先進運転支援システム(ADAS)が進化し、自動運転の実用化が近づく中で、マシン・ビジョン、ビューイング、パラレル・プロセッシング、データ・ロギング向けに集約したビデオ・センサ・データのマルチ・コピーに対するニーズが増大しています。

そのニーズが特に高まっているのが前方視認マシン・ビジョン・カメラで、近い将来に自動運転車の各種カメラ、レーダー、LIDAR センサにも採用される見通しです。その際に共通のアプリケーションとなるのがデータ・ロギングです(図1)。マシン・ビジョン・アプリケーションにおいては、後で分析するために、運転事象に関する生のセンサ・データを記録するのが一般的です。こうしたケースでは、データ記録のために集約した生のセンサ・データの二次コピーを取り、他のコピーをマシン・ビジョン・プロセッシングのために使用するのが効果的です。

図 1:共通の ADAS データ・ロギング・トポロジー

集約したセンサ・データの複製

データの複製はビデオ・パスにおけるさまざまな部分で行うことができます。別のケーブルを通じ個々のセンサをマシン・ビジョンとデータ・ロギング ECU(電子制御ユニット)の両方に接続することが可能ですが、その場合、必要なケーブル数を倍増する必要があります。その代わりに、センサ・データの集約後にデータを分割した方が簡単になる場合が多くなります。例えば、『DS 90UB 964-Q1』4 チャネル内蔵のデシリアライザ・ハブは最大 4 つの異なるセンサから生のデータを集約することができ、さらに、スプリッタやブリッジ・チップなどの外部部品を必要とせずに結合したデータの 2 つのコピーを作成できます。マシン・ビジョン・アルゴリズム(対象認識など)は 1 つのストリームを処理し、他のストリームはデータ・ロギング用にメモリに記録されます(図 2)。接続されたセンサは必ずしも同じセンサである必要はありません。タイプ、分解能、速度の異なる複数のセンサを組み合わせても、真のセンサ・フュージョン・システムを実現できます。例えば、フレーム・レートの異なる複数のカメラと別々のレーダ・センサからのデータを結合することができます。

図 2: ポート・レプリケーション・モードはマシン・ビジョン・プロセッシングとデータ・ロギング動作向けに集約したセンサ・データ・ストリームの複製に有用

図 3 は色付けしたブロックで示すようにデータ・レートの異なる 4 台のカメラ・システムを示しています。集約データは、MIPI 準拠カメラ・シリアル・インターフェイス(CSI)-2 ポート 0 と 1 のいずれにも提供されます。CSI-2 バスは固定データ・レートで動作し、利用時にデータに衝撃を与え、アイドル時には低消費電力(LP)状態に反転させるという意味で「バースティ」です。このように、センサ速度は ECU プロセッサ・タイミングを行わなくても、変更可能です。 センサ・リンクは独立した周波数で動作しますが、デシリアライザ・ハブはシングル・リファレンス・クロック上でシステム・オン・チップ(SoC)にデータを提供することから、システム・タイミングの簡素化が可能になります。


図3:『DS 90UB964-Q1』 は異なるタイプの 4 つのセンサを 2 つの MIPI CSI-2 ポートに集約/複製

DS 90UB 964-Q1』は MIPI CSI-2 バーチャル・チャネル ID リマッピングをサポートしています。バーチャル・チャネルは集約されたストリームでセンサ・データを分離することから、プロセッサはビット・スタッフィング・アプローチによりビット数をカウントせずに、どのセンサからどのパケットが来たかを簡単に判定することができます。プロセッサはヘッダ内のバーチャル ID (VC-ID)を単に読み取るだけで、バーチャル・チャネル・アドレスを判定します。センサがすでに同一の VC-ID を使用している場合には、使用されていない VC-ID へのリマッピングが行われ、入ってくるデータを識別します。4  つの +1MP/60 fps、2MP/30fps あるいはサテライト・レーダー・センサをサポートするため、もしくは異なるセンサの組み合わせをサポートするために、1  レーンあたりの速度が最大 1.6Gbps で、1 ポートあたり合計 6.4Gbps の帯域幅が利用できます。

結論

データ・ロギングは ADAS、特に自動運転アプリケーションでかつてないほど重要な役割を果たすようになっています。センサ・データの複製は多くの場合、センサ・データが集約された直後にもっとも効率的になります。新製品は複製機能を集積し、外部スプリッタを不要にしており、未来の車載 ADAS アプリケーションに対し、新アーキテクチャの可能性を提供します。ADAS カメラとレーダー・アプリケーションの詳細については、ログインしてコメントを行うか、TI の SerDes 製品ラインアップページをご参照ください。

その他

 

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

https://e2e.ti.com/blogs_/b/behind_the_wheel/archive/2016/10/18/sensor-data-logging-using-csi-2-port-replication-in-adas-applications

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