多数のコネクテッド製品と接続規格、1つのプラットフォームによる産業用IoTの変革

ネットワーク接続された未来の工場を想像してみてください。回転するモーターやあちこち動き回るロボット・アーム、電気を供給すると、うなりを上げて振動する機器の動作でにぎやかな工場になっていることでしょう。そこでは、見渡す限りすべてのものが電子的に接続されています。これが産業用IoT(IIoT:Industrial Internet of Things)の未来像です。

それぞれの機器とクラウド内のリモート・サーバーの間で大量のデータが継続的に交換され、発生する振動やノイズから、放射される熱や湿気まで、各機器のデジタル"鏡像"とその状態が伝えられます。クラウドでは、各機器の"通常状態"を把握するためにデータ分析が適用され、何らかの異常が発生した場合はリモートでオペレータへの警告が行われます。

産業用IoTの機器をつないでクラウドに情報を送るために必要な接続には、Sub-1GHz、Wi-Fi®ネットワーク、ローカルBluetooth® Low Energy接続などがあり、オペレータがビーコンを使って工場内の機器を特定し、その機器に直接接続して構成、保守、操作を行うために役立ちます。

システム・エンジニアのRoger Monkは次のように語っています。「これらの"接続規格"をすべて導入するシステムには、任意の有線接続に加えて3つのワイヤレス・テクノロジーが必要になります。以前なら、エンジニアには3セットのツールを使って3つの製品を個別に開発し、数多くのソフトウェア依存関係を管理することが求められ、長期間にわたる学習も必要でした」。

さらに、新しい接続規格が後から登場すれば、同じプロセスをもう一度最初からやり直す必要もあったでしょう。このような点は、IIoTのための技術革新を遅らせる原因となります。

しかし、TIの新しいSimpleLink™マイクロコントローラ(MCU)プラットフォームでは、システム全体を1つの製品ファミリで構築し、共通のソフトウェア更新メカニズム、ペリフェラル・ドライバ、開発環境によって必要な接続テクノロジー向けに簡単に構成することができます。

このプラットフォームでは、最終製品の接続ニーズが変化するたびに、シンプルなプラグインを使って開発済みのコードを100%再利用できます。また、追加のプラグインを使用すれば、別の接続規格を後から追加することも可能です。この仕組みについては、次の画像をクリックして動画をご覧ください。 

ビルディング・オートメーション部門でゼネラル・マネージャーを務めるAjinder Singhは、次のように語ります。「このプラットフォームには、状況を一変させる可能性があると考えています。開発サイクルが短縮できるようになったことや、ソフトウェアの保守のしやすさなど、産業用設計の開発者にとって効率化につながる点がたくさんあります」。

また、産業分野における多くのお客様にとって、ガレージ・ドア・オープナーやスプリンクラー・システムなど、さまざまな接続規格にわたる製品を理解して有効化する作業は、どちらかというと、リソースや追加のスキルを必要とする新たな道のりになります。SimpleLinkが提供する、効率的で高度にスケーラブルかつ持続可能なプラットフォームでは、開発者が将来の接続規格を自社製品に容易に導入できるようになるため、開発サイクルの短縮化につながります。

このプラットフォームでは、TIのConnected MCUのポートフォリオ全体にわたる既存製品や将来の製品を、まとまりのあるソフトウェア・プラットフォームや共通のツール・セットと共に使用できます。

SimpleLink MCUプラットフォームは、開発者のソフトウェア資産を、その開発者が現在から将来にわたって構築する機器のために保護できるよう設計されています。

「これにより、コネクテッド・マイクロコントローラを使用した設計に伴う、お客様にとっての最も大きな課題が解決できます。以前まで、新しい接続規格への対応とは、ソフトウェア設計において最も時間とコストを要する部分に着手することを意味していました。これは、SimpleLink MCUがある現在の状況には、もはや当てはまりません」と、Connected MCU部門のバイス・プレジデント兼ゼネラル・マネージャーであるRay Uptonは語ります。

新しい技術を積極的に取り入れる開発者は、より迅速な開発サイクルと少ないコストで開発を進め、市場への製品投入と提供規模の拡大をより速やかに行えるようになりました。成長の著しいこの市場では基準も次々に変化しますが、SimpleLink MCUプラットフォームは、そうした変化にも対応できる圧倒的な柔軟性を提供します。

開発の初期段階において、アプリケーションに必要となる処理性能、ペリフェラル・インターフェイス、ワイヤレス接続の選択肢は、開発作業のかなりの部分が完了するか、市場での試験を行ってユーザから反応を得るまでは判明しません。

「このプラットフォームを利用すれば、開発者はいずれ新しい機能の導入や差別化が簡単にできるようになることを認識したうえで、テスト用の基本的なプラットフォームで初期バージョンの製品の構築にすばやく着手し、必要に応じてコンポーネントを変更できます。新しい機能のためにソフトウェア開発への再投資を行う必要はありません」とRoger Monkは語ります。「そのような判断を製品開発のより後の段階まで保留し、状況に合わせて対応できることは、お客様にとって大きな利点となります」。

開発者は、TIのクラウドベースのリソースであるdev.ti.comを利用することで、クラウド・サーバー上のサンプル・アプリケーションを閲覧および再構築し、実際のハードウェア上で実行する特定用途向けプロジェクトを作成できます。また、オンラインの"SimpleLink Academy"では、特定のコンポーネントを対象とした詳細なガイドも提供しており、随時拡充を進めています。

「お客様には、これらのツールの利用により、ローカルにカスタム・ツールをインストールするような作業に時間を費やすことなく、速やかにアルゴリズムやクラウド・プロトコルの性能を評価していただいております。また、世界規模の開発チームで、このような"クラウド"プロジェクトを共有することも可能となっています」とRoger Monkは語ります。

SimpleLink MSP432™ MCUから各種Wi-Fi製品に至るまで、TIのSimpleLinkポートフォリオによって開発プラットフォームがさらに効率化し、TI製品を導入するお客様にとっては、これらのプラットフォームでの作業がより簡単になっています。

Ray Uptonは次のように語ります。「プラットフォームというものを、それまでは新しい半導体製品や新機能という観点で検討していましたが、一歩下がって解決すべき問題に目を向けたとき、お客様のソフトウェア資産を保護することこそが問題解決の鍵になると気付いたのです」。

SimpleLink MCUプラットフォームは現在提供中であり、最近、Embedded Worldで販売が開始されました。Facebook Liveでの発表をこちらからご覧ください。

プラットフォームの詳細については、関連資料として以下の2つのホワイト・ペーパーをご覧ください。