意欲的な電子工学の学生が何を専攻しようかと迷っているとき、私はパワー・エレクトロニクスを検討するよう強く勧めています。どんな新しい電気製品や電子機器にも電源は必要なので、仕事に困ることはありません。デバイスの小型化や高効率化への要求に伴い、この分野は手ごたえのある仕事や革新の機会に満ちあふれています。

デジタル設計者のように格好良くはないかもしれません。しかし、進む人が少ない分野を選べば、手ごたえのある革新的な仕事に恵まれ、最終的には、デジタルから離れた人々の緊密なコミュニティに身を置くことになるでしょう。

電源設計者にも、さまざまなタイプの人がいます。それでも、電源のコミュニティ全体を織り成す各設計者の行動や考え方には、いくつかの共通した特徴が見られます。

以下に挙げる条件に当てはまるなら、あなたは電源設計者かもしれません。

1.… IQの低さを自慢する。フォレスト・ガンプは、IQの低さが必ずしも悪いことではないと教えてくれました。もちろん、電源の世界では、IQは知能指数ではなく静止電流を意味しますので、設計者の会話を立ち聞きした人は怪訝な顔をするかもしれません。電源設計者は常に、バッテリの持続時間を伸ばし、効率を向上させるために、IQを低くしようと努めています。これは特に、低ドロップアウト(LDO)リニア・レギュレータについて重要です。TIでは、設計者がバッテリの持続時間を伸ばしてシステムの性能を高めるのに役立つ低IQ LDOのポートフォリオを提供しています。

 2.… 爆発したコンデンサについて、同じ話を���度も繰り返す。回路にコンデンサを逆向きに半田付けしたのか、過電圧状態か、リップル電流が大きすぎたのかはわかりませんが、ラボの作業台に人々をいち早く集めるのに、爆発ほど効果的なものはないでしょう(図1)。 1:技術者の責任!

心拍数が正常に戻り、爆発の煙が消えたら、目の前で起こったことの恐ろしさに慄然とすると思います。この爆発についての細かいあれこれを、同僚と共有することを恥じないでください。誰もあなたを責めたりせず、自分が過去に引き起こした惨事について喜んで打ち明けるでしょう。(みなさん、常に保護メガネの着用を忘れないでください。)

3.… 単純な論理ゲートの真理値表をWikipediaで探したことがある。使わなければ、始まりません。20年以上にわたって電源設計のアナログの世界で働いてきた私は、デジタル回路に苦戦しているときはいつも、何年か前にフォーチュン・クッキーで見つけたメッセージ(図2)を引っぱり出します。これで気持ちが落ち着き、問題に集中できるようになります。

2:これまでで最も完璧なフォーチュン・クッキーのメッセージ

電源のデジタル制御は、私が働き始めた頃よりも一般的なものになっています。デジタル電源の設計に助けが必要で、フォーチュン・クッキーのメッセージを持っていない方々のために、TIではデジタル電源製品とリソースを多数取り揃え、システムの動的なニーズを満たして総コストを削減するのに役立つ、柔軟性、効率、統合を提供しています。

4.… 永久機関は不可能であると説明しなければならかったことがある。長い間電源を設計していると、入力から得られるよりも大きな出力電力を供給する電源を作るよう求められることがあるでしょう。これが熱力学の第1法則(エネルギーは新しく生まれることも消えることもない)に違反していることを人々に説明するのは、驚くほど難しいものです。今度そのようなジレンマに直面したとき、大胆な姿勢を示したければ、次のように言い換えた質問を返してみましょう。「では、この電源の効率を110%にしたいのですね?」。それでもうまくいかない場合は、図3で何がおかしいかを聞いてみてください。

3:無限電力

もちろん、最も賢明な対応は、入力、出力、または両方の電力要件について再交渉してから、TIの高効率DC/DCスイッチング・レギュレータを用いて設計を行い、限られた電力源から可能な最大の電力を供給することです。

5.… 上司に対して3つの目標のうち2つしか満たせないと告げたことがある。「3つのうち2つなら悪くない」という古い格言は、まさに電源設計にも当てはまります。もちろん、ここではコスト、サイズ、効率という3つのトレードオフについて言っているのですが、これは残念ながら、上司や顧客には完全に理解してもらえないことがあります。

より高い周波数でスイッチングすれば、電源をより小さく、安くすることができますが、そうすると効率が低下します。より優れた部品を使用すれば、小型のまま効率を向上できますが、コストは高くなります。また、大きな部品を使用すれば、効率を高めながらコストを抑えることができます。申し訳ありませんが、エンジニアリングの他のすべての領域と同じように、何事もただでは得られないのです。これを上司に納得してもらえるよう幸運を祈ります。

 6.… 他の電源設計者だけが理解できるような言葉で話す。一緒に長い時間を過ごしてきた兄弟のように、電源設計者は時の流れとともに、互いにやり取りするための新しい言葉を作り出す傾向があります。外部の人間には、これらは無意味な言葉に聞こえますが、電源設計者にとっては高度な技術用語なのです。

何年か前、優れた先達の1人が、私たちの会話を他の人々も理解できるように、これらの用語を文書にまとめたことがありました。この電源用語集を一般の人々とも共有したいところですが、そのすべてが公開に適しているわけではありません。

7.… 次のパワー・サプライ・デザイン・セミナー(PSDS)までの日数を数えている。PSDSは、1980年代から、実際的な電源設計のための優れた業界主導型セミナーとして開催されています。2年に1回、有用で教育的で興味深いような新しい内容を慎重に選びながら、みなさんに直接トレーニングを行うために集まっています。

電源設計を始めたばかりの人にも、何十年もスイッチング電源を設計してきた人にも、PSDSはすべての人々に役立つ何かを提供します。新しいことを学んだり、基本的な知識を再確認したり、地域の電源コミュニティに属する他の人々と交流したりする機会が得られます。

数十年にわたって、TIはUnitrodeとともに電源設計に関する貴重な参考資料の数々を用意し、それらはすべて無料で利用できます。そして2020年のPSDSも近く開催されます。参加をご希望の方は、こちら���ら登録できます。

電源コミュニティに新しく加わったみなさん、電源設計者の秘密結社へようこそ! また、既に私たちの一員である方々は、この記事の下にあるコメント欄でご自身の体験談をぜひ共有してください。「もしも…なら、あなたは電源設計者かもしれません」という他の特徴も歓迎します。

2020年の電源設計セミナーでみなさんとお会いできるのを楽しみにしています。

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※上記の記事はこちらの技術記事(2020年1月21日)より翻訳転載されました。
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