電圧レギュレータ、特に制御用のパワーMOSFETを集積したDC/DCコンバータは、入力電圧、出力電圧と出力電流で規定される低電力の簡単な電源レギュレータから、動作環境をモニタし、その条件に適応する機能を備えた高度で大幅に高電力なコンバータ製品へと発展してきました。

歴史的には、10A~15Aを超える電源電流が必要なアプリケーションは、必要な電力を賄うために、一般に外付けの制御用パワーMOSFETとコントローラ製品で構成されていました。より容易なレイアウトや、より少ない外付け部品点数によるより簡素な設計が可能で、かつ高い信頼性で高電力密度のソリューションを提供するコンバータ製品であっても、供給可能な高電力は限られていました。

ネットワーク・ルーター、スイッチ、企業向けサーバーや組み込みの産業用システムなどのアプリケーションは、より高い消費電力を必要とするようになり、POL電源(ポイント・オブ・ロード、負荷に接近して配置される分散型電源)として、30A、40A、60Aか、それ以上の電流が求められるようになりました。これらのアプリケーションでは、コントローラと外付けの制御用パワーMOSFETの基板実装面積に、非常に厳しい制約があります。

TIは、MOSFETとパッケージ技術の進歩によって、これらの困難な問題の解決に成功しました。TIの 2.x NexFET™ パワーMOSFETをはじめとした新世代のパワーMOSFETは、制約された実装面積に、より低いオン抵抗(RDS(on)) で、より高い電流供給能力の提供を可能にしました。TIのPowerStack™ パッケージ・テクノロジ は、IC(集積回路)とパワーMOSFETを上下にスタック(積み重ね)実装(図1参照)することで、一相あたり35A~40Aを供給可能なコンバータを提供します。TIでは、この機能をさらに高め、出力電流を倍増し(図2参照)、最大70AのPOL電源を提供するTPS 546C23 SWIFT™ コンバータをはじめとした次世代製品を供給しています。

1: 高い電力密度を提供するPowerStack パッケージ

2: 2個の DC/DC コンバータをスタック接続して負荷電流を倍増

高電力密度環境への対応には、システム電源の最適化の問題や、APM(アクティブ・パワー・マネジメント、能動的な電源管理)も必要になります。例えば、出力電圧1V、出力電流30AのPOL電源の電圧を10パーセントだけスケーリングすると、パッケージの発熱は最大0.5W変化します。過剰な発熱をSOA(安全動作領域)内に保ち、システムの信頼性を低下させないようにすることが重要です。電力をリアルタイムで正しく管理するためには、テレメトリ(遠隔測定)で送られてくる電流、電圧や温度などのパラメータのモニタ機能がきわめて重要になります(図3参照)。TIの新製品であるTPS 546C23コンバータは、PMBus経由のテレメトリ機能をサポートしています。

3: PMBus経由での電源管理が可能なFusion GUI

簡単な低電力電源から、現行のパワーMOSFETを集積したDC/DCコンバータまで発展してきた電圧レギュレータ製品は、大幅に高い電力を供給するとともに、動作環境をモニタし、それに適応する機能も提供するようになりました。パラメータのモニタ、電源の管理やパッケージのスタック実装を簡単に可能にするTIの TPS 546C23 PowerStack コンバータを使うことで、最大出力電流70Aの高密度、高性能のPOL電源を提供します。製品の詳細や、評価モジュールのご注文に関しては、こちら をご覧ください。

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

https://e2e.ti.com/blogs_/b/powerhouse/archive/2016/12/07/the-value-of-stackable-converters

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