正しい産業用Ethernet標準規格の選び方: EtherNet/IP


“正しい産業用Ethernet標準規格の選び方” シリーズでは、産業用Ethernetをシステム内で活用しようと決めた設計者向けの記事です。このシリーズでは、アプリケーションへの正しい標準規格の選択に役立てるために、数種類の主要な産業用通信プロトコルを扱います。本ブログでは、ファクトリ・オートメーションやプロセス・オートメーションのアプリケーション向けの、5つの主流の産業用Ethernet標準規格の一つであるEtherNet Industrial Protocol (EtherNet/IPまたはEIP)について説明します。

この産業用Ethernet標準規格は、米国のメーカ各社に一般的に採用されています。EtherNet/IPはRockwell Automationで開発され、現在はIEC(International Electrotechnical Commission、国際電気標準会議)61158 標準規格となっています。2001年に発表されたEtherNet/IP標準規格は、仕様を促進し適合テストの調整を行う組織であるOVDA(Open DeviceNet Vendor Association)の傘下に入っています。

EtherNet/IPには、コンシューマとプロデューサというネットワーク階層があり、これに対してデバイスとコンポーネントは、それぞれI/O(入出力)スキャナとI/Oアダプタと呼ばれています。また、エクスプリシット・メッセージ・サーバやエクスプリシット・メッセージ・クライアントがありますが、このブログでは扱いません。

I/OスキャナはI/Oアダプタとの通信を確立し、処理データを交換します。I/Oスキャナは、I/Oアダプタの動作パラメータを設定しなければなりません。I/Oスキャナの代表例は、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)や、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)です。

I/Oアダプタは、I/Oスキャナが制御するデータレートで、I/Oデータを生成します。デジタルあるいはアナログI/Oデバイスのほか、もう少し複雑なモータ・ドライブやモジュール式の空気弁システムもI/Oアダプタとなり得ます。

EtherNet/IPは802.3 Ethernet標準規格をベースとしていることから、ネットワーク・トポロジの面で非常に高い柔軟性を備えています。ネットワーク・トポロジは、図1に示すように、ライン、リング、スターのほか、ハブやスイッチを使って、これらを組み合わせて使うことも可能です。100Mbps、10Mbps または、それらの組み合わせを使用できます。

1: オートメーション・システムでのEtherNet/IPネットワーク

図2に示すように、EtherNet/IPは上位レイヤとしてCIP(Common Industrial Protocol)を使う、ネットワーク・プロトコルのファミリの一つです。CIPを使うその他の産業用プロトコルには、DeviceNet、CompNetやControlNetなどがあります。DeviceNetやControlNetに慣れたオペレータや技術者であれば、EtherNet/IPへの慣熟にも問題はないでしょう。EtherNet/IPで、その他のCIPファミリ向けの設定ツール群も使用できます。


2: EtherNet/IP は、DeviceNetCompNetControlNetCIPアプリケーション・レイヤを共有します。

その他のEtherNet/IPの利点は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)とUDP/IP(User Datagram Protocol/Internet Protocol)を使うことです。EtherNet/IP は設定とメッセージ伝送にTCPフレームを使い、リアルタイムの処理データにはUDP フレームを使います。

EtherNet/IPは802.3 Ethernet標準規格をベースとし、TCPとUDPのフレームを使うことから、Ethernet NIC(ネットワーク・インターフェイス・カード)をはじめとした標準的なハードウェア構成部品で実装できます。しかし、特にライン・トポ��ジで���ネットワーク・ジッタの低下と性能の向上するためには、カットスルー機能を備えたEthernet MAC(メディア・アクセス・コントローラ)が必要となります。EtherNet/IP MACを図3に示します。EtherNet/IP MACは入力されるEthernetフレームから、宛先アドレスを解析します。EtherNet/IP MACは、宛先アドレスがブロードキャストまたはマルチキャスト、またはそのスイッチのMACアドレスに合致しない場合、この宛先アドレスをベースとして、2番目のEthernetポートにフレームをただちに転送します。高効率のデバイスでは、Ethernetフレームの遅延は2ms未満です。

3: EtherNet/IP デバイス

EtherNet/IPはリング・トポロジをベースとしたケーブル冗長テクノロジであるDLR(デバイス・レベル・リング)をサポートしています。EtherNet/IPの各デバイスはリングの切断を検出するため、デフォルトで400μs毎にビーコン・フレームを送出します。故障の場合には、リング・スーパーバイザが各EtherNet/IPデバイスのEthernetポートをリモートで開閉し、能動的にネットワークの再構成を行います。図4に示すEtherNet/IP 向けのTIのSitara™プロセッサ製品に統合されたソリューション は、独自のプログラマブル・リアルタイム・ユニットとPRU-ICSS(産業用通信サブシステム)ペリフェラルでカットスルー・スイッチ・テクノロジをサポートしています。このソリューションはOVDAの適合認定を取得するとともに、ベンダ各社が集まり、デバイスの相互動作性をテストする会合であるOVDAのプラグ・フェストでも合格しています。


4: EtherNet/IP スレーブのソフトウェア・アーキテクチャ

 

このブログ記事では、EtherNet/IPの機能をクローズアップしました。このシリーズの、他の産業用Ethernet標準規格に関するブログ記事もご覧ください。

 

その他の資料

 

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

http://e2e.ti.com/blogs_/b/industrial_strength/archive/2016/02/25/how-to-select-the-right-industrial-ethernet-standard-ethernet-ip

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