スマートシティを実現するミリ波センサ

国連が発表した報告によれば、世界の人口は2050年に現在よりも20億人増加して91億人に達すると予測されています。世界的に現在進行している都市部への人口移動は、今後も加速が続くとみられます。事実、都市部に居住する世界の人口の比率は、現在の49パーセントから70パーセントに上昇すると推定されています。

こうした都市部では、地理的なスプロール現象と、耕地、水、エネルギーなどの資源不足の拡大との間の最適バランスを見出す必要があります。都市計画者はこうした課題への対応のために技術の導入を急速に進めており、資源を最大化し、急増する住民の生活の質を向上するスマートシティの実現に取り組んでいます。スマートシティはセンサを活用し、資源レベルとともに人々やモノの動きをモニタします。ミリ波レーダ技術を使用するセンサは、検知範囲、速度、角度に関するユニークな特性や、環境条件に左右されない高精度かつ堅牢で長距離に対応するセンシング特性により普及する見通しです。

ここでは、スマートシティにおけるミリ波の応用例を検討します。

液面検出

資源の節減には、飲料水システム、下水排水、地下燃料タンクの中身のインテリジェントな管理が必要になります。今日のインフラのセンシング・システムは資源消費量のより高精度なモニタリングや漏れ検知を実現するため、大幅な改善が必要です。ミリ波センサはこうした重要なシステムでの容易なレベル・トラッキングに最適な、高温、高湿度のタンク環境下での堅牢性を備えた高精度の非接触距離測定を可能にします。TIの「IWR1443 77GHzレベル・トランスミッタ向け電力最適化リファレンス・デザイン」は、IWR1443ミリ波センサとMSP432™マイコン(MCU)を組み合わせ、4~20mAループパワー・システムの消費電力の制約への対応を可能にする低消費電力液面検出システムのリファレンス・デザインです。

交通モニタリング

都市部の(人々とモノの)交通渋滞によって生じる年間経済的損失は、2013年に米国だけで1,240億米ドルに達しています。INRIXとCentre for Economics and Business Researchの報告では、損失額が2030年までに50パーセント増加し、1,860億米ドルになると予測されています。スマートシティは特に交差点や高速道路などの場所で交通混雑を軽減し、交通の流れを維持しなければなりません。 

ミリ波は交差点から車両までの距離、速度、角度情報のほか、車速や車線の占有状況を測定する固有の機能を備えた交通モニタリング向けの強力なセンシング技術として活用でき、青信号制御、交通の流れのモニタリング、車両計数などに使用すれば、都市の交通渋滞の影響軽減に貢献します。

TIはフロントエンド、MCU、プロセッシング素子のシングルチップ・センサへの革新的な統合により、性能を大幅に向上しながら、従来のレーダ・システムの9分の1の超小フォームファクタを可能にしました。フォームファクタの小型化により、都市やその他の地方自治体にとってミリ波センサの導入が容易になり、コスト効率も向上します。

TIの「ミリ波レーダ・センサを使用した交通モニタリング物体検知 / 追跡リファレンス・デザイン」は最大175m離れた時速最大70kmで走行中の車両などの対象物の検知、クラスタリング、追跡のためにシングルチップ・センサとしてIWR1642を採用したリファレンス・デザインです。

インテリジェント照明

人口増加に伴ってエネルギー資源の消費が拡大していることから、エネルギー消費節減努力も重要です。部屋を出る際に電気を消すのと同じように、屋外の照明も車両や歩行者が存在しない時に自動的な消灯や調光を実現するインテリジェント機能を備えるべきです。こうしたシンプルなエネルギー節減方法は、光害の低減による住民の生活の質の向上も実現します。

そのために、屋外の照明は車両や歩行者が接近した時に光がなくてもセンシングを実行できなければなりません。隣接する街路灯は対象物の進行方向や速度に基づいた点灯が可能になります。他のセンシング技術と異なり、ミリ波センサは街路灯作動のために周辺光を必要としないほか、環境条件や天候に対する堅牢性も備えています。ミリ波は100m超の距離にわたって対象物の位置や速度を正確に検知する能力を持ち、照明制御システムによる交通インフラ向けシステムなどのための移動傾向モニタリングや対応策の実行を可能にします。

都市全域でミリ波センサを採用し、生活の質を向上

これまで述べて来た内容は、未来のスマートシティにおけるミリ波センサ応用例のごく一部です。交通システム、モノの配送、セキュリティ・システム、サービス・ロボットなどにも応用できます。未来のスマートシティの生活の質を向上するミリ波の用途として、他にどのような例があるでしょうか。

本稿はWireless Design & Developmentに掲載されました。

 

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

https://e2e.ti.com/blogs_/b/industrial_strength/archive/2017/09/14/mmwave-sensors-make-cities-smarter

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