USB Type-C™の電力供給(PD)標準では、1ポートあたり7.5W(5V、1.5A)~100W(20V、5A)の電力を見込んでいます。しかし、個々のシステムでは、使用できる入力電力に制限があります。複数のポートを持つシステムでは、各ポート間で電力をどのように割り当てればよいのでしょうか。

明白な電力共有方法の1つは、ポートごとの電力を制限して、合計の消費電力が入力電力制限を決して超えないようにすることです。しかしこの場合は、電力がポート間で分割されるため、システムに接続されたどのデバイスも、使用可能な入力電力を完全に利用することができません。

別の方法は、1つの高電力ポートを用意する一方で、残りのポートへの電力を厳格に制限することです。その場合、より大きなデバイスに電力を供給でき、より高速な充電が可能になります。ただし、ユーザーのほとんどは、製品のラベルやマニュアルに目を通しません。そのため、なぜ一部のポートではデバイスの充電が遅くなるのかを理解できない可能性があります。これはユーザー・エクスペリエンスの低下を招き、製品の返品や顧客離れにもつながります。

より適切なアプローチは、使用可能な入力電力をシステム内のポート間でインテリジェントに共有することです。TPS25740A PDソース・コントローラは、2本のピンによって、2ポート・システムでのポート電力管理を簡単に実装できます。

UFPピンは、出力ポートの状態を示すオープンドレイン信号です。UFP信号は通常はHighですが、出力ポートに有効な負荷が接続されるとLowになります。PCTLピンは入力であり、Lowになると、TPS25740Aから通知されている最大電力を半分に削減します。また、PCTLピンを切り替えると、接続されている負荷間で再度ネゴシエーションが行われ、ポートで使用可能な出力電圧と最大電力が再定義されます。

図1に、ポート電力共有を使用した36Wの2ポート・システムの例を示します。最初、どちらのType-C出力ポー���にも何も接続されていないときには、両方のポートで最大の36Wが使用可能と通知されます。いずれかのポートにデバイスが接続されると、そのポートでは36Wが使用可能になります。有効な負荷が接続されたため、そのポートのUFPピンがLowになり、もう一方のポートに対応するTPS25740AのPCTLピンがLowになります。そのため、もう一方のポートでは18Wしか通知されなくなります。

図1: ポート電力管理機能を持つ36Wシステムが2つのポート間でインテリジェントに電力を共有

ここで、第2のポートにデバイスを接続すると、そのポートのUFPピンがLowになるため、第1のポートは18Wの電力で再ネゴシエーションを行います。両方のポートが電力を供給しているときは、どちらのポートもそれぞれ18W(合計36W)を超えることはできません。

3個以上のポートを持つシステムにも同様な手法を適用できますが、通常は、複雑性が増すため、マイクロプロセッサが必要となります。また、マイクロプロセッサを使用することで、システムは温度など他の要素に基づいて電力を変化させることが可能になります。

USB Type-C PDに対して複数ポート・システムを設計する際には、他にも多くの考慮事項があります。EE Timesに掲載されている私の最新のPower Tips記事では、複数ポートType-Cシステムについてもう少し詳しく説明しています。

その他のリソース

  • デバイスおよび電力プロファイルの詳細については、TPS25740Aデータシートをダウンロードしてください。
  • TIのUSB Type-C ™製品に関する詳細情報もお読みください。

以前のTI Power Tips記事はこちらです。

 

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

http://e2e.ti.com/blogs_/b/powerhouse/archive/2016/06/08/power-tips-power-sharing-in-usb-type-c-applications

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