[FAQ] ハイサイド・スイッチ(HSS)を使用してマルチモジュール車載LEDリア・ライト・システムにOFAF機能を組み込む方法


この記事では、お客様からよく寄せられる質問とそれに対する回答をまとめています。

図1のような標準的なLEDリア・ライトは、テール・ランプ、ブレーキ・ランプ、方向指示器といった複数の表示灯機能で構成されています。ランプの形やデザインに基づいて、複数のLEDドライバとLEDプリント基板(PCB)を使用してそれぞれの表示灯機能が実装されます。さらに、リア・ライトの各ランプは、車体制御モジュール(BCM)により個別に点灯/消灯します。

1:リア・ライトとBCMとの接続

このような車載リア・ライト・システムで重要な設計要件の1つが、LEDの断線や短絡、または単独のLEDの短絡といった障害を検出する診断ソリューションです。これらの障害事象をBCMが検出し、エンジン・チェック・ライトを通して運転手に知らせる必要があります。

BCMは、制御ラインの電流を測定することでリア・ライト・モジュールの障害を検出します。BCMが高精度の電流感知ソリューションを使わずに障害を検出できるように、LEDドライバはOFAF(1箇所の障害で全体の障害)と呼ばれる機能を実装しています。LEDドライバはこの機能により、1つのLEDの故障でも、その特定のランプ機能のLEDをすべてオフにします。つまり、LEDが1箇所故障すると、すべてのLEDが消灯します。

多くのLEDドライバには専用の「Fault」ピンがあり、これらのピンを相互接続することでOFAFを実装できます。しかし、1つのランプ内や、フェンダーのランプとトランク内のランプのように2つのランプ間でも、2つのLEDドライバPCB間の距離が大きいと、電磁耐性が問題になります。これを解決するには、グランドとの短絡やバッテリとの短絡などの保護機能を備えるHSSの利用が有効です。

図2は、リア・ライト・ソリューションのHSSを簡易的に表したブロック図です。この図では、TPS92610-Q1がリニアLEDドライバ、TPS1H200A-Q1がHSSデバイスです。

2:リア・ライトでのハイサイド・スイッチの使用方法を示すブロック図

このソリューションの仕組みは次のようになります。

PCB1のHSSのFaultピンは、LEDドライバのイネーブル・ピン(EN)に接続され、LEDドライバのFaultピンは、ハイサイド・スイッチのイネーブル・ピン(IN)に接続されます。信号が両方とも5Vにプルアップされ、規定の起動が行われます。通常動作時は、PCB1のHSSによってPCB2のLEDドライバに給電されます。考えられる障害は2つあります。

  1. PCB1のLEDの故障。PCB1のLEDが故障すると、PCB1のLEDチャネルがディスエーブルになり、LEDドライバのFaultピンがLowになります。これによりHSSがオフになるので、PCB2のLEDがオフになります。要するに、PCB1で発生した障害によって、ランプ内のすべてのLEDが消灯します。
  2. PCB2のLEDの故障。PCB2のLEDが故障すると、LEDドライバはPCB2のLEDをオフにします。PCB2の電流消費量が減少し、PCB1のHSSはこの事象を開放負荷として検知します。HSSのFaultピンがLowになり、PCB1のLEDドライバをディスエーブルにします。これにより、PCB1のLEDがオフになります。要するに、PCB2で発生した障害によって、ランプ内のすべてのLEDが消灯します。

図3、4、5に、この実装の働きを示します。

図3は、システムの起動です。PCB1に電力が印加されると、LEDドライバ(CH3)とHSS(CH4)のFaultピンがHighになり、LEDドライバの出力(CH1とCH2)も同様にHighになります。

3:システムの起動(CH1PCB1LEDドライバのVoutCH2PCB2LEDドライバのVoutCH3PCB1LEDドライバのFaultCH4HSSFault

図4は、PCB1のLEDドライバ出力(CH1)の短絡発生時です。この場合、PCB1のLEDドライバのFault信号(CH3)がLowになり、HSSの出力をディスエーブルにします。そのため、PCB2のLEDドライバの出力(CH2)がLowになります。

4PCB1(マスタ)でのLED短絡(CH1PCB1(マスタ)のLEDドライバのVoutCH2PCB2(スレーブ)のLEDドライバのVoutCH3PCB1LEDドライバのFaultCH4HSSFault

図5は、PCB2のLEDドライバ出力(CH2)の短絡発生時です。この場合、PCB1のHSSがこの事象を開放負荷として検知します。HSSのFaultピン(CH4)がLowになり、PCB1のLEDドライバをディスエーブルにします。そのため、PCB1のLEDドライバの出力(CH1)がLowになります。

5PCB2(スレーブ)でのLED短絡(CH1PCB1LEDドライバのVoutCH2PCB2LEDドライバのVoutCH3PCB1LEDドライバのFaultCH4HSSFault

TPS1H200A-Q1TPS92610-Q1の技術的な質問をご希望される方は、こちらの画面右上の「Ask a related question」ボタンをクリックして、英語にてご質問を入力して下さい。その他、技術的な質問につきましては、E2E フォーラムで関連の質問を検索いただくか、新たに質問を投稿してください。

参考資料: