CMOS技術により実現するミリ波センサの小型化


多くの商用レーダ・システム、特にADAS向けレーダ・システムは、シリコンゲルマニウム(SiGe)技術を用いて開発されており、今日の高級車は、マルチチップSiGeレーダ・システムを搭載しています。SiGeレーダ・システムは車間距離適応走行制御向け77GHz車載レーダに求められる高速要件を満たしている一方、サイズが大きくかさばり、基盤面積を多く占有しています。車載レーダ・センサの数が少なくとも10個(前方、後方、中央)に増えれば、スペースの制約から各センサを小型化、低消費電力化し、コスト効率を高める必要があります。現在開発中のいくつかのレーダ・システムでは、トランスミッタ、レシーバ、クロック、ベースバンド機能をシングル・チップに統合し、フロントエンド・チップの数を4個から1個に削減することが可能になります。しかし、これはレーダ・フロント・エンドに限られます。TIは、この統合をさらに進め、CMOS技術を活用して、MCUとDSP機能にインテリジェント・レーダ・フロント・エンドを統合しました。プロセッサもフロント・エンドと共に配置し、レーダ・システムのサイズ、消費電力、フォームファクタ、コストを最小化することで、複数のレーダ・システムを自動車に搭載できるようになります。 

 1CMOSにより実現するシングル・チップ統合

CMOS技術の優位性は従来、高いトランジスタ集積度と低消費電力にありました。CMOSによるデジタル・スケーリングにより、すべてのノードで消費電力とサイズを低減しながら、性能を向上させることができます。これらのデジタル・トランスミッタの性能向上により、CMOSの処理速度は継続的に高速化しており、現在では79GHz ADASアプリケーション向けにも十分な性能を備えます。この79GHzバンドは、より高い距離分解能に不可欠な4GHz帯域幅を提供します。また、将来のレーダ・システムでは、レーダ・システム内のより多くのアンテナに伝送できるよう、一層高い角度分解能を備えた短距離をサポートする必要があります。CMOS技術を使用したTIのセンサは、この量産製品への拡張性をサポートします。

CMOS技術により、TIはアナログにデジタルを組み込むことができ、レーダ・システム開発向けの新しいシステム・コンフィギュレーションとトポロジを実現します。例えば、TIのシングルチップ・ミリ波センサに搭載される組込みMCUは、無線周波数(RF)とアナログ・サブシステムの半自律制御を可能にします。TIのCMOSセンサは、アナログにデジタル支援を追加することで、環境変化や製造変化に対する適合性、柔軟性、堅牢性を確保しています。

レーダ・システムのダイナミック・レンジは、レシーバ・ノイズ・フロアとバンパ反射によるセルフ電波妨害への許容度に左右されます。これらは、アーキテクチャとシステム性能に大きく依存します。例えば、より幅広い中間周波数(IF)帯域幅、より多くのチャネル、正確な低ノイズ・リニア・クローズド・ループ・チャープ信号生成を備えたCMOSシステムが特定のレーダ・アプリケーション向けに高いシステム・レベル性能を確保できるかといったことに大きく影響します。

CMOS技術は、ミリ波センサの設計を変容させ、より高いインテリジェンスと性能を組み込めるようにします。このCMOS技術により、TIは高性能レーダ・フロント・エンドからシングルチップ・レーダまで、高性能で低消費電力のミリ波センサ製品群を提供できるようになります。

<参考資料>

  • TI Design リファレンス・デザイン・ライブラリから、車載用産業用デザインを検索

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※上記の記事はこちらのBlog記事(2017年5月17日)より翻訳転載されました。

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