センシング・アプリケーションに適した内蔵ADC を選択する方法


Google で「A/D コンバータの選択」と検索すると、何千件もの検索結果が表示されることからわかるように、この作業は、センシング・ソリューションの設計に携わる数多くの設計者にとって、未だに難しい課題となっています。現在は 8 ビット・マイクロコントローラ(MCU)に内蔵された単純な 10 ビット ADC から、GHz レートでの変換が可能な ADC まで、膨大な数の A/D コンバータ(ADC)ソリューションが提供されています。

特殊なセンシング・フロント・エンドを設計しているような場合を除けば、必要な ADC はおそらく、高い性能を省エネルギーや動作の柔軟性と両立できる内蔵 ADC になるでしょう。この記事では、必要な ADC の絞り込みに役立ついくつかのパラメータを概説していますが、アプリケーション固有のニーズによっては、その他のパラメータの検討も必要になる場合があります。

  • 分解能:これはおそらく最も議論されている ADC のパラメータであり、変換できるビット数が ADC の精度を測る最大の指標であるのかという点が、多くの場合に問題となります。この点は、ADC 変換後にアプリケーションが実行するアクションを調べることによって簡単に確認できます。たとえば、温度差が変化したかどうかの測定は相対測定でしょうか。相対測定ならその値自体の真/偽を問題としないので、10 ビットまたは 12 ビット ADC で十分な場合があります。反対に、電気メーターなどの製品を考えてみましょう。このようなアプリケーションは、アナログ/デジタル変換に高いレベルの精度を必要とします。負荷電流測定の精度はエネルギー使用量の差異につながる可能性があるため、電力料金に影響します。通常、こうしたアプリケーションでは、高品質の変換結果が得られるように 16 ビット超のデルタ・シグマ ADC が使用されます。
  • サンプル・レート:ADC のサンプル・レートは、入力信号の周波数に直接左右されます。著名な物理学者、ナイキストの功績により、ADC は入力信号の 2 倍以上の周波数(Fsample ≥ 2x Finput)でサンプリングする必要があることがわかっており、当然ながら必要な最小サンプル・レートがあります。たとえば、100kHz の入力には、200kHz 以上の周波数でのサンプリングが必要になります。ただし、データシートで指定されるサンプル・レートには、実際の「サンプリング + 変換」クロックのみが考慮され、データの判断やチップ外へのデータの移動を目的とした変換結果の後処理にかかる、ADC のセットアップ時間は考慮されません。これらの要素は、ADC 変換の周期とデューティ・サイクルを計算し、その結果から後処理用の残りのマージンを算出するために利用できるので、いずれも同じように重要です。

たとえば、1MSPS でサンプリングを行う ADC は、1ms で 1,000 個の 16 ビット・サンプルを収集します。ダブル・バッファリング手法を使用して ADC サンプルを収集した場合、データ・バッファを後処理し、結果に基づきアクションを実行し、次のデータ・セットが処理できる状態になる前にデータを移動するための時間として残るのは、1ms 以下です。

  • 基準電圧の選択:内蔵 ADC を評価する際に重要な尺度となるのは、高精度の内部基準電圧源が利用できるかどうかです。状況によっては、複数の基準電圧範囲を設定できれば、異なる範囲の入力信号を変換するうえで柔軟性が確保できます。
  • 動作範囲:多くの ADC の動作範囲は、デバイスで使用できる全電源電圧範囲の一部に制限されているため、この観点でアプリケーションのニーズを把握することが重要です。たとえば、バッテリ駆動のアプリケーションでは、デバイスがシャットダウンするまで変換の信頼性を確保できるように、最小電源電圧範囲まで動作範囲を下げることが必要になる場合があります(MCU の場合、通常は 1.8V ですが、TIのSimpleLink™ MSP432P4 ファミリに内蔵されているような一部の ADC は、最小 1.72V で動作できます)。
  • 入力チャネル:入力チャネルの数は、アナログ入力へのインターフェイスに使用できる外部ピンの数だけではありません。シーケンシングを必要とする入力グループ向けに ADC を選択する場合は、チャネル構成の柔軟性を考慮することも重要です。選択可能な基準電圧源、専用の割り込みおよび変換レジスタ、差動入力および構成可能なデータ形式のサポートは、サイクルを浪費することなく、ADC 構成を効率的かつカスタマイズ可能な方法で設定できるようにするうえで、いずれも重要な機能です。

この記事の冒頭で触れたように、実際の ADC 選択基準となる項目は、アプリケーションのセンシング対象に応じて大幅に増える可能性があります。MSP432P4 LaunchPad™ 開発キットを購入し、SimpleLink Academy トレーニング・ポータルで高精度 ADC の使用に関する簡単なオンライン・チュートリアルを受ければ、MSP432P4 の高性能 ADC(最大 16 ビット精度)を評価できます。

ADC の選択に関するテーマをさらに深く掘り下げ、TI の MSP432P4 高精度 ADC を市場で提供されている ADC と比較したい場合は、下の図 1 に示すグラフを参照し、ADC データシートの��ラメータを理解するための便利なヒントが記載されたアプリケーション・レポートをご覧ください。

 図 1:MSP432 16 ビット高精度 ADC と競合製品の性能比較

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※上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

https://e2e.ti.com/blogs_/b/connecting_wirelessly/archive/2018/01/17/how-to-select-the-correct-adc-for-your-sensing-application

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