Bluetooth® Low Energyテクノロジは、コストと消費電力の低さから、さまざまなアプリケーションを支える土台となっています。例えばBluetoothビーコンは、機器や人の所在を特定できるリアルタイム位置情報システムの構築に利用されています。

この種のアプリケーションでのBluetoothの役割は何でしょうか。アセット追跡に使用されるBluetoothタグは、物や人が近くにいるかどうかを効果的に監視するために、別のタグとの間でデータを送受信して自律的に通信を行います。人と人とが近くにいることを監視する目的は何でしょうか。最近の感染力の高い病気に関して言えば、人と人とが安全に交流するための対策が非常に重要です。スポーツジムやスーパーに行くといったプライベートな状況であろうと、大人数の従業員が関わる事業運営であろうと、誰もが適切なソーシャル・ディスタンスを取る必要があります。

接触確認とソーシャル・ディスタンスにBluetoothテクノロジを活用することは、このような病気の感染状況を監視し、安全な行動を後押しすることで効果的に感染拡大を抑える1つの方法です。では、その仕組みはどうなっているのでしょうか。職場を例にとりましょう。従業員はそれぞれ、ウェアラブル・ブレスレット、つまりタグを受け取ります。このタグは互いに自律的に通信でき、別のタグとの距離が規定より近くなると従業員に警告として知らせることで、適切なソーシャル・ディスタンスが保たれるようにします。タグは、通信の際にデータも収集できるので、ある従業員が特定の病気の検査で陽性となった場合に、他に接触があった可能性がある人をデータから特定しやすくなります。位置特定ではなく、実際のGPS位置情報データを使用しない近接検知を利用することで、タグの持ち主のプライバシーが守られます。

図1は、接触確認レポートの例と、このレポートから誰が感染者と接触しており、病気をさらに拡散するリスクがあるのは誰かを突き止めることで、感染拡大の抑制につなげる方法を示しています。これにより適切な対策が取れるようになり、感染拡大が抑えられます。

1:接触確認レポートの例(出典:AiRISTA Flow

CC26xxファミリ・デバイスなどのSimpleLink Bluetoothデバイスを使用すると、Bluetoothによるアセット追跡ソリューションを開発する際の設計課題に対処しやすくなります。例えば、以下のようなメリットがあります。

  • ウェハー・チップ・スケール(WCSP)パッケージの『CC2640R2F』は2.7mm×2.7mmと小型のため、ウェアラブル・タグやリストバンド、リモコン・キーといったアプリケーションへの組み込みが可能
  • TIのポートフォリオに含まれる超低電力のSimpleLinkセンサ・コントローラ(英語)とわずか0.94µAのスタンバイ電流により、コイン型電池を使用するアプリケーションで重視されるバッテリ寿命を最大限に延長
  • 0.85ドルの『CC2640R2L』を始めとした低価格製品のラインナップ
  • セキュリティ上の長所:

    • セキュア・ブート
    • 高度な128/256ビット暗号化規格
    • SHA(Secure Hash Algorithm)-2
    • ECC(Elliptic Curve Cryptography)/RSA(Rivest-Shamir-Adleman)
    • 真の乱数ジェネレータ

TIのBluetoothテクノロジは、この種のアプリケーションで実績があります。例えばAiRISTA Flowは、従業員が安心して職場に戻れるようにソーシャル・ディスタンスおよび接触確認ソリューションを開発しました。このテクノロジは、従業員の安全を守るための取り組みを強化します。TIのBluetoothテクノロジは、スタッフの安全管理、患者の入退院管理、アセット追跡や紛失防止といった場面に利用され、医療や接客の現場から工業分野まで幅広く応用されています。

参考情報:
SimpleLink Bluetooth ポートフォリオ
TI LaunchPad デベロップメント・キット


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※上記の記事はこちらの技術記事(2020年9月2日)より翻訳転載されました。 
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