USB充電器をType-AからType-Cへアップグレードする際の要件

USB充電器はますます普及しており、汎用品になりつつあるようです。USBポートはコンピュータにしか付いていなかった頃から、壁などのコンセントやクルマのパネル、航空機の座席などで利用されるようになっています。

従来のUSB Type-A充電器は、一つの電圧しか扱えませんでした。これでは、簡単な高位設計にしか役に立ちません。図1に簡単な回路図を示します。RFBL とRFBUで構成された抵抗分割回路は、閉ループで安定化した出力電圧をVBUSに印加します。この回路構成では、左のフライバック・コントローラが安全のため出力電流を制限します。

1 Type-A型コンセント向けの従来のUSB充電器の回路図

USB Type-C™コネクタ上のUSBパワー・デリバリ(PD)はより大きな電力で充電することができますので、USB充電のエコシステムを一層広げることになります。しかし、USB PDとUSB Type-Cは新しい要件なので、図1の回路では十分ではありません。

図2は、USB PD充電器の簡単な回路図です。2個のMOSFETが電力供給パスにあることがすぐにわかります。図1には示されていませんが、バルク静電容量もあります。また、この回路図は多数の電圧を供給できることもご注目下さい。このPDコントローラはコンフィギュレーション・チャンネル(CC)よりも高い電圧でやり取りをし、CTL1やCTL2のピンを引き下げ、抵抗分割回路を調整して5Vよりも高い電圧を発生させます。このCTLピンは、所定の出力電圧を選択するため、PDコントローラによってアースに接続するか、あるいは高インピーダンスに設定するかのいずれかを設定できます。

2 Type-Cコンセント用のUSBType-C PD充電器の回路図

USB Type-CはUSB Type-Aとは異なる要件がいくつかあります。表1に、ここで説明している二つの新しい要件と、そこから推測される事項をまとめました。

1 USB Type-C PD充電器におけるVBUS に対する新しい要件

一つ目の新しい要件は、USB PD対応の充電器はコールド・ソケットでなければならない、ことです。つまり、プラグが空の時、VBUSは0Vです。 さらに、誤動作が起きると、この電源は閉じるためにVBUSを強制的に0Vに駆動しなければなりません。つまり、USB PDを強制的にリセットするのです。VBUSを0Vで駆動させるには、PDコントローラの電源を維持しながら、コネクタ上のVBUSからフライバック出力の接続を切る必要があります。図2の回路図はQ1のFETを使ってVBUSを0Vに持っていくことができます。その間、CC1とCC2のシンク・アタッチメントをモニターしてPDコントローラをその電源入力(VPWR)を高く保つようにします。

USB仕様では、「0V」とは実際には0.8V未満を意味し、規格上ではvSafe0Vとして表します。これによって、どのようなUSB接続デバイスやシンクでもVBUSがゼロになりリセットされることを確実に検出します。このUSB規格はUSB自身で電源供給する周辺機器に対して、4.0V以上の過渡電圧などの何かを検出したらソケットから外す(USB3.1のセクション7.5.1.2.4)ように要求しますが、ほかの周辺機器に対しては、外すべき電圧を規定していません。一般的に、USBデバイスがより低い電圧でも動作します。このため、0.8Vを定義することで、全てのデバイスがソケットから外れることを確実に検出します。

2番目の新しい要件はType-Cのコンセントが空になった時にこのコンセントは、VBUSに対して10µF以上の静電容量にさらされることはありません。図2の回路図ではQ2 FETが、CBULKCへの突入電流をブロックします。Q2はCPDIN がコネクタ上のVBUSに直接加わるように静電容量を分配し、CBULKCをコネクタから分離します。USB PDが100Wまで供給できるので、CBULKC の静電容量は非常に大きくなる可能性があります。USB3.1の規格では、容量性の突入電流を制限する理由をいくつか挙げています。例えば、コンタクトのアーク放電を限定してコネクタの寿命を伸ばしています(USB3.1のセクション11.4.4.1を参照)。このことによって、USB Type-BポートにコンセントのVBUSピン上の静電容量を10µFに限定します。

USB Type-Cの規格は、従来のAプラグからCプラグを適用するケーブルを定義していますので、Type-AのコンセントからVBUSをUSB Type-CのコンセントのVBUSにつなぐことができます。このため、従来のType-Aポートを保護するために、全てのType-Cコンセントは、Type-Bポートに対して同じ10µFリミットでVBUS を電源にしなくても、静電容量を制限しなければなりません。

3 USB Type-AプラグからType-Cプラグへ

最後に、USB PD充電器は専用ケーブルを取り付けるといった選択肢があります。専用ケーブル製品は、Type-CのコンセントではなくType-Cのプラグを持っています。USB Type-Cの規格はType-Aプラグ(オス)に対してType-Cコンセント(メス)を定義していません。このため、VBUSピン上の静電容量は、限界を決める必要がありません。Type-Aポートに機械的に接続することはないからです。このことは、図4で示す最適化につながります。ここでは、Q2FETを除去していますが、Q1 FETは残したままですので、VBUSは0Vまで駆動できます。専用ケーブルを用いるもう1つのメリットは、1個のCCピンしか必要ないことです。というのは、Type-CプラグはCCピンが1個しかないためです。

表2に、二つの新しい要求が異なるアプリケーションの可能性をまとめています。

2 新しい要件の適用性

Q1やQ2が必要なシステム(USB PDのアプリケーション全て)では、システム設計者は最も小さなRDS(on)を持つFETを選択することでシステムへの影響を最小限に抑えることができます。NチャンネルMOSFETは一般にPチャンネルMOSFETのRDS(on)よりも低いので、TIが最近リリースした『TPS25740』と『TPS25740A』のUSB PDコントローラのようなNチャンネルMOSFETを直接制御できるPDコントローラを選択することが一番良いでしょう。

4 USB Type-C プラグ(専用ケーブル)に向けたUSB Type-C PD充電器の回路図

全ての新技術において、USB Type-C充電器を開発する時、配慮しなければならない細かいことがたくさんあります。それは既存のUSB Type-A製品からのコピー品ではないということです。USB Type-C充電器のリファレンス・デザインをダウンロードして、もっと高い電力を充電できるようUSB設計をアップグレードしてみてください。

参考情報
・ブログ記事:
 - USB PD 2.0と3.0の違い
 -USB Type-Cアプリケーションでの電力共有
・リファレンス・デザイン:
 - USB Type-Aポートを5V専用USB Type-Cポートに変換

※すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します。
※上記の記事はこちらのBlog記事(2017年1月17日)より翻訳転載されました。

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