自動運転におけるAI、実用的なディープ・ラーニング


近い将来、私たちは人工知能(AI)によって安全に目的地に到着できるようになり、生活はより快適になるでしょう。このような日がいつ到来するのかを正確に予測するのは難しいですが、AIは現在の表層的なものから、より現実のものに近づくと予想されます。

一方で、ディープ・ラーニング技術を利用したAIの実用化は、一般消費者が利用しやすい自動車の安全システムの進歩において重要な役割を担います。

ディープ・ラーニングは、数十年前に提唱された概念ですが、現在は汎用コンピューティング・プラットフォームでも利用できる、より現実的な技術となりました。ディープ・ラーニングの「ディープ」つまり「深層」とは、最終結果を得るために各レイヤ間のデータを数学的に処理、フィルタリング、畳み込み、入出力間に適用される隠れたレイヤの数に由来します。視覚システムでは、ワイド・ネットワークよりも、ディープ・ネットワークのほうが、ある事象に何層ものレイヤを適用することで、より一般化した認識が可能になり、最終的に望ましい結果を得られる傾向があります。このような複数レイヤを使用する利点は、様々な抽象化レベルで学習できることにあります。

画像を分類するためにディープCNN(畳み込みニューラル・ネットワーク)を学習させる事例を検証してみましょう。最初のレイヤではエッジなどの基本的な事象を認識するように学習させます。次のレイヤでは、縁の集合、すなわち形を認識するように学習させます。その次のレイヤでは、形の集合、すなわち目や鼻などを、そして最後のレイヤでは、顔などの、より高次の事象を認識するように学習させます。この複数レイヤを使用する手法は、ローデータと高度に分類されたデータの間に存在する中間の特徴のすべてを学習することから、事象をより一般化することが可能になります。この手法は図1にあるように、交通標識や、さらには濃い色のサングラスや帽子で覆われた顔の識別などの最終使用例で大きな利点を持ちます。

 図1:交通標識認識の簡単な事例

一方、ディープ・ラーニングの「ラーニング」つまり「学習」は、図2にあるように、既に存在する膨大な入力および出力情報に基づいてより正確な結果を導き出す方法を、レイヤード・ネットワークに学ばせる反復学習(誤差逆伝搬)に由来します。この学習では、反復作業により誤差を減らし、最終的にシステム要件を満たすようにレイヤ化機能の結果を絞り込み、ターゲットとなるアプリケーションのロバスト解を提供します。この種の学習、レイヤ化、相互接続は生物の神経系に似ているため、AIの概念を裏付けるものです。

図2:誤差逆伝搬の簡素な事例

ディープ・ラーニングの有効性は一般的に知られるようになりましたが、実際のアプリケーションの面ではいまだ課題が残ります。全体コストや消費電力、コンピューティング能力の拡張性など、厳しいシステム制約が課される組込み型アプリケーションの場合、ディープ・ラーニングを活用するシステム・デザインでは、これらの制約を考慮する必要があります。現在、ネットワークやレイヤ、付随機能を開発し、ターゲットと結果を学習・検証するには、カリフォルニア大学バークレー校で開発されたディープ・ラーニングのフレームワークであるCaffeやGoogle考案のTensorFlowといったフロント・エンド・ツールを使用します。この作業が完了したら、組込みプロセッサ向けのツールにより、フロント・エンド・ツールの出力を実行ソフトウェアや組込みデバイス向けに変換することができます。

TIディープ・ラーニング(TIDL)フレームワーク(図3)』は、『TI TDAxオートモーティブ・プロセッサ』で稼働するディープ・ラーニング/CNN対応アプリケーションをサポートし、効率的な組込みプラットフォーム上で魅力的な先進運転支援システム(ADAS)機能を提供することができます。

 図3:TIDLフレームワーク(TIデバイス・トランスレータ・ディープ・ラーニング・ライブラリ)

TIDLフレームワークにより、組込み型アプリケーションの迅速な開発が可能になり、ソフトウェア拡張性を可能にするプラットフォーム抽象化、TIハードウェア上に実装される高度に最適化されたCNNアクセラレーター向けカーネル、TIDLアプリケーション・プログラミング・インターフェイス(API)を使用してオープン・フレームワーク(CaffeやTensorFlowなど)から組込み型フレームワークにネットワークを変換できるトランスレータを使用することができます。

参考資料

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※上記の記事はこちらのBlog記事(2018年2月8日)より翻訳転載されました。

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