降圧コントローラ用に外部バイアスを供給すべき状況と供給方法 – 第1部


マルチレール・システムの設計では、多くの場合、降圧コントローラ用の入力レールとしてどのレールを利用するか選択する必要があります。大抵は12Vまたは24Vレールから供給しますが、5Vまたは3.3Vレールから供給する場合もあります。この3部構成のシリーズの第1部では、外部バイアスを供給する必要性とメリットについて説明します。

さて、このような場合に考慮するのは、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の曲線と、そのMOSFETを最適な条件で動作させることです。また、入力電圧も重要な要因です。ほとんどのコントローラは5Vまたは12Vレールでの使用を想定して設計されていますが、システム設計者が同じコントローラをさらに低い電圧レールで使用するようなケースも多々あります。

このようなコントローラのデータシートを見ると、VINの範囲に問題はありませんが、3.3Vで動作させた場合に、本当に最高の性能や最大の効率を引き出すことができているのでしょうか。

では、例としてTIのLM27403を使用してみましょう。図1は、データシート上の該当する情報を示しています。

 図1:LM27403のVIN範囲

VINの最小値は3Vなので、3.3Vレールで使用しても正常性チェックは通ります。次は、図2に示したLM27403のブロック図を見てみましょう。

 図2:LM27403のブロック図

図2のVDDは、ローサイドとハイサイド両方のドライバに電力を供給しています。ローサイド・ドライバの電源はVDDで、ハイサイド・ドライバの電源はCBOOTです(VDD-Dbootとも呼ばれます)。つまり、ローサイドFETのゲート駆動電圧は3.3Vとなり、ハイサイドFETの電圧は3.3Vからブート・ダイオードでの降下電圧を引いた値になります。

出力電流のニーズが5Aを超えると、通常はコントローラを使用することが必要になります。表1は、15Aアプリケーションを例に取り、無作為に選択したいくつかのFETを一覧にまとめたものです。

表1:15A設計用に選択したいくつかのFET

表1と図3を見てみると、データシートの「ID max」および「Rdson spec」列は、3.3Vでの動作に関して誤解を招くおそれがあることがわかります。10%の許容差を考慮し、3V時のFET曲線(図3)と「Id at Vgs=3V」列のドレイン電流(表1)を調べてみます。この値は、FETがVIN = 3.3Vでの動作をネイティブにサポートできるかどうかを示す重要なパラメータです。たとえばNTMFS4834Nは、Rdson値が低いにもかかわらず、15Aアプリケーションはサポートしません(図3でのVgs = 3V時のIDの能力を参照)。このFETは、LM27403のVDDピンに5Vを供給すれば問題なく使用できます。しかし、3.3Vアプリケーション向けに設計されていないFETを使用すると、以下の3つの点に影響します。

  • FETで電流がサポートされないため、Vdsが大きく降下すると大きな電力消費が生じたり、デバイスが損傷したりする。
  • 3VgsでのRdsonの急上昇により、効率が期待値よりも低くなる。
  • コントローラで電流制限のセンシングにRdsonを使用している場合、電流制限が正しく機能しない可能性がある。

(左)3.3V入力電圧/15A設計に適した選択                 (右)3.3V入力電圧/15A設計に適さない選択

図3:異なるゲート電圧でのID対VDSを示すFET曲線

表1は、すべてのFETがVgs = 5Vでの使用に適していることを示しています。

MOSFETのデータシートに関して、CSD17304Q3およびCSD17309Q3のデータシートは、より低いVgsレベルまでの曲線が描かれた好ましい形式となっています。図4には、最小2.5VまでのVgsレベルの曲線が示されています。これを作成したアプリケーション・チームには称賛を送りたいと思います。

 図4:CSD17309Q3のデータシート上のFET曲線

これを3.3Vレールで実現するには、どうすればよいのでしょうか。この記事の冒頭で触れた、コントローラ用に外部バイアスを使用すべき状況というのは、つまりこのような状況です。

外部バイアスは、効率改善策として利用される場合もあれば、FETでの電流のサポートを実現するために役立つ場合もあります。

図5および図6は、異なるFETを使用した異なる構成のVDDでの効率改善を示しています。

バイアス・レギュレータは、どれくらいの電流を供給できる必要があるのでしょうか。この場合に必要な供給量は、非スイッチング時静止電流と平均ゲート駆動電流(Ibias)の合計です。この値は、次の式1を使って計算できます。

(Qg制御FET + Qg同期FET) * Fsw                      (1)

例としてCSD87350Q5Dを使用すると、Ibias = 30nc * 250kHz = 7.5mAとなります。

図5:LM27403とBSC032NE2LS/BSC010NE2LSの効率曲線(内部バイアス 対 外部バイアス)

 図6:LM27403とNTMFS4834の効率曲線(内部バイアス 対 外部バイアス)

図7は、スイッチング波形に対するDCバイアスの影響を示しており、DCバイアスありの場合は立ち上がり時間が早くなっています。

 図7:DCバイアスあり/なしでのスイッチング波形

ご覧いただいたように、3.3Vレールで動作するコントローラの設計においては、FETの選択を慎重に行うことが必要です。適切なFETを組み合わせれば、障害に悩まされることなく性能を最大限に発揮する設計を実現でき、外部バイアスを柔軟に印加するデバイスを使用すれば、設計をコスト面で最適化し、効率を最大化することができます。

この第2部では、以下の2つのトピックについて説明します。

  • 外部バイアス電圧を任意のコントローラのVDDピンやVINピンに印加することは可能か?
  • システム内に使用可能な5Vバイアス・レールがない場合、チャージ・ポンプを使用してDC/DCコンバータから5Vバイアス・レールを生成することは可能か?

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

https://e2e.ti.com/blogs_/b/powerhouse/archive/2017/12/21/when-and-how-to-supply-an-external-bias-for-buck-controllers-part-1

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