高電圧システム用電流センシング技術を正しく選択する方法


EVの自動運転や電気飛行機が話題を集め、無人生産ラインの導入が進むなど、動力の電動化やオートメーション技術の進歩はめざましく、現在、私たちは、オートメーションとスマート・モニタリングを中心とする第四次産業革命(Industry 4.0)の真っ只中にいます。電動化の動きが加速するなか、高効率かつ高性能を実現する高電圧システムの重要性は高まる一方です。この記事では高電圧用途を対象として電流センシング技術を正しく選択する方法について説明します。

高電圧ドメインに組み込まれるシステムでは、交流か直流かを問わず、高圧電源と負荷から人や回路を守るために信号と電源との十分な絶縁が必要です。また、システムに搭載される機能がますます増えるなか、性能を向上させつつ小型化を追求する取り組みも求められています。このようなニーズは、高密度フォーム・ファクタを採用する際のさまざまな問題を生じさせる一方で、低コストかつシンプルな設計で高性能を維持しています。

一般に電流センシングは、高電圧システムの過電流保護、監視、診断、閉ループ制御に利用されます。多くの場合、負荷の監視と制御によって効率を最大化するためには、高精度が不可欠です。例えば、力率補正回路では、エネルギー消費を監視しながらシステム効率を向上させるためにAC電流の正確なセンシングが必要です。高電圧モータでは、モータのトルク制御を正確に行うために高精度のインライン・モータ電流センシングが必要です。要件の多くはシステムの仕様によって異なります。

高電圧用途の電流測定に使用される主なセンサには、絶縁型シャント・ベース電流センサ、閉ループ・ホール効果電流センサ、インパッケージ・ホール効果電流センサという3つのタイプがあります。

表1に示すように、絶縁型シャント・ベース電流センサと閉ループ・ホール効果電流センサは、精度と絶縁性は最も高いレベルにありますが、インパッケージ・ホール効果電流センサよりもコストが高くサイズが大きいとされています。そのため、超高精度が要求される場合には、絶縁型シャント・ベース電流センサか、閉ループ・ホール効果電流センサが選択されます。

一方、設計においてサイズとコストが最重視される場合には、インパッケージ・ホール効果電流センサが最良の選択肢となります。表1からわかるように、インパッケージ・ホール効果電流センサを使用すると、外付け部品が不要なシンプルかつ小フォーム・ファクタのシステムで高電圧絶縁測定が可能です。ただし、時間経過や温度変動に伴うドリフトによって精度には限界がありました。

従来は小型・低コストと高精度とは両立しなかったのですが、テキサス・インスツルメンツは、業界初のゼロドリフト・インパッケージ・ホール効果電流センサ、『TMCS1100』によってこの問題を解決しました。このセンサのゼロドリフト・アーキテクチャ、リアルタイム感度補償、高信頼性の3kV絶縁耐圧という特徴により、高電圧システムに対して時間経過や温度変動に左右されない安定した高精度電流測定を実現しました。

 

絶縁型シャント・ベース電流センサ

閉ループ・ホール効果電流センサ

インパッケージ・ホール効果電流センサ

従来のセンサ

TMCS1100

製品サイズ

– –

+ +

+ +

必要な外付け部品

13

25

0

0

製品コスト

– –

+ +

+ +

精度

+ +

+ +

+

オフセットおよび感度のドリフト

+ +

+ + +

– –

+

絶縁寿命

+ +

+ +

+

1:絶縁電流センシング技術の比較

TMCS1100』を使用した電流測定の総合誤差は1%未満です。またゼロドリフトの高精度信号チェーン・アーキテクチャによって温度変動に伴うドリフトが改善されているため、多点較正が不要です。このセンサは精度が高いため、高精度の制御が必要なシステムの効率を向上できます。また、図2のように、高精度の絶縁型電流測定が必要なアプリケーションで、複雑さを最小限に抑えることができます。さらに、『TMCS1100』は、電流パスと回路の間の基本動作絶縁電圧600V、誘電絶縁電圧3kVを達成しています。

 

2:『TMCS1100』は、時間経過や温度変動に左右されない安定した高精度の測定を実現

磁気ベースの電流センシングに対するこのようなアプローチには、高精度、低ドリフト、高信頼性の3kV絶縁耐圧といった長所があります。詳細については、ホワイトペーパー『Improving Performance in High-Voltage Systems with Zero-Drift Hall-Effect Current Sensing』(英語)を参照してください。

参考情報
+アプリケーション・レポートのダウンロード
Enabling Precision Current Sensing Designs with Non-Ratiometric Magnetic Current Sensors.”
Low-Drift, Precision, In-Line Isolated Magnetic Motor Current Measurements.”
『TMCS1100』製品情報.

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※上記の記事はこちらの技術記事(2020年7月6日)より翻訳転載されました。 
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