グレード0のデジタル・アイソレータにより高温絶縁設計の課題を解決する


自動車業界がハイブリッド電気自動車(HEV)に48Vシステムを引き続き採用する中で、車内ネットワークでの信号絶縁の必要性がさらに重要になっています。低電圧回路に対して効果的で信頼性の高い保護を適用しなければ、高電圧の特長や利点は大きく損なわれてしまいます。

ただし、48V車両内での高電圧事象から信号を絶縁する必要性について理解することは、対策の半分にすぎません。完全な電気自動車(EV)とは異なり、HEVはバッテリ・システムに加えて従来の内燃エンジン(ICE)も搭載しています。ICEは高熱を発し、多くの場合は125°Cを超えます。そのような環境で確実に動作するために、車載システムおよびその構成部品は、AEC-Q100「故障メカニズムに基づくパッケージ集積回路のストレス試験認定」で定義される高い温度に耐えられる必要があります。


HEVシステム内の温度が最大で150°C 問題ありません。

 業界初のグレード0 AEC-Q100デジタル・アイソレータである『ISO7741E-Q1』は、動作時周囲温度が125°C以上に達する車載設計での時間、コスト、スペースの削減に役立ちます。

AEC-Q100規格は、車載システム用に設計される集積回路(IC)が信頼性の高い動作のために満たす必要のある仕様の概要を示しています。車載システムは温度変化にさらされることが多いため、AEC-Q100規格の主な仕様の1つに、ICの動作時周囲温度範囲があります。AEC-Q100には、表1のように、異なる温度グレードごとに車載認定ICの動作温度範囲が示されています。

グレード

動作時周囲温度範囲

グレード0(またはA)

–40°C~+150°C

グレード1(またはQ)

–40°C~+125°C

グレード2(またはT)

–40°C~+105°C

グレード3(またはI)

–40°C~+85°C

グレード4(またはC)

–40°C~+70°C

1AEC-Q100で定義される車載グレード

AEC-Q100で定義される最も広い温度範囲であるグレード0のデバイスは、一般に48V HEVなどの高温システムで使用できるよう設計されています。これらの車両ではICEが使用されているため、ときには温度が125°Cを超える場合があります。

EVにはICEがなく、ほとんどの場合は動作時周囲温度が125°Cを超えることはないため、グレード1定格のデバイスで十分です。

グレード0デジタル・アイソレータによる低電圧回路の保護

車内ネットワーク信号を絶縁する際のグレード0の利点をわかりやすく示すために、特にデジタル・アイソレータに焦点を合わせて、いくつかの事例を見てみましょう。デジタル・アイソレータは通常、異なる電圧ドメイン間(48Vと12Vなど)で使用され、低電圧側の回路を高電圧側から保護し、高電圧の同相ノイズが低電圧側の信号に与える影響を低減します。

図1に示すスタータ/ジェネレータは、『ISO7741E-Q1』などのグレード0デジタル・アイソレータが高温環境での信号保護を強化しながら設計の複雑性を軽減できる例の1つです。スタータ/ジェネレータでは、デジタル・アイソレータとグレード0のCAN FD(Controller Area Network Flexible Data Rate)トランシーバ(TCAN1044EV-Q1など)により、システムの48V側から12V側へとデータを転送できます。48V電気システムはICEに近接して配置されるため、48Vシステムでの温度上昇は、48V側と12V側の間のインターフェイス端部に位置するアイソレータに影響を与えます。これらのシステムの温度は、短時間の間、125°Cを超えて最大150°Cに達し、これは通常、自動車メーカーごとに異なるミッション・プロファイルまたは動作温度プロファイ���によって制限されます。

148Vスタータ/ジェネレータ・システムの低電圧側を保護するデジタル・アイソレータ

高温グレードのデジタル・アイソレータから恩恵を受ける他のアプリケーションには、送水ポンプ、冷却ファン、煤煙センサ、48V HEVのトラクション・インバータなどがあります。これらのシステムのほとんどは、デジタル・アイソレータとともに、通信インターフェイスとしてトランシーバ(ほとんどの場合、CAN、CAN FD、またはLIN通信プロトコル)を使用します。図2に示すHVAC(空調)コンプレッサ・モジュールでは、高電圧側のMCUから低電圧側の通信インターフェイス基板への通信にアイソレータを使用しています。

248V HVACコンプレッサ・モジュールの低電圧側を保護するデジタル・アイソレータ

デジタル・アイソレータをその動作制限を上回る温度で使用すると、システム・タイミング仕様が劣化したり、アイソレータが機能を停止して通信が途絶する可能性があります。スタータ/ジェネレータなどの重要なシステムでは、どちらのケースも望ましくありません。通信を常時確保するための標準的な方法は、液冷または空冷システムを利用して熱を下げ、ICの温度を動作制限以下に保持することです。しかし、入念な空冷システムの設計は、冷却システムの設計コスト、スペース、重量の増加につながる可能性があります。より高い周囲温度に対応したICを使用すれば、冷却システムの負担を軽減し、より単純でコスト効果の高いシステムとすることができます。

ISO7741-Q1を含めたほとんどの車載対応デジタル・アイソレータは、-40°C~125°Cのグレード1温度範囲要件を満たし、多くの車載アプリケーションに適しています。ただし、この記事で取り上げた事例と同様な高温シ��テム���は、『ISO7741E-Q1』のようなグレード0デバイスが代替のデジタル絶縁ソリューションとなり、HEV/EV設計者はシステム性能を犠牲にすることなく部品を減らし、市場投入までの期間を短縮することができます。

参考情報
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技術記事「48Vハイブリッド車/電気自動車システムで信号絶縁が重要な理由」(英語)

 

※すべての登録商標および商標はそれぞれの所有者に帰属���ます。

※上記の記事はこちらの技術記事(2020年3月1日)より翻訳転載されました。

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業界初のグレード0 AEC-Q100デジタル・アイソレータである『ISO7741E-Q1』は、動作時周囲温度が125°C以上に達する車載設計での時間、コスト、スペースの削減に役立ちます。