フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)は、医療機器から有線通信、航空宇宙および防衛に至るまで、幅広いアプリケーションで利用されています。FPGAはプログラム可能な回路を提供することによって設計プロセスを簡易化します。継続的な再プログラミングが可能なので、プロトタイプをすばやく作成でき、カスタムの特定用途向け集積回路(ASIC)を作成する必要がありません。FPGAは少量でも比較的安く入手できるソリューションなので、規模の大小を問わず多くの企業で利用されています。ただし、図1に示すように、FPGAへの電力供給には複数のレールが必要なので、電源回路の設計が複雑になる可能性もあります。


図1:基本的なFPGA回路図

電流、精度、電圧リップル、負荷変動、シーケンシングの要件はレールごとに異なります。つまり、異なるレール要件をすべて満たすためには、電源設計に複数の電源が必要になるということです。この4部構成のシリーズでは、最初のトピックであるシステム・アーキテクチャを手始めに、FPGA電源回路を設計するうえでの基本的な考慮事項について細かく見ていきます。

アプリケーションの要件には、システム・アーキテクチャの情報が含まれています。図2に示すように、標準的な設計では、電源から中間レールへの降圧にDC/DCコンバータを使用します。その後、追加の電源で中間電圧を必要なポイント・オブ・ロード(POL)電源まで降圧します。


図2:標準的なシステム・アーキテクチャ

最初に行うべき手順の1つが、中間レールに使用する電圧を決めることです。最も一般的な中間レールの電圧は、12V、5V、3.3Vです。一般に、中間レールの電圧が低くなるほど、POL電源レベルへの電圧変換効率は高くなります。ただし、中間レールの電圧が低くなれば、必要な入力電流は大きくなります。また、電源電圧の大きさによっては、3.3Vに降圧できる利用可能なデバイスの数も少なくなります。表1は、このトレードオフをまとめたものです。


表1:中間レール電圧のトレードオフ

システム・アーキテクチャを定義すると、設計に必要なデバイスと電力が決まります。アーキテクチャを選択した後は、次のステップである電流レベルの見極めに進むことができます。電流要件の見極めには、FPGAベンダーから提供されるスプレッドシートを利用することをお勧めします。このスプレッドシートに、使用している特定のFPGAやその他の設計に関する詳細(クロック周波数や温度など)を入力すると、各レールの電圧および電流要件の計算結果が得られます。

システム・アーキテクチャの定義と電流要件の見積もりが完了したら、次のブログでは、各レールの要件について解説します。また、TIのFPGA、プロセッサ、ASIC用の電源ICも合わせてご確認ください。

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

http://e2e.ti.com/blogs_/b/powerhouse/archive/2017/11/02/fpga-power-made-simple-system-architecture

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