ハードウェア・エンジニアのみなさんは、仕事を部分的に自宅で行うのには慣れているかもしれません。しかし、ラボに行かずに設計を構築・検証・試験するのは、不可能ではないにしても難しいでしょう。

TIでは、調査・ブレインストーミングから設計、試験、サポートに至るまで、設計プロセスのそれぞれのフェーズに対応したオンライン・ツールやリソースを幅広く用意しています。今回はその豊富なTIのリソースをご紹介します。

フェーズ1:調査とブレインストーミング

システム設計の期限が厳しくて、この設計が最も効率的なものなのか、問題を解決する別の方法はないのか、といったように、客観的な目で全体を見て検討することが難しい場合があります。

革新的な方法やコスト削減の方法を見つけたいのであれば特に、今のこの機会に、以下に挙げる例のような何か別のやり方を、時間をかけて調べてみると良いかもしれません。

  • 自分のアプリケーションに合う試験済み設計例を探す。課題を解決するための別の方法を探しているなら、リファレンス・デザインから取り掛かると良いでしょう。ラボを使った設計試験を行えない場合でも、TIのリファレンス・デザインには回路図や、試験データ、設計ファイルが含まれているので、自分のアプリケーションと似たシナリオでデバイスがどのように動作するかがわかり、開発を有利に進めることができます。
  • 部品表(BOM)に削減できる部分がないか検討する。TIのクロスリファレンス検索では、BOMをアップロードすると、リスト全体に対してTIの類似品の製品番号、データシート、コストについての情報を閲覧することができます。さらに、供給中の在庫もリアルタイムで確認できます。
  • 新しいスキルを学び、システムの機能を再評価する。今は、大きな構想を練ったり、システム設計をレベルアップするような方法を探したりする良い機会かもしれません。おそらくシステムに通信機能を追加しようと考えたことがあるでしょう。TIのSimpleLink™アカデミーコネクトの一連のビデオとポッドキャストでは、Bluetooth®、Wi-Fi®、さらにその他の通信接続規格の基本を学ぶことができます。アプリケーション・ページのインタラクティブなブロック図を使って、設計で他の機能を試してみることもできます。

フェーズ2:設計

システム構築を始める準備ができている場合は、設計対象が電源、シグナル・チェーン、組み込み処理サブシステムのいずれでも、多数のツールをオンラインで利用できます。例えば、次のようなものがあります。

  • 既製のアナログ・サブ回路から始めてみる。シグナル・チェーンを設計している場合は、アンプやデータ・コンバータのサブ回路例を探し、そのような回路を独自のシステムのニーズに合わせて簡単に作り変えることができます。アンプとデータ・コンバータについての「アナログ・エンジニア向け回路クックブック」には、100以上のサブ回路の例が、ステップごとの手順説明、基本式、回路図、SPICEモデルと共に掲載されています。
  • パワー・テスト・ベンチを構築する。WEBENCH® Power Designerツールを使って、部品を検索し、電源回路図を作成しましょう。このツールを使うと、電源設計の端から端まで全体的な設計と解析が可能になり、シミュレーションのために後で好みのCAD環境に設計をエクスポートすることができます。
  • 設計を簡素化する方法を探す。例えば、インダクタ内蔵の電源モジュールを電源設計に利用するのも、通常はラボで行われる試験の一部を省略する方法の1つです。この方法は、プリント基板(PCB)の面積縮小や、電磁干渉(EMI)性能の最適化にも有効です。設計にモジュールを組み込む方法について詳しくは、このトレーニング・シリーズをご覧ください。
  • オンライン・トレーニングやチュートリアルで課題を解決する。設計上の問題で行き詰ったときに、TIの製品、ツール、ソフトウェア、アプリケーションの使い方を詳しく学ぶには、TIのトレーニング・ビデオ・ライブラリが便利です。課題となっていることが基礎的なものか、それとも深く掘り下げようとしているかに関係なく、アプリケーションまたは製品で検索して、具体的な例が付いたステップごとのチュートリアルを探せます。

フェーズ3:試験とシミュレーション

設計の最終段階ではラボ試験の代わりになるものはありませんが、それまでの間にデバイス性能の評価に使えるツールは存在します。例えば、次のようなことが行えます。

  • 評価モジュール(EVM)を使ってデバイス性能を評価する。現時点で基板試験にラボを全面的に利用することができない場合、評価モジュール(EVM)を使えば既製のシステムでデバイス性能を試験することが可能になるので、プロトタイプ開発の期間短縮につながります。TIの多くのEVMにはGUIソフトウェアが付属しており、結果がPC上に視覚的に表示されます。TIウェブサイトからEVMをご注文いただければ、ご自宅を含め、世界中のどこにでもお届けします。
  • シミュレーションに時間をかける。システムでのデバイスの動きをシミュレーションするのに役立つ、無料のシミュレーション・ツールを多数利用できます。TIでは、迅速な設計に役立つ無料のモデルとシミュレーション・ツールを用意しています。
  • ソフトウェア開発作業を行う。ソフトウェア開発が必要な設計では、TIクラウド・ツールを使ってTIの組込み処理製品を評価することができます。同じページのResource Explorerの中で、コード例や、開発ツール、デバイスの資料も確認できます。開発を後押しできるよう、TIサイトのソフトウェアは無料です。

フェーズ4:サポート

開発プロセスを通したサポートについて、TIのE2E™サポート・フォーラムも忘れてはいけません。独自の設計課題に関する技術的な質問をしたり、TIの製品エキスパートから支援を受けたりすることができます。また、TIカスタマー・サポート・センターを通じて特定の製品のサポートを求めることもできます。

どの設計フェーズであっても、生産性を維持して開発を進められるように、手軽に使えるオンライン・リソースをご用意しています。

ちょっとした息抜きをお求めの場合には、次の記事もご覧ください。

+ あなたが電源設計者かもしれない7つの特徴
+ アナログ・エンジニアにしか理解されない7つのこと(英語)

参考情報
+ 基礎知識から先進的概念まで、アナログ・シグナル・チェーン設計に関するTIプレシジョン・ラボのビデオ・トレーニング・コースを検索
+ TIのElectronic DesignのFundamentals of Embeddedハブ・オンラインで組み込み設計のリソース、ヒント、ツールを検索

+ Power Stage Designer™ソフトウェア・ツールを使用した詳細な電圧・電流計算を用いて新たな電源設計を開始

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※上記の記事はこちらの技術記事(2020年4月13日)より翻訳転載され���した。
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