オートメーションは、ビル、住宅、都市など私たちの世界に革命をもたらしています。そして今日、工場ではインテリジェント・オートメーションが活用されています。プロセス・チェーンはより効率的になり、これまでよりも簡単に保守できるようになっています。ファクトリー・オートメーションでは、固定型と可動型の両方のロボットが、製造から梱包までさまざまな用途に使用されています。人間と機械が「手を携えて」行う作業が多い工程では、人間、自律走行車、動かない物体のような障害物が工場の作業現場に存在する可能性があります。このため、工場内のセーフティ・カーテンやエリア・スキャナなど、工程管理の安全保護による事故管理が必要になっています。図1のように、これらの安全保護によって、人間や物体がロボットの近くに存在しているかどうかを検知できます。

 1:人または物体とロボットの接近を判定するためにエリア・スキャナを必要とする機械の例

 安全保護センサで考慮する必要がある主な機能は以下の通りです。

  • 物体を検知できる分解能
  • 検知可能な範囲
  • さまざまな環境および照明条件での物体検知の精度
  • 応答時間

TIのミリ波センサにより、多くの環境条件で物体の検知が可能になります。ミリ波センサは、ほこり、水、明るい光や、弱い光のような環境条件には反応しません。このソリューションによって、端からの高さと方向の両方の情報が提供され、高精度で物体を検知し、オートメーション化されたロボティクスや輸送などにおいて衝突を防止できるようになります。

図2は、『IWR 1443』のようなTIのミリ波センサで範囲、速度、位置の情報を測定し、ロボットのセンサから物体の距離を判定してゾーン占有率を判断する方法を示しています。ミリ波センサを使用したゾーン占有検出のリファレンス・デザインでは、IWR 1443評価モジュールを使用してロボットの周囲に3Dのポイントクラウド・ビューを描写します。この例では、最適な結果を得るため、センサは壁に取り付けられています。ただし、センサは頭上の位置に取り付けることもできます。

 2TIの『IWR 1443』ミリ波センサを使用した、定義済みゾーンでの人間のポイントクラウド検知

高い分解能、広い視野角、静的擾乱除去が、産業における安全保護を設計する際に考慮すべき重要な要素です。表1は、TIのミリ波センサでのこれらの要素の性能を示しています。

工場におけるロボットの周囲の安全保護に対するミリ波の利点

IWR 1443』のミリ波デバイスの性能

用途の利点

チューニングレンジ

76~81GHz

4GHzの帯域幅の非常に低いレンジの
分解能で近くにある物体を区別

最大レンジ(分解能)

10m(0.047m)

エリア・スキャナまたはアーム・セーフティ・カーテンとして使用され、設備の周囲にある立ち入り禁止のカーテンまたは領域を維持

最大視野角(分解能)

120度(15度の角分解能)

事故管理のための人々など、複数の移動する物体を広範囲で検知および追跡

静的擾乱除去

対応

動かない物体を除外して、人間や車両を正確に検知

1:安全保護エリア・スキャナでTIのミリ波センサが提供する主な利点

また、リファレンス・デザインにも静的擾乱除去アルゴリズムがあり、柱やフェンスのような動かない物体とセンサに近づいている移動中の物体とをセンサで区別することが可能になります。4.7cmのレンジ分解能により、10mまでのさまざまな距離で多様な物体を検知できます。さらに、秒速26cmの分解能により、ロボットに接近している物体の正確な追跡も可能です。また、120度の視野角(FOV)と15度の角度分解能によって、「セーフティ・ゾーン」全体で、移動している物体や人間を広範囲の視野角で検知できます。

Degrees

1m

3m

4m

5m

6m

7m

8m

9m

10m

11m

0-30

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x

30-60

x

x

x

x

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x

x

60-90

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x

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90-120

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x

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120-150

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x

x

150-180

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x

2:『IWR 1443 ミリ波センサをテスト用の設定で使用した場合の、人間が検知されたレンジと角度の測定結果

ミリ波センサは、安全保護システムの設計向けに、高い分解能、信頼性の高い精度、広い視野角を備えています。産業用ロボットや輸送車両で移動中の物体(人間、他のロボットや車両など)や動かないもの(柱や壁など)を検知できるようになることにより、ミリ波センサは工場の作業現場での危険性を最小限に抑制することに役立ちます。また、ミリ波技術の利点に加えて、TIのミリ波センサは、公開されているソフトウェアとリファレンス・デザインを用いることで、設計が簡単な、システム・コストも低いシングルチップ統合ソリューションでもあります。

産業オートメーションにおける課題の考察と対応の詳細は、IWR mmWave solutionをご覧ください。

参考情報

※すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します。
※上記の記事はこちらのBlog記事(2018年8月23日)より翻訳転載されました。
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