Other Parts Discussed in Post: BQ25790, BQ25792

今日の消費者は、ポータブル電子機器をどこにいても充電したいと考えています。例えば、旅行者が飛行機の搭乗前や列車の乗車前の待ち時間に、携帯電話やノートパソコン、ヘッドホンなどを充電している光景は日常的に見られます。しかしデバイスごとに充電方法が異なるため、消費者は複数のアダプタを持ち歩く必要があり、どれがどのデバイスのものかを覚えるのも一苦労です(図1参照)。そのような苦労を最小限で済ませるには、バッテリ充電システムの設計で各種の入力電源からの充電をサポートする必要があります。

USB Type-C PDによる充電を検討する理由

構成や入力電圧範囲が異なる複数のバッテリ駆動デバイスを充電できるシングルチップ・チャージャICを設計することは、複雑なプロセスです。なぜなら、旧来のアダプタはすべてのバッテリ駆動デバイスと互換性があるわけではなく、従来型のUSBアダプタは5~15Wに制限され、サポートするポータブル・バッテリ駆動デバイスが限られているからです。

USB Type-C™ Power Delivery(USB PD)は、図2に示すように、幅広い範囲のアプリケーションを高速かつ効率的に充電するための便利な代替方法となります。USB PDの出力電圧範囲は、バッテリ構成の異なるさまざまなバッテリ駆動デバイスに対して調整可能で、USB PDの5W~100W(20V/5A)の電力範囲を活用できます。

1:異なる入力電源およびアダプタによる充電

2USB PDによって可能となる汎用高速充電

複数のデバイスを充電しなければならない旅行者の例で考えると、電源へのアクセスが限られている状況では、デバイスのバッテリがすばやく満充電に達し、一度充電したら長時間持続することが最善です。デバイスの充電に使える乗り換え時間が15分しかなくても、バッテリが数時間もつように充電できる必要があります。

消費者のこのような期待に応えるために、設計エンジニアは以下のことを可能にするソリューションを求めています。

  • 汎用的な充電を可能にしながら、設計を簡素化 ― 構成(1s~4sの直列セル)や入力電圧の異なる複数のバッテリ駆動デバイスを充電できる能力
  • バッテリの持続時間を延長しながら、デバイスの高い性能を維持する最大のバッテリ容量を使用
  • 熱消費を減らしてチャージャIC内の電力損失を最小限に抑えながら、高い効率で充電
  • 入力アダプタ、バッテリ、およびシステムをカスケード障害から保護

『BQ25790』および『BQ25792』を含むTIの新しい統合型昇降圧バッテリ・チャージャICファミリは、USB PD入力を利用して、1S~4Sのバッテリを3.6V~24Vの入力電圧範囲で充電するための高い柔軟性を提供します。各種コンポーネントを内蔵したこれらの昇降圧チャージャは、携帯電話、ノートパソコン、Bluetoothヘッドセット、医療機器などサイズに制約のあるコンパクトなバッテリ駆動デバイスで、単一のチャージャICが適切な選択肢である場合にも、あるいは複数の電源段を使用し、アプリケーションを安全動作電圧範囲に保持するために昇圧または降圧を必要とする設計にも、幅広く対応することができます。

『BQ25790』および『BQ25792』は超低消費電力のチャージャICを使用して、動作中のバッテリ持続時間を延長し、アプリケーションを使用していないときはバッテリ電力の消費をできる限り抑えます。消費電力が非常に低い一方、これらのチャージャはトップオフ・タイマを備え、通常の充電サイクルに加えて追加の充電を可能にすることで、バッテリが確実に最大容量まで充電されるようにします(表1を参照)。

パラメータ

設定範囲

分解能

デフォルト

充電電圧

3V~18.8V

10mV

4.2V(1直列セル[1s])、8.4V(2s)、12.6V(3s)、16.8V(4s)

充電電流

50mA~5A

10mA

2A(1s)、2A(2s)、1A(3s)、1A(4s)

OTG(On-the-go)電圧

2.8V~22V

10mV

5V

OTG電流

120mA~3.32A

40mA

3A

プリチャージ電流

40mA~2A

40mA

120mA

充電終了電流

40mA~1A

40mA

200mA

トップオフ・タイマ

無効、15分、30分、45分

1:『BQ25790』および『BQ25792』の設定可能なパラメータ


長い動作時間、高速で効率的な充電、およびコンパクトな設計を必要とする電源設計では、USB PD充電を使用することで、部品点数を抑え、合計ソリューション・サイズを縮小しながら、幅広い範囲のアプリケーションを充電できる柔軟性が得られます。電力密度や低静止電流を考慮した設計の詳細については、以下の参考資料をご覧ください。

参考情報

+ 技術記事(英語)“Small chargers pack a powerful punch: combining buck-boost and USB Type C™ power delivery for maximum power delivery.

+Watch the video, “What could you achieve with universal and fast charging?

 

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※上記の記事はこちらの技術記事(2020年6月26日)より翻訳転載されました。
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