する、バランスの取れた配慮も忘れてはなりません。

3)コンデンサ:最良の低ノイズ・リファレンスでも、A/D コンバータと比較して、RMSノイズを無視できるレベルまで低減するフィルタが必要になります。リファレンスのノイズが、A/D コンバータの RMS ノイズの 1/3 を超えないようにしてください。 

電荷のバケツの大きさ(Cref1 の容量値)は、1)A/D コンバータのリファレンス端子に流れ込む動的電流の平均値、2)A/D コンバータの変換動作に対するドループ要件、3)リファレンス駆動アンプが供給可能な電流量によって決まります。

高精度アプリケーションでは、通常、Cref1 の容量値は 10μF ~ 22μF の範囲になります。

これらの重要な配慮は、アインシュタインが誇りとしている知恵をもたらし、将来の設計で、より高い性能を実現するために役立ちます。

リファレンス回路の詳細については、最大 1kHz AC、1mW、18 ビット、1MSPS の性能を必要とするシステムのリファレンス・デザインTI Precision Design TIPD 114をご覧ください。設計の計算に役立ちます。

 

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

http://e2e.ti.com/blogs_/b/precisionhub/archive/2013/08/02/accurate-data-acquisition-it-s-all-relative

 

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