LDOの基本:ノイズ – 第2部


前回のブログ、『LDOの基本:ノイズ – 第1部』では、コンデンサ(CNR/SS)を基準電圧と並列に使用し、出力ノイズの低減とスルーレートの制御を行う方法について説明しました。この記事では、別の出力ノイズ低減手法として、フィードフォワード・コンデンサ(CFF)を使用した方法について説明していきます。

フィードフォワード・コンデンサとは

フィードフォワード・コンデンサは、図1に示す分圧抵抗回路の上側抵抗と並列に配置されるオプションのコンデンサです。

1:フィードフォワード・コンデンサを使用したNMOS低ドロップアウト・レギュレータ(LDO

ノイズ低減コンデンサ(CNR/SS)と同じように、フィードフォワード・コンデンサを追加した場合も複数の効果が得られます。これらの効果の中でも特に重要なものとしては、ノイズ、安定性、負荷応答、電源除去比(PSRR)の改善が挙げられます(アプリケーション・レポート、『低ドロップアウト・レギュレータでフィードフォワード・コンデンサを使用することの長所と短所』では、これらのメリットについて幅広く解説しています)。また、抵抗回路が外部に必要なことから、フィードフォワード・コンデンサは可変LDOを使用する場合にのみ有効であるという点にも留意する必要があります。

ノイズの改善

LDOのエラー・アンプは、非反転アンプと同じように、レギュレーションの一環として抵抗回路(R1とR2)を使用して基準電圧のゲインを増加させ、それに応じてFETのゲートを駆動します。基準電圧に含まれるDC電圧は、(1 + R1/R2)倍に増幅されます。ただし、エラー・アンプの帯域幅を考慮に入れると、基準電圧のAC成分の一部が増幅されることも予想できます。

コンデンサを追加して上側抵抗の両端に接続すると、特定の周波数範囲に対するシャントを挿入していることになります。つまり、その周波数範囲のAC成分がユニティ・ゲイン内に維持され、R1が短絡をシミュレートしている状態です(この周波数範囲は使用しているコンデンサのインピーダンス特性によって決まるという点に注意してください)。

図2に示すように、異なるCFF値を使用することで、TPS7A91のノイズの低減を確認できます。

2TPS7A91のノイズ 周波数およびCFF

100nFのコンデンサを追加して上側抵抗の両端に接続することで、ノイズを9μVRMSから4.9μVRMSに低減できます。

安定性と過渡応答の改善

CFFを追加すると、LDO帰還ループにゼロ(ZFF)と極(PFF)も挿入されることになり、次の式1と式2で計算できます。

ZFF = 1 / (2 x π x R1 x CFF)                               (1)

PFF = 1 / (2 x π x R1 // R2 x CFF)                    (2)

ユニティ・ゲインが発生する周波数の前にゼロを配置することで、図3に示すように位相マージンが改善します。

 3:フィードフォワード補償のみを使用した代表的なLDOのゲイン/位相のプロット

ZFFがないと、ユニティ・ゲインは200kHz辺りで早めに発生するだろうということがわかります。ゼロを追加することにより、ユニティ・ゲイン周波数は少し右側(約300kHz)に移動しますが、位相マージンも改善します。PFFはユニティ・ゲイン周波数の右側にある���め、位相マージンに対する効果は最小限となります。

追加した位相マージンは、LDOの過渡応答の改善という形で顕在化します。位相マージンの追加により、LDO出力のリンギングが低減し、より迅速にセトリングするようになります。

PSRRの改善

ゼロと極の配置によっては、ゲインのロールオフを戦略的に低減させることもできます。図3は、100kHzでのゲインのロールオフ開始に対するゼロの効果を示しています。この周波数帯でのゲインを増やすことにより、その周波数帯のループ応答も改善することになります。これは、その特定の周波数範囲でのPSRRの改善につながります。図4を参照してください。

 4TPS7A8300PSRR 周波数およびCFF

ご覧いただいたように、CFF容量を増やすとゼロが左側に移動します。これは、低い周波数範囲でのループ応答の改善、そして対応するPSRRの改善につながります。

当然ながら、CFFの値とそれに応じたZFFおよびPFFの位置を、安定性が低下しないように選択する必要があります。安定性の低下は、データシートに規定されているCFF制限に従うことによって防止できます。CFFが大きくなると、前述のアプリケーション・レポートに概説されている他の問題にもつながる可能性があります。

表1は、ノイズへのCNRとCFFの影響に関する経験則の一部をまとめたものです。

パラメータ ノイズ
低周波数(<1kHz) 中周波数(1kHz~100kHz) 高周波数(>100kHz)
ノイズ低減コンデンサ(CNR) +++ + 影響なし
フィードフォワード・コンデンサ(CFF) + +++ +

表1:CNRおよびCFFの効果 対 周波数

まとめ

ご覧いただいたように、フィードフォワード・コンデンサの追加は、ノイズ、安定性、負荷応答、PSRRの改善につながる可能性があります。もちろん、安定性を維持するためには、追加するコンデンサを慎重に選択する必要があります。また、ノイズ低減コンデンサと組み合わせれば、AC特性を大幅に改善できます。これらの手段を覚えておくだけで、電源の最適化が効果的に行えるようになります。

その他のリソース

 上記の記事は下記URLより翻訳転載されました。

http://e2e.ti.com/blogs_/b/powerhouse/archive/2017/07/25/ldo-basics-noise-part-2

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