最新の多くのシステムでは、バッテリ・パックから利用できる電力量を計測するために、バッテリ残量計が不可欠になっています。バッテリがシステムの一次電力源であっても、バックアップ電力源であっても、ほとんどのシステムでは信頼性の高い動作が必要になります。多くの場合、バッテリ・パックの残量を見積もることはそれほど容易ではありません。システムに応じて適切なバッテリ残量計を選択するために、理解しなければならない要素はさまざまです。

マルチセル・バッテリはバッテリ・パック内で1つ以上の直列セルを使用することを意味しています。マルチセル・バッテリはノートPC、ドローン、携帯型医療機器、サーバー・バックアップ・システム、産業機器などに使用されています。

マルチセル・バッテリ残量計を選択する際の最も一般的な考慮事項は、セルのタイプと化学組成、直列/並列セルの数、充電/放電電流です。それに加え、システム側で使われるか、バッテリ・パック側で使われるかも考慮する必要があります。

これらの各要素の詳細を見ていきます。

セルのタイプと化学組成

セルのタイプは一次セル(非再充電セル)か二次セル(再充電可能セル)を示し、化学組成はリチウムイオンやリン酸鉄リチウム(LiFePO4)など、セルで使用される化学組成のタイプを示します。一般的に、一次セルの計測方法は、再充電可能セルに使用される方法とかなり異なります。一次セルの場合、セルが再充電可能でないことから、残量計は充電/放電サイクルの数をトラッキングし続ける必要がありません。一次セルと二次セルのいずれに対しても動作するよう、さまざまなアルゴリズムが最適化されています。補償付き放電終止電圧(Compensated End of Discharge Voltage:CEDV)残量計は(bq 35100の場合と同様に)一般的に一次セルとの動作に適しており、一方、Impedance Track™残量計は(bq40z50- R1の場合と同様に)二次セルとの動作に適しています。

セルの化学組成は、残量計測に使用されるアルゴリズムで重要な役割を果たしています。例えば、計測方法は鉛酸バッテリとLiFePO4バッテリでは大きく異なります。bq34 z100bq 34110などのように直列バッテリ・セルから独立して動作する残量計は鉛酸セルにより適しています。一方、bq40z50- R1bq28 z610はLiFePO4セル向きです。

直列/並列セルの数とシステム負荷

バッテリ残量計を選択する際に、直列セルの数は重要な意味を持ちます。ある特定のセルの場合、各直列セルの電圧監視が必要な可能性があります。

また、残量計はバッテリ・パックの容量に対応できなければならず、それは並列セルの数で決定されます。直列セル数が多い場合、残量計への入力のために外付け抵抗ネットワークが電圧を分割できることから、bq34z 100bq78350- R1などの残量計が適しています。2列や4列の直列接続リチウムベース・セルの場合、個々のセル電圧を監視し、より精度の高い残量計測性能を提供できることから、bq40z50- R1の使用が好まれます。

システム負荷に応じて、残量計はシステムが規定する放電/充電電流を計測できなければなりません。

システム側あるいはバッテリ・パック側の残量計

システム側の残量計はシステムに統合されており、セルは通常、代替可能です。バッテリ・パック側の残量計はバッテリ・パックに統合されており、付随するセルの劣化状態や充電状態をトラッキングします。

バッテリ・パック側の残量計は再充電可能セルのためにバッテリ・パックごとで残量計を内蔵していますが、バッテリ・パックの全寿命にわたって極めて優れた精度を提供します。一次セルの場合、あるいはバッテリ・パックのコストが非常に重要な場合、システム側の残量計がより適切なオプションとなります。CEDV(bq 4050)残量計はセル上のインピーダンスと充電/放電サイクルの継続的なトラッキングを必要としないことから、システム側の残量計により適した選択肢となります。一方、Impedance Track™技術ベースの残量計(bq40z50- R1)は、セル上のインピーダンスとサイクル数の継続的なトラッキングと、充電状態のより高精度な維持を可能にすることから、バッテリ・パック側の残量計により適しています。

今後、どのようなアプリケーションに残量計を使用しようと考えていますか?TIの電池残量計製品ページで製品を選択する際には、これまで述べてきたような、アプリケーションに応じた最適なバッテリ残量計を探すための基準をぜひご参照ください。

その他のリソース:

残量計に関するブログ・シリーズ:あなたのバッテリ残量計の精度は?(英語)

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

http://e2e.ti.com/blogs_/b/fullycharged/archive/2016/12/16/how-to-choose-a-multicell-gauge

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