たとえば、あなたがスマートオフィスで一人、遅くまで残り、今日最後のメールを書いていたり、集計をまとめようとしていたりするとします。すると突然オフィスの電気が消えました。あなたはモーション・センサが感知するよう立ち上がり手をかざすことで、ようやく電気がつきました。

上記のような体験をされた方がいらっしゃることでしょう。今日のモーション・センサは、屋内に人がいるときに検知能力が落ちることがあり、またオフィスの椅子に一人腰掛けて静かに仕事をしている場合のように、人がじっとしているときにもしばしば機能しません。現在の受動型赤外線(PIR)または超音波モーション・センサの技術は、机で静かに座っている、電話をかけているときなど、微細な動きを忠実に検知することができません。

 図1:室内にいる人を検知できない、PIRや超音波などの今日のモーション・センサ技術

ミリ波レーダ(mmWave)は、他のセンサ技術では見逃してしまうとても微細な動作も検知できるため、占有検出に最適な技術です。この性能を証明するために、TIのミリ波チームはPIRモニタ・センサを取り付けた会議室である実験を行いました。会議室には、三脚にミリ波評価モジュール(EVM)を設置し、EVMの120度の視界で部屋全体を見渡せるようにしました。この独創的なデモを使用し、速度分解を最大化し、静的事物を無視し、検知された対象をグループ化しないことで、動作の少ない屋内の空間に最適なミリ波センサの設定を導き出しました。図2からわかるように、この会議室は長さ6メートルで、大きなテーブルや複数の椅子など、様々なオブジェクトが点在しています。

 図2:ミリ波EVMセンサとPIRセンサのモーション検知性能の比較に用いられた会議室
右図の数字はテーブルの周りに置かれた椅子の位置

ミリ波EVMとPIRモーション・センサの比較では、3種類の動作をテストしました。

  • 大きな動作(歩行)
  • 小さな動作(PCのタイピング)
  • かすかな動作(呼吸)

これらの3種の動作を会議室のあらゆる所からテストした結果、PIRセンサは会議室のどこであろうと歩行を検知できましたが、PCのタイピングと呼吸に関しては検知できませんでした。対照的に、表1にあるように、ミリ波センサでは、PCのタイピング、呼吸、歩行のすべてを検知できました。

図3は、ミリ波センサで検知された動作を示す反射点です。この動作は、図4にあるように、煙で充満した部屋の中など、困難な環境でも検出可能です。

1:ミリ波が幅広い動作を検知できる一方、PIRは歩行などの大きな動作しか検知できないことが判明

 3:散布およびドップラー・レンジの点として表示された、ミリ波による動作
静的事物が取り除かれたときだけ、動作はこれらの点として表示される

 4:ミリ波によるかすかな動作の検知は、煙や熱源が充満した部屋などの困難な環境でも可能

TIのミリ波技術は、上記のような動作の検知に優れるだけでなく、距離および角度情報を提供します。動作がどこから来ているのかを検知し、特定する能力は、様々なアプリケーションにおける誤検知を減らす重要な要素です。動物を検知対象から外し、人間がドアのような特定の場所に近づいてくる時にだけ電源がオンになり、録画を開始するセキュリティ・カメラを想像してみてください。または、煙で充満した部屋に人がいるかどうか、さらにその人が意識を失っているかどうかまでを第一対応者に知らせてくれる煙探知機や、動く対象物が自分の動作範囲に入ると、自動で電源を切る工場ロボットを想像してみてください。忠実に距離、角度、速さを検知するTIのミリ波技術を活用することで、これらの機能を幅広いアプリケーションのセンサに組み込むことができます。TIは、TI Design『TIDEP 01000』において、複数の人の追跡、位置特定、集計を行うこの先進機能のデモンストレーションを行います。『IWR1642EVM』を手にし、この事例がどのようにして次世代の先進的な占有検知アプリケーションを実現できるのかを学んでください。

 参考情報

※すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。
※上記の記事はこちらのBlog記事(2018年3月27日)より翻訳転載されました。
*ご質問は E2E Support Forumにお願い致します。

Anonymous