日々、メモリ容量とピン・カウントの増加が続く中で、たった数 KB のメモリを搭載したマイコンの開発を継続していくことに対し疑問の声が上がるかもしれません。答えは簡単です。標準ロジックやその他のアナログ回路を代替する低消費電力マイコンを使ったアプリケーションは多数存在します。こうしたマイコン・ベースのソリューションは多くの場合、新しい機能とフレキシビリティを提供し、設計に新たな価値をもたらします。

例えば、温度センサを A/D コンバータ(ADC)に接続し、数行の制御コードによりシンプルな温度コントローラを生成することが可能です。下の回路図は『LMT 88』温度センサとポテンショメーターを使用したシステムで、ヒーティング素子の制御のためにリレーのスイッチングを行うことにより、シンプルな閉ループ・オン/オフ制御システムの製作を可能にします。

1:シンプルな温度制御システムのブロック図

温度センサを紫外線(UV)センサに変更すれば、ある一定期間にわたって紫外線レベルを測定するシンプルな紫外線曝露モニタの製作が可能になります。また、シンプルな湿度センサを使用すれば、灌漑システムの制御により土壌の水分レベルを維持することが可能になります。わずか数個のサーミスタやコンパレータなどのシンプルなアクティブ/パッシブ・コンポーネントを使うだけで、こうしたアプリケーションの製作が可能になります。同時に、プログラマブル素子を追加したり、あるいは、可変ヒーティング素子や可変速度ポンプの制御のために比例項コントローラを実装するなど、先進的な制御機能も追加することもできます。ハードウェア・ベースのアナログ・ソリューションや固定機 IC ベースのソリューションを使った場合は簡単にはいきませんが、こうした追加を行えば、インターフェイスを使い、設定点の変更やヒステリシス・レベルの変更を簡単に行うことが可能になります。

TI ではこのほど、ピン・カウントが少なく、多数のシンプルなアプリケーションに最適な 2 つの新 『MSP430™』マイコンを発表しました。2 つの新マイコンは最大 4KB の組込み FRAM と 1KB の RAM を搭載しており、今日市販されている多くの 8 ビット・マイコンの代替を可能にするコンパイラを提供します。こうした低コスト・マイコンは FRAM マイコンへの便利な入り口となります。FRAM はプログラマに対し優れたフレキシビリティを提供するとともに、不揮発プログラムと不揮発性データ・メモリのいずれとしても動作できることから、従来のフラッシュと RAM を組み合わせたソリューションでは不可能だった、プログラムとデータ・メモリのパーティショニングのカスタマイズが可能になります。こうしたフレキシビリティに加えて、FRAM は EEPROM やフラッシュ・メモリに比べてメモリへの書き込みの際に大幅な消費電力の低減を実現します(FRAM 技術の詳細についてはこちらをご参照ください)。

MSP430FR 2110』と『MSP430FR 2111』マイコンは 3mm 角の小型パッケージに主要機能を封止しています。最大 4KB の組込み型超低消費電力 FRAM 不揮発プログラム・ストレージ機能を提供するほか、以下のコンポーネントを統合しています:

  • 8  つの外付け入力チャネル付きの 10  ビット 200K サンプル ADC
  • 6  ビット・プログラマブル・スレッショルド付きの低消費電力コンパレータ
  • 低消費電力バックアップ・メモリ付きのリアルタイム・カウンタ
  • ハードウェア UART / SPI シリアル・インターフェイス

MSP430FR 2110』マイコンは、1,000 個一括受注時の価格が 1 個あたり 0.50 米ドルとコスト効率が高いほか、多くの機能を統合していることから、多くの新アプリケーションへの採用が始まっています。ぜひご活用ください。

開発開始の際に役に立つ低コスト(15.99 米ドル)の 『MSP-EXP430FR 2311 LaunchPad™』 開発キットや、『MSP-TS430PW 20』20 ピン TSSOP ターゲット・ソケット・ボードもご用意しています。

参考資料とサンプル請求:

 

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

http://e2e.ti.com/blogs_/b/msp430blog/archive/2016/10/27/it-may-be-small-but-it-s-powerful

 

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