スマート・ゲート・ドライブ・アーキテクチャとは何か(Part 1):IDRIVEについて

制御、効率、保護・・・ 新しいICに関連してこうした用語を耳にしますが、これらは何を意味するのでしょうか?私はデバイスのすべてについては話すことはできませんが、テキサス・インスツルメンツがモーター・ゲート・ドライバとともに導入しようとしている新しい技術については語ることができます。ブラシ付きDC、ステッパ、ブラシレスDCモーター・アプリケーション向けのTIのモーター・ゲート・ドライバは、スマート・ゲート・ドライブと呼ばれる新しいアーキテクチャを採用しています。このブログ・シリーズでは、スマート・ゲート・ドライブとは何か、どのようなモーター・ゲート・ドライバに使用されているのかを解説するとともに、関連資料やツールについても紹介します。

TIのスマート・ゲート・ドライブ・アーキテクチャは、IDRIVEとTDRIVEと呼ばれる2つの機能を通じて、保護機能とゲート・ドライブ設定機能を提供します。このブログ・シリーズでは、Part 1でIDRIVE、Part 2でTDRIVEの概要を説明します。

IDRIVEはゲート・ドライバの出力駆動電流をダイナミックに調整します。本稿ではIDRIVEの動作の詳細には触れません。ゲート駆動電流がパワーMOSFETにどのように影響するかを知りたい方はIDRIVE/TDRIVEに関するアプリケーション・レポート(英語)をご覧ください。IDRIVEは簡単なレジスタへの書き込みまたはアナログ電圧設定により、スイッチング電源設計の重要なパラメータであるMOSFET VDSスルーレートの制御を可能にします。図1は動作中のこの機能を示します。DRV8305-Q1EVM上のVDSスルーレートの残像形オシロスコープ画像で、駆動電流は10~70mAにわたっています。

 図1:DRV8305-Q1のIDRIVEの動作例

MOSFET VDSスルーレートが重要なのは、スイッチング効率の最適化と寄生効果の最小化を可能にする基本パラメータだからです。スイッチング効率とスルーレートの関係は比較的よく理解されていますが、寄生効果の多くはそれほど明瞭ではありません。MOSFET VDS スルーレートに関係する2つの一般的な副次的寄生効果として、スイッチノード・リンギングと電磁干渉(EMI)が挙げられます。

スイッチノード・リンギングは、パワーMOSFETやPCBレイアウトの高いdV/dt(スルーレート)、寄生インダクタンス/キャパシタンスが原因で発生します。リンギングはスイッチノード電圧をグラウンド・レベル未満に引き下げたり、電源電圧以上に押し上げたりする可能性があり、その結果、ゲート・ドライバまたはパワーMOSFETの仕様値を満たすことができず、重大な故障を招くことがあります。図2は負の大きなスパイクを発生させ、ゲート・ドライバの絶対最大定格を大きく超える原因となるスイッチノード・リンギングの例を黄色で示しています。

 図2:スイッチノード・リンギングの例

スイッチノード・リンギングは、ショットキ・ダイオードや抵抗器/コンデンサ(RC)スナバなどの外付け部品により解消できますが、最善の方法はVDSスルーレートを調整し、数式中のdV/dt成分を減らすことです。IDRIVEは設計段階でこれに関して迅速な決定を可能にし、システムの寿命にわたって性能を一定に維持できるようにします。

スイッチング電源の設計時に直面するもう1つの微妙な問題がEMIです。故障モードの形は異なりますが、しばしばスイッチノード・リンギングの原因となります。絶対最大定格を超過することはない代わりに、スイッチノード・リンギングは近接部品やシステムに伝播する高周波成分を発生させます。ある製品が許容可能な干渉レベルを超えた時には、適合性試験で現れる可能性があります。

図3はスイッチノード・リンギングの別の例を示しています。しかし、図4に示すように、このケースでは高周波振動とその高調波が、より高次のRFエミッション・レベルの原因となっています。

図3:スイッチノード・リンギングEMIの例


図4:EMIスキャンの例

図5に示すように、IDRIVEの調整によりMOSFETスルーレートの変更が可能になり、高周波リンギングを除去できます。図6はRFエミッション・レベルが大幅に低下したRFスキャンの例です。

 図5:スイッチノード・リンギングの解消例


 6EMIスキャン・リンギングの解消例

こうした課題に対応するため、TIはポンプ、バルブ、ファンなどの車載アプリケーション向けにスマート・ゲート・ドライブ搭載DRV8305-Q1ブラシレスDCモーター・ゲート・ドライバを発表しました。スマート・ゲート・ドライバは高い信頼性と厳しい電磁適合性(EMC)要件に対応することから、車載アプリケーションに最適です。詳細はDRV8305-Q1データシートをご覧ください。

ブログのPart 2では、モーター・システムの信頼性と効率向上を可能にするTIのスマート・ゲート・ドライブ・アーキテクチャであるTDRIVEを取り上げます。

その他のリソース

Ÿアプリケーション・レポート(英語)

Ÿトレーニング・ビデオ(英語)

ŸTI E2E™コミュニティ・モーター・ドライブ・フォーラムの他のブログ(英語)

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

http://e2e.ti.com/blogs_/b/motordrivecontrol/archive/2016/06/15/what-is-a-smart-gate-drive-architecture

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