ビル・オートメーション・アルゴリズムに起因する環境要因の変化を把握し、その建物のセキュリティに関連するセンサから多くのデータを集めたい場合、周辺環境からデータを収集することが有益でしょう。ただ、ビルに多くのセンサを追加すると、一つ問題が生じます。それは、各デバイスに電力を供給し、通信するために膨大な配線が必要になるということです。ワイヤレス・センサを備えたIoTデバイスは、この配線問題を軽減します。また、以前、英語ブログ「IoTデバイスのバッテリ寿命を延ばす方法」で紹介したように、IoTデバイスのバッテリ寿命問題を解決する方法もあります。従来の有線システムをワイヤレスにする方法はいくつかあり、思っているほど煩雑なことではないのです。

商業ビルで使用される環境光センサは、ある特定のエリアの光量を検知し、特定の仕事場の環境光全体のバランスを取ります。ワイヤレス・コネクティビティを備えたスマート・コネクタを光源に繋ぎ、窓際にワイヤレス光センサを設置することで、ワイヤレス・ソリューションを構築することができます。また、ワイヤレス・センシング・ノードは、従来のインフラを新しいシステムに容易に適合させるのにも役立ちます。

窓から差し込む太陽光では仕事場を照らすのに十分でなく、部屋の光源を調整できない場合、その結果、電気照明をつけてしまい、部屋の中が明るすぎになることがあります。この時、ワイヤレス環境光センサ・プラットフォームではどのように機能するのでしょう。仮に部屋の光の60%が天窓や窓から入っているとします。ワイヤレス環境光センサ・プラットフォームは、その光量を感知し、人工光源を動的に調整し、残りの40%の光を生成します。自然光が入っているときは人工光源をフルに稼働させないことで、ビルの電力消費を削減することができるのです。(図1)

1:環境光コントロール

ワイヤレス環境光センシングに関心のある方は、こちらのTIの『Sub-1GHzネットワーク向け環境発電・環境光および環境センサ・ノード・リファレンス・デザイン』を参照ください。

ドアや窓センサも近い将来、ワイヤレスになるでしょう。多くの産業およびビル・オートメーション・セキュリティ・システムは、ドアや窓の開閉を監視するためにセンサを使用しています。通常のセキュリティ・システムでは、複数のドアおよび窓センサから送られてくる情報に基づいて、中央監視デバイスが通知や警告を生成します。これを実現するには、多くの配線を設置する必要があり、また全てのドアおよび窓センサをバッテリ電源に切り替えなければならず、バッテリ交換に法外な維持コストがかかることになります。

ドアおよび窓センサの従来の応用例では、ドアや窓の開閉を検知するために磁石が使用されています。ドアや窓に磁石を組み込み、その枠にセンサを取り付け、センサと磁石はドアや窓が閉まったときに近接近し、開いたときは離れるように設置されます。これらのセンサは主にセキュリティ向けに使用されていることから、不正利用を検知できる能力も求められます。中には、磁石の不正利用を検知するために複数のセンサを使用しているシステムも存在します。

バッテリ寿命を延長させるために、TIの『Sub-1GHzと10年以上の寿命を持つコイン・セル・バッテリを備えた低消費電力ドアおよび窓センサ・リファレンス・デザイン』では、図2で示すように、2つの超低消費電力デジタル・ホール効果センサを使用しています。

2TIのドアおよび窓センサ・リファレンス・デザインのブロック図

超低消費電力デジタル・ホール効果センサとSimpleLink™ワイヤレス・マイクロコントローラ・プラットフォームで実現するこのリファレンス・デザインは、配線を必要とせずに、バッテリ寿命を最大限に伸ばすドアおよび窓センサ・ソリューションを紹介します。

多くのビル・オートメーション応用例がワイヤレス・センサ・ノードに移行するにつれ、バッテリ寿命は大きな懸念材料となるでしょう。TIが提供する超低消費電力センサ、OPアンプ、ワイヤレス・マイクロコントローラは、バッテリ駆動の応用例で平均電流を下げるのに大きく貢献するでしょう。

<参考情報>
+バッテリ寿命を延ばすのに役立つリファレンス・デザイン:
 -スマートロック・リファレンス・デザイン有効、5 年以上のバッテリ寿命、4x 単三バッテリ
 -湿度および温度センサ・ノード、1 GHz 以下のスター型ネットワーク用、コイン型電池の 10 年以上の寿命を実現

+常時オンのワイヤレス・センシング・アプリケーション:
-低消費電力 PIR 動作検出器、ワイヤレス・コネクティビティ付、コイン・セル・バッテリで 10 年間作動可能、リファレンス・デザイン
-低消費電力一酸化炭素検出器、コイン型電池の 10 年の寿命を実現、リファレンス・デザイン
+TIトレーニング:ワイヤレス・センサ・ノードの最適化

※SimpleLinkはTexas Instrumentsの商標です。その他すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します。
※上記の記事はこちらのBlog記事(2017年5月23日)より翻訳転載されました。

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