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スタンバイ電力の削減と効率の向上を求めて強化されるエネルギー規制に応えようと、エンジニアは、バースト・モード動作といった軽負荷モードを備えた電源の設計を進めています。軽負荷モードは、スタンバイ電力を最小限に抑えるのには有効ですが、新たに問題になるのが、電源の磁気部品から放射される高周波リンギングの懸念です。このような気にさわる音がノートPCのアダプタから出ているのを聞いたことがあるなら、リンギングの除去が非常に重要だということが分かってもらえるでしょう。

スタンバイ電力を最小限に抑え、可聴ノイズを減らしつつ、設計の費用対効果を維持するには、AC/DCシステム・ソリューション全体の最適化を注意深く行う必要があります。昇圧力率コントローラ(PFC)、インダクタ-インダクタ-コンデンサ(LLC)を使った絶縁DC/DC、同期整流(SR)など、システムのすべてのコンポーネントを連携させて対処することが非常に重要になりつつあります。

 

可聴ノイズ

テレビやAC/DCアダプタなどの家電製品の電源を設計する場合、設計者は、スタンバイ・モード時の厳しい可聴ノイズ要件に対応するという難しさに直面します。軽負荷時のスタンバイ電力を削減する一般的な方法は、PFCおよびLLCコントローラに備わるバースト・モード機能の利用です。バースト・モードとは、出力側に負荷が無いか軽いときに、周期的にスイッチングを無効にする動作モードのことです。スイッチングを無効にすることで、負荷が最小限の電力しか必要としないときの電源の電力消費を抑えます。バースト・モードの欠点は、バースト周波数が可聴域に入るくらい低くなる可能性があることです。誰でも夜中にテレビからブーンといった音が聞こえるのは嫌でしょうから、消費者向けアプリケーションを目的とする電源の場合、これは問題です。

 

遷移モードPFCコントローラ『UCC28056』とLLC共振コントローラ『UCC256403』は、図1に示すように、バースト・モード時にゆっくりと共振電流を上げたり下げたりすることで、気になる可聴ノイズを防止します。

 

図1:『UCC256403』と『UCC256404』のバースト・モードのパターン

 

共振電流の振幅をゆっくりと上げ下げする能力は、『UCC256403』と『UCC256404』の最適化されたバースト・モード・アルゴリズムの主要な特長です。この最適化バースト・モード・アルゴリズムとハイブリッド・ヒステリシス制御を合わせて使用することで、可聴ノイズを抑えながら、低スタンバイ電力消費とクラス最高の過渡応答を実現します。参考までに、可聴ノイズ測定は、「UCC25640EVM-020評価モジュール・ユーザーガイド」のセクション9.6(P18)に載っています。

 

常時オンのPFC

軽負荷時の可聴ノイズの削減の他にも、『UCC256403』と『UCC256404』を臨界導通モードPFCコントローラ『UCC28056』と組み合わせると、AC/DC電源の軽負荷時性能がさらに向上します。『UCC28056』のバースト・モードにより、軽負荷効率が著しく向上し、無負荷スタンバイ電力も削減されます。これにより、アプリケーションは、PFCを常にオンにしておく��とができる一方で、効率とスタンバイ電力に対する���しい目標を達成することができます。テレビの場合、米国のEnergy Starバージョン8.0は、スタンバイ時のパッシブ電力消費が0.5W未満であることとしています。その他にEUのEcodesign Directive Lot 6といった地域ごとの標準規定でも、同様の仕様が要求されます。

 

高電圧起動機能を内蔵した『UCC256404』と組み合わせると、PFCの有効化/無効化に必要な小信号および絶縁回路に加えて、補助フライバック・コンバータも不要になるでしょう。この構成にすると、サイズとコストが削減され、複雑性の緩和にもなります。図2は、テレビ・アプリケーションに使われる標準的なAC/DC電源です。この図では、『UCC28056』および『UCC256403』ソリューションを使用した場合に実現可能な、システムの削減部分とメリットを示しています。

 

図2:テレビ・アプリケーション向けのTIのPFC-LLC-SRシステム

(TIのチップセットにより削減される部品を明示)

 

同期整流

同期整流回路(SR)の使用で、AC/DC電源の効率をさらに高めることができます。2次側で整流ダイオードをアクティブ制御MOSFETに置き換えることで効率向上になります。ショットキー・ダイオードの導通損失と比較して、SR MOSFETの導通損失が著しく低いためです。デュアル・チャネルSRコントローラである『UCC24624』は、特にLLCトポロジによく適合します。このコントローラは、SRの導通時間を延ばしてボディ・ダイオードの導通を最小限にする比例ゲート駆動を備え、効率向上を可能にします。さらに『UCC24624』の自動スリープ・モードで、システムのスタンバイ電力消費をさらに削減できます。

 

まとめ

システム・レベルのソリューションを念頭に、TIは、『UCC28056』、『UCC256404』、『UCC24624』を、連携が可能なように設計しました。このことから、スタンバイ電力と可聴ノイズの厳しい標準規格に対応するように設計を行う際に、最高の性能が得られると期待していただけます。

 

参考情報

+アプリケーションレポート(英語)

Migrating to UCC25640x from UCC25630x

Improving Transient Response in LLC Converters Using Hybrid Hysteretic Control

+リファレンス・デザイン336-W auxless AC/DC power supply with 80 PLUS platinum compatible performance

 

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※上記の記事はこちらの技術記事(2020年4月22日)より翻訳転載されました。
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