車載ライティング市場は大幅な成長が予測されています。成長をけん引しているのは、自動車生産台数の増加、車載ライティング分野の技術的進化、夜間走行時の安全対策ニーズの増大です。LEDは白熱球に比べ柔軟性と効率が高く、コンパクトなソリューションを提供します。

TIの車載LEDライティング・システム向けCISPR 25 Class 5定格7.5Wテールランプのリファレンス・デザインは、最新のLEDアレイ向け電源の設計をサポートする車載テールランプ、方向指示器、ヘッドライトのためのリファレンス・デザインです(図1参照)。このリファレンス・デザインは最適化された電磁妨害(EMI)フィルタの後段でバッテリに接続されたメイン・レギュレータとしてLM 53601-Q1を使用しています。LM 53601-Q1 DC/DCコンバータの出力はその後、方向指示器のスイッチングやアンビエント照明などの効果のためのLEDライティング・ストリングの構築に使用される2個のTPS 92638-Q1 LEDドライバに電力を供給します。


図1:車載LED電源のリファレンス・デザイン

従来のLED設計はLEDドライバに対するバッテリ・レギュレーションのために低ドロップアウト・レギュレータ(LDO)を使用していました。しかし、特にフル充電時にバッテリからの電圧が高くなった状況やロード・ダンプからの過渡電圧によって、LDOは電力損失の原因になることがあります。LM 53601-Q1は高効率を提供し、熱による大きな制約への対応を可能にするスイッチモードDC/DCコンバータです。LEDライティングでは、LED自体が多くの自己発熱の問題を引き起こす可能性があります。この問題はLEDに固有の電力損失によって発生し、これにより、スペースにかなりの制約が生じるケースもあります。発熱とスペースの制約によって、LEDライティングの内部が周囲温度よりも高くなります。DC/DCコンバータを使用すれば、電源がこうした問題を発生させることがなくなり、問題が解消します。もう1つの利点として、熱の観点からは銅エリアと基板面積を低減でき、スペースに制約のあるアプリケーションへの対応が可能になります。図2はこうしたソリューションに必要な基板の代表例です。


図2:車載LEDのリファレンス・デザイン

DC/DCコンバータを使用する際の問題の1つに、スイッチングDC/DCコンバータによって発生する電磁妨害(EMI)があります。この問題を最小限に抑える方法は、プリント基板(PCB)レイアウトと部品選択の最適化によってデバイス点数を最小化し、コストとソリューション・サイズを節減すると同時に、スイッチング・デバイスから生じるノイズを可能な限り低減することです。

この設計は伝導/放射ノイズ試験の両観点からCISPR 25 Class 5定格に準拠しています。レギュレーションとEMIフィルタリングの双方に必要な正確なサイズと、LM 53601-Q1に通常使用される部品の正確なBOMの把握を可能にします。EMIはディスプレイにちらつきやゆがみを発生させる可能性があることから、LEDライティングでは特に問題となります。EMIは最新の車載ライティング・システムの外観や設計に影響を及ぼすことがあり、決して望ましいものではありません。

図3はEMIフィルタとLM 53601-Q1のフル回路図です。


図3:EMIフィルタリングとLM 53601-Q1電源の回路図

車載ライティングの設計にはさまざまな技術的課題が伴いますが、本稿で紹介した技術は、高効率スイッチング・レギュレータによる多くの従来型ソリューションの代替を可能にします。スイッチング・レギュレータの使用によってスペース節減のほか、場合によっては総コストの低減やEMCの抑制も可能になります。こうした種類のアプリケーション向けに設計されたデバイスを使用することにより、時間、手間、エンジニアリング・コストを大幅に低減できます。TIの車載ライティング・アプリケーション向け製品の詳細については、http://www.tij.co.jp/ja-jp/applications/automotive/body-lighting/overview.html をご覧ください。

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http://e2e.ti.com/blogs_/b/behind_the_wheel/archive/2018/04/09/how-to-overcome-size-emi-and-thermal-challenges-of-automotive-led-lighting
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