SoC電源設計:3つのステップで熱最適化された電源を設計する方法


この記事では、通信基地局や試験・計測機器、データ・センターといった、システム・オン・チップ(SoC)アプリケーションの電源設計について解説します。

熱最適化された電源設計が簡単だったことなどありませんが、最近のSoCに必要な電力要件により、ますます難しい作業になっています。20年ほど前に初めて市場に出たFET(電界効果トランジスタ)内蔵型の降圧コンバータは、基板面積の制限が厳しくなる一方で、より大きな電力をポイント・オブ・ロードで供給する必要があるという、産業界が直面し始めた大きな課題の解決を目指していました。この課題への取り組みが最優先なのは現在も変わりませんが、昨今の電源設計者は、増加し続けるSoCの電力要件、周囲温度の上昇、コンバータのスイッチング周波数の上昇という、熱管理がこれまで以上に重要となる流れにも直面しています。このような制約にきちんと対応できない電源設計では、必要な電力を供給できないおそれがあります。ここでは、SoCの電力要求に十分に対応できる電源を設計するための3つの方法を説明します。

  1. プロセッサの電力要求を把握する

ソリューション・サイズの縮小と外付け部品の削減は、常に電源設計の目標です。FETを降圧コントローラと一緒にパッケージに統合することも1つの良い方法であり、SoCの電力要求の増加に対抗して電力密度を増やすために、業界ではこの方法を使い続けています。そのため、目的のアプリケーションの電力要求を適切に満たすコンバータの選択が非常に重要になります。アプリケーションの電力要求にコンバータの電力定格が合っているかどうかを見極めるのに使える経験則は様々ですが、コンバータ使用時の電流レベルでの電力損失を把握するところから取り掛かるといいでしょう。図1は、定格出力電流40Aの降圧コンバータ『TPS546D24A』の電力損失のグラフです。このコンバータのパッケージはグランド・パッドが大きく、内蔵FETのRDS(on)が低いため、出力電流が高くても電力損失が比較的低く抑えられます。設計に使用するデバイスの負荷条件下での電力損失に十分配慮することは、コンバータがアプリケーションの熱環境に合わせて適切にディレーティングされるようにするために有効な方法です。

 

 

  

1:『TPS546D24A』の電力損失

2.      高温に対応できる設計であることを確認する

電力損失が大きい降圧コンバータの使用は、特に周囲温度(TA)が高いアプリケーションで問題となります。この課題に取り組むために、TIは、広い温度範囲で動作可能なコンバータ・ソリューションを開発してきました。この温度範囲は、一般に最大接合部温度(TJ)として規定されます。珍しいことではなくなってきていますが、お使いのデバイスの動作環境が60℃以上という状況を考えてみましょう。この状況のとき、TJ定格が105℃である従来の降圧コンバータでは、電力損失があまり大きくなくても、サーマル・シャットダウンになってしまいます。効率や電力損失のグラフは取り掛かりとしては役立つかもしれませんが、電源の本当の動作範囲を把握するには、安全動作領域(SOA)グラフを確認してください。図2は、『TPS546D24A』の場合のグラフです。SOAのグラフは、コンバータが動作する場所の周囲温度をもとに、コンバータの動作寿命の間、現実的に出力可能な電力レベルを把握するのに適しています。

 

2:『TPS546D24A』のSOAグラフ

3.      高いスイッチング周波数動作の長所と短所のバランスを取る

スイッチング周波数(FSW)の高さと、スイッチング損失の大きさ、総電力損失の大きさとの相関関係はよく理解されていますが、ソリューション・サイズの縮小と過渡応答の高速化に必要とされる要件から、電源設計者は効率の低い電源ソリューションを受け入れざるを得なくなっています。これに関係する大きな要素の1つが、一般的なプロセッサ・コアの電圧レールの電力要件です。このレールでは、ライン電圧、負荷電圧、動作温度の変化に対する出力電圧の変動の合計が数パーセントしか許されないことがあります。しかし、FSWの高いコンバータに替えることで、電圧過渡事象に素早く反応し、それらをより効率的に制御できる設計になります。この原則から、非常に高出力のアプリケーションであっても、1MHzを超える周波数でスイッチング可能なコンバータを使用する電源設計者が増えています。最終的に、高いFSWでコンバータを動作させる意味があるかどうかは、特定のアプリケーションの状況に左右されますが、FSWを抵抗により調整可能またはピンで選択可能なデバイスを選ぶことで、負荷要件の変化に応じて熱の課題に取り組む際に、大きな柔軟性が得られます。

これらは、ポイント・オブ・ロードの電源ソリューションを設計する際に考慮すべきことの一部でしかありませんが、このような方法を念頭に電源デバイスを選択することで、アプリケーションの熱特性の最適化をより管理しやすくなるでしょう。

参考情報(英語)

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※上記の記事はこちらの技術記事(2020年3月9日)より翻訳転載されました。
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