絶縁デジタル入力(関連製品:『ISO1211』『ISO1212』)は、その名前からデジタル・アイソレータ(関連製品:『ISO7741』)と同じような機能に思えるかもしれませんが、実際には注目すべき違いがあります。内部構造や用途など、2つの絶縁機能の違いを簡単に見分けられるようになりましょう。

内部構造

デジタル・アイソレータは、ガルバニック絶縁のデジタル信号パスを提供するという基本的な、または強化された機能を果たしています。TI製品の絶縁構造は、絶縁バリアによる容量性絶縁であり、TIの相補型金属酸化膜半導体(CMOS)プロセス技術で作られた2つの高電圧コンデンサで構成されています。高周波キャリアの信号は絶縁バリアを越えて1次側から2次側に伝わり、TIのデジタル・アイソレータは最大12.8kVのサージ電圧と1.5kVの動作電圧に対して、二重の容量性バリアを破壊されることなく耐えることができます。デジタル・アイソレータの重要な要素の1つが、基本または強化の絶縁定格です。

 図1:デジタル・アイソレータ

絶縁デジタル入力は、センサ入力やその他の種類の入力からホスト・コントローラ・インターフェイス用のロジック出力へのガルバニック絶縁を提供するという、基本機能を果たします。図2のように、デジタル・アイソレータとは異なり、絶縁デジタル入力の入力段には、ユーザが設定する入力スレッショルドと、9V~60V範囲の入力電圧をロジック出力に変換できる内蔵の電流制限が含まれています。最もシンプルな構成では、絶縁デジタル入力が絶縁コンパレータとして動作するほか、設計を容易にするための優れた機能がいくつか追加されています。

 図2:絶縁デジタル入力

用途の違い

デジタル・アイソレータは一般に、信号パス上のA/Dコンバータ(ADC)またはデータ収集コンバータとホスト・コントローラまたはマイコンとの間で使用されます。デジタル・アイソレータは、特定のシステムの絶縁型電源機能に使用されることもよくあります。

絶縁デジタル入力は、特にプログラマブル・ロジック制御(PLC)、モータ制御、およびグリッド・アプリケーションで、フィールド側の入力とホスト・コントローラを接続するデジタル入力レシーバとして機能するように設計されています。絶縁デジタル入力は、フィールド側に面した入力として、シンクおよびソース・アプリケーション用に簡単に構成できます。入力電圧の比較的高い環境における入力の熱プロファイルは、内蔵の電流制限によって最低限に抑えられます。この電流制限は、シンプルな外付け抵抗により、国際電気標準会議(IEC)61131-2のスイッチ・タイプ1、2、または3に準拠するよう設定されています。入力電圧スレッショルドは、追加の抵抗によって設定します。オンライン・カリキュレータを利用すれば、必要な抵抗が簡単に見つかります。

電源の違い

デジタル・アイソレータは、1次側と2次側の両方に電源が必要です。図3では、絶縁型電源により、ADCと、ADCを接続しているデジタル・アイソレータの「フィールド側」に電力が供給されています。

 図3:ISO7741によるマイコンとADC間の通信の絶縁

絶縁デジタル入力では、2次側にのみ電源が必要です。『ISO1211』(図4)および『ISO1212』絶縁デジタル入力では、フィールド側に入力から電力が供給されているので、フィールド側の電源は必要ありません。これにより、他のディスクリート・ソリューションに比べてフロント・エンドの設計がよりシンプルになります。

 図4:PLCデジタル入力モジュール用に構成されたISO1211

TIの新しい絶縁デジタル入力は、TIが取り組んでいる革新的手法の一例であり、これにより、世界一堅牢で信頼性に優れた絶縁ソリューションが、さらに簡単かつ効率的なソリューションへと進化します。

参考情報

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※上記の記事はこちらのBlog記事(2019年5月8日)より翻訳転載されました。
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