クルマの電動化による車載電圧ボード・ネットの発展


この記事では、次世代の車載アーキテクチャ向けの電圧ボード・ネットについて考察します。自動運転機能が普及し、快適で便利な各種機能やインフォテインメントなどの人気も高まる中、車の内部で必要となる電気エネルギーが急増しています。現在の車両では、センサやアクチュエータに加え、センサの情報を読み取りアクチュエータを制御する電子制御ユニット(ECU)が増え続けています。また、ハイブリッド車や電気自動車の需要の高まりから、電力効率が重要な設計目標になります。なぜなら、効率が向上すれば車の走行距離が伸びるからです。

 

車載設計の電力効率を高めるために、より高電圧のボード・ネットが車に組み込まれるようになっています。高電圧ボード・ネットを使用すれば、(例えばハーネスの重量の減少により)車両が全体的に軽量化するだけでなく、高電圧によりアクチュエータに直接給電できることで、電圧変換が不要になります。

 

高電圧ボード・ネットが1つしかないのがベストのように思われますが、実際には、さまざまなアクチュエータやECUに幅広い電力要件があるため、車載システムの設計者は、電圧ボード・ネットを2個ないしは3個、車両に組み込むことになるでしょう。

この記事では、車載設計者が次世代の車両アーキテクチャのために検討している電圧ボード・ネットについて考察し、各種のボード・ネットに関連したさまざまな技術的課題に対処するために役立つ製品ファミリやリソースをご紹介します。

図1は、車種ごとに考えられるさまざまな電圧ボード・ネットです。

 1:車の電圧ボード・ネット

12Vボード・ネットを使用した制御モジュールへの電力供給

ISO(国際標準化機構)7637-2規格および16750-2規格に規定されているように、従来の12Vボード・ネットの電圧は広範囲にわたります。これらの要件が変更されることはないでしょうが、ハイブリッド車や電気自動車に12Vを使用すると、特に12Vバスにオルタネータがない場合、つまり高効率DC/DCコンバータが高電圧を12Vに変換して12Vボード・ネットに必要な総電力を供給する場合は、最大電圧が低く抑えられる可能性があります。この場合、入力電圧の低いレギュレータを使用してECUに電力管理ソリューションを実装することが可能になるでしょう。

設計者は、電力管理アンプトランシーバモータ・ドライバスマート・パワー・スイッチなど幅広い範囲の車載対応製品を使用して、12V電源ボード・ネットで駆動される制御モジュールのさまざまな技術的課題に柔軟に対処できます。

48Vボード・ネットの課題への対処

48Vボード・ネットは一般に、高電力を必要とする負荷への給電に使用されます。48Vで駆動される具体的な負荷は、車両のタイプによって異なります。モジュールのタイプに関係なく、48Vボード・ネットに接続される制御モジュールには、高効率で電力密度が高く、ISO 21780で規定される動作電圧要件に耐えられる電力管理デバイスが必要になります。また、ECUが12Vボード・ネットにもつながっている場合は、モジュールに機能絶縁も必要です。ベルト・スタータ・ジェネレータやHVAC ACコンプレッサ・モジュールといった48Vアクチュエータを駆動する場合は、機能安全性付きで効率のよい多相48Vゲート・ドライバが必要です。機能安全性のニーズにより、負荷電流センシングなどの追加診断回路の必要性も高まります。48V電源ボード・ネットを導入する際には、48Vバッテリ管理システムで充電状態および健全性状態を高い精度で効率的に管理することも求められます。

48Vボード・ネット・システムで効率と電力密度を高め、機能安全性を実現するために、設計者は電流および電圧センス・アンプの幅広いポートフォリオとともに、降圧レギュレータ3相ゲート・ドライババッテリ管理システムなどの製品を利用できます。

高電圧ボード・ネットの最大化

電気自動車には、非常に高い電圧を生成するバッテリ・システムが搭載されています。トラクション・インバータやHVAC ACコンプレッサ・モジュールなどの高電力負荷には、高電圧ボード・ネットから直接電力が供給されます。そのため、これらの高電圧負荷の駆動に使用される電源段は高い動作電圧に耐えられ、高い同相過渡耐性(CMTI)を持つ必要があります。さらに、ソリューションをコンパクトに実装するためには、電力密度の高いゲート・ドライバと電源段が求められます。また、複数の電源ボード・ネットを使用する際には、適切な動作を保証するために、低電圧領域と高電圧領域の間で制御モジュール内に絶縁が必要になります。高電圧を使用する場合は、電気的な安全性要件を満たすだけでなく、機能安全性要件も満たす設計が必要になる可能性があります。後者の要件を満たすには、診断機能の実装が必要であり、結果としてこれらのシステムに電流、電圧、温度のセンシング・ソリューションを追加する必要があります。

さらに、充電状態と健全性状態管理を高い精度で管理し、セルの均一性を維持する効率的な高電圧バッテリ管理システムが必要となります。  

設計者は高電圧ゲート・ドライババッテリ管理システ電源および信号アイソレータ高速アンプといった幅広い製品ポートフォリオを利用して、高電圧制御モジュールの効率、電力密度、機能安全性、信頼性を最適化し、課題に対処することができます。

低電圧から高電圧の設計

車載設計エンジニアは、12 V、48 Vおよび高電圧ボード・ネット用の電圧ボード・ネットに対応するよう、アナログ・デバイスと組込み半導体デバイスを幅広い選択肢の中から選択できます。これら製品により、効率の良いECUを使った車載アーキテクチャを柔軟に設計できるようになり、電力密度、信頼性、機能安全性といった設計目標の達成が可能になるでしょう。

参考情報:

自動車の電動化製品と設計リソース


※すべての登録商標および商標はそれぞれの所有者に帰属します。 
※上記の記事はこちらの技術記事(2020年9月23日)より翻訳転載されました。 
※ご質問はE2E Support Forumにお願い致します。