EMI性能の向上に有効なマルチチャネル降圧コンバータ・レイアウトはどれか


設計者は、多数の電源レールをサポートする車載機器システムに複数のDC/DC降圧コンバータをよく使用します。しかし、そのようなタイプの降圧コンバータを選ぶときには考慮すべき点があります。例えば、AMラジオ帯域との干渉を避けるために、車載インフォテインメント/ヘッド・ユニット用に(2MHz以上で動作する)高スイッチング周波数のDC/DCコンバータを選ばなければなりません。また、比較的小型のインダクタを選んで、ソリューション・サイズも小さくする必要があります。それに加えて、高スイッチング周波数DC/DC降圧コンバータは入力電流リップルの低減にも役立ち、入力電磁干渉(EMI)フィルタのサイズが最適化されます。

しかし、自動車に最新システムを組み込もうと試みる主要な車載機器ODM(Original Design Manufacturer)にとって、決められたEMI規格に準拠することが絶対に必要です。この要件は非常に厳しく、製造業者はCISPR(国際無線障害特別委員会)25といった規格に準拠しなければなりません。多くの場合、製造業者が規格を満たしていないと、自動車メーカーはその設計を受け入れられません。

そのため、DC/DC降圧コンバータに対応したレイアウトの選択が鍵になります。良好なEMI性能を達成するには、高電流が流れる電力ループを最適化することが非常に重要です。

LMR14030Q1DC/DC降圧コンバータを例にしましょう。図1と図2にデュアル・チャネル降圧コンバータの2つの異なるプリント基板(PCB)レイアウトを示します。赤い線で示すのは、レイアウトの電力ループの流れです。図1では電力ループはUの形に流れますが、図2ではIの形です。車載機器と産業用アプリケーション・システムでは、この2種類のレイアウトがもっとも一般的です。ではどちらが最適なのでしょうか。

 図1:U型レイアウト

 図2:I型レイアウト

伝導EMIは差動モードと同相モードにさらに分けられます。2つのモードは同じように測定されますが、異なる方法で制御されます。差動モードのノイズは電流の変化率(di/dt)に由来し、同相モードのノイズは電圧の変化率(dv/dt)から発生します。EMI性能で重要な点は、どうやって寄生インダクタンスを最小限に抑えるかということです。

図3は、降圧レギュレータの等価回路です。ほとんどの設計者は、Lp1、Lp3、Lp4、Lp5をできるだけ小さくする方法を知っていますが、Lp2とLp6は無視しています。U型レイアウトではI型に比べてLp2とLp6の寄生インダクタンスが小さくなります。U型レイアウトでは、ハイサイドMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)をオンにすると、電力ループが短くなって、良好なEMI性能をもたらします。

 図3:降圧レギュレータの等価回路

どのレイアウトが最適かを確認するのに、EMIデータの計測は欠かせません。図4および図5では伝導EMIを比較しています。見てわかるように、U型レイアウトのEMI性能は、特に高周波数のときにI型レイアウトのEMI性能を上回っています。

 図4:位相シフト・モードでのU型のEMI性能

 図5:位相シフト・モードでのI型のEMI性能

EMI性能を向上させる上で、フィルタの追加が効果的です。図6に、簡易化したEMIフィルタを示します。これには同相モード(CM)フィルタと差動モード(DM)フィルタが含まれます。一般的に、DMは30MHz未満のノイズをフィルタリングし、CMは30MHz~100MHzのノイズをフィルタリングします。両方のフィルタが、EMIを制限する必要がある周波数帯全体で効果があります。図7と図8では、同相モード・フィルタと差動モード・フィルタの両方で伝導EMIを比較しています。U型レイアウトはCISPR 25クラス3規格に合格しますが、I型レイアウトは合格になりません。

 図6:簡易化したEMIフィルタ

 図7:DMフィルタとCMフィルタを使用したU型のEMI性能

 図8:DMフィルタとCMフィルタを使用したI型のEMI性能

I型レイアウトに比べてU型レイアウトの方が優れたEMI性能を達成しているのがおわかりでしょう。詳しくは、アプリケーション・レポート「How SYNC Logic Affects EMI Performance for Dual-Channel Buck Converters」をご覧ください。

※すべての登録商標および商標はそれぞれの所有者に帰属します。

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

http://e2e.ti.com/blogs_/b/behind_the_wheel/archive/2018/10/22/which-multichannel-buck-converter-layout-offers-better-emi-performance

※ご質問はE2E Support Forumにお願い致します。