自動車メーカーが、利便性と快適性に優れ、高い性能と燃費を誇る車両を消費者に提供することを目指しているなかで、自動車業界は次々に新たな技術を導入しています。技術革新として目立つものは、車内環境、およびインフォテインメント・システムの一部にありますが、自動車パワートレインにも、車両の操作性や性能、燃費を改善する大きな改良点があります。

現在、消費者にとっての一般的なパワートレインの選択肢は、マニュアル・トランスミッション(MT)かオートマチック・トランスミッション(AT)のどちらのクルマを買うかという点にあります。運転そのものを楽しみたい人は、MTを選ぶ傾向にありますが、ATの方が便利なため、一般的となっています。ATは、車載処理機能を要する大型で複雑なシステムであり、あらゆる運転条件下で作動しつづける必要があります。

ATは、車両のエンジンが生成した動力を受け取り、運転の要求に基づいて異なるギア比に配分することで作動します。それぞれのギアの目的は、エンジンの毎分回転数(RPM)と車輪に供給されるトルクを車両の現在の速度と加速に確実に合わせるようにすることです。エンジンのフライホイールからの動力がトルクコンバータを通してトランスミッションに伝わります(図1参照)。

 図1:オートマチック・トランスミッション(AT)の概要

トランスミッション制御ユニット(TCU)は、トランスミッション・ケースから報告される速度、位置、圧力および温度のデータに基づくギアシフトを管理する高度な制御システムです。エンジンに対して求められる接続に基づいて、TCUおよびトランスミッション・ケースの両方が、エンジン・コンパートメントの内部か、エンジン・コンパートメントの付近に配置されます。しかし、エンジン・コンパートメント内は非常に高温となるため、TCUにもトランスミッション・ケースにも損傷のリスクが生じる場合があります。

TCUモジュールには、高温の影響を受けやすいMCUなど、多くの集積回路を搭載したボードが含まれています。多くのMCUには、何らかの形で温度検出機能が統合されていますが、通常は精度が不十分であり、TCUモジュールの全体的な温度の概算値が不正確なものとなります。

『LM 71 Q1』は、シリアル・ペリフェラル・インターフェイス(SPI)経由でMCUに直接温度を伝送できる外付け温度センサです。ここでは、アナログからデジタルへのコンバータ・チャネルやルックアップ・テーブルは必要ありません。さらに、『LM 71 Q1』は、-40°C~+150°Cの範囲で、+3/-2°Cの精度でTCUモジュール全体の温度をモニタリングできます。

前述のとおり、TCUはトランスミッション・ケースからの温度データを決定プロセスの一部として使用します。『LM 71 Q1』は、トランスミッション・ケースへの取り付けが可能な2端子のリード・パッケージによる、使いやすいデジタル温度センサです。ワイヤを『LM 71 Q1』パッケージのリードに圧接し、それらのワイヤをTCUボードに接続できます。『LM 71 Q1』は、MCU/プロセッサによってカウントされたパルスを送信することで、温度を伝送します。

『LM 71 Q1』のメリットは、常時オンのパルス・トレインです。つまり、デバイスに不具合があり、温度の測定/伝送が行われなくなった場合、それがはっきり分かります。車載認定された『LM 71 Q1』は、-40°C~+150°Cの範囲で、±0.75°Cの精度でトランスミッション・ケースの温度をモニタリングできます。

ATは、ギア比を最適化し、ドライバー体験を改善することで、燃費を向上させる優れた技術革新です。ATの適切な動作を確保するには、ATケースとTCUの温度を入念にモニタリングする必要があります。TIは、完全な熱管理戦略を実装するのに役立つ、使いやすいソリューションを取り揃えています。

参考情報

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※上記の記事はこちらのBlog記事(2018年5月31日)より翻訳転載されました。
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